IVY選抜とは何者?出雲駅伝2026で過去最高3位の理由と選考方法を徹底解説
2026年10月12日に開催された第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走で、アイビーリーグ選抜(IVY選抜)が総合3位、2時間7分24秒という過去最高の成績を収めた。早稲田大学、國學院大學に続く表彰台入りであり、前年の4位、前々年の5位から3年連続で順位を上げたことでも話題になっている。
IVY選抜とは、ハーバード大学やプリンストン大学など、アメリカの名門アイビーリーグ8大学の卒業生を中心に編成される合同チームだ。日本の大学のように一つの大学を代表するチームではなく、複数大学の優秀な長距離ランナーが集まり、出雲駅伝に招待選手として出場する。2026年のメンバー、選考基準、招待の歴史、そして日本の大学との違いを整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- IVY選抜とは:アイビーリーグ8大学の卒業生を中心に編成される、出雲駅伝の海外招待チーム。
- 2026年の結果:10月12日の第38回大会で総合3位。記録は2時間7分24秒の大会新記録。
- 選考方法:公式案内では毎年8月に競技力やコンディションを考慮して6人の走者と2人の補欠を選出。
- 招待の理由:日米の大学陸上界の交流と、スポーツを通じた国際的なつながりを深めるため。
- 近年の躍進:2024年5位、2025年4位、2026年3位と過去最高順位を更新している。
【IVY選抜とは?】アイビーリーグ8大学の卒業生による合同チーム

IVY選抜は、正式にはアイビーリーグ選抜(Ivy League Select Team)と呼ばれる陸上競技チームだ。アメリカ東部にある名門私立大学群、アイビーリーグに所属する選手や卒業生から、長距離走の実力者を選んで編成される。
ここで押さえておきたいのは、IVY選抜が特定の大学の陸上競技部ではないという点だ。ハーバード大学陸上競技部やプリンストン大学陸上競技部など、異なる大学で競い合ってきたランナーが、一つのチームとして日本の駅伝に挑戦する。
アイビーリーグを構成する8大学

アイビーリーグは、アメリカ北東部に位置する次の8大学で構成されている。
- ハーバード大学(Harvard University)
- イェール大学(Yale University)
- プリンストン大学(Princeton University)
- コロンビア大学(Columbia University)
- ブラウン大学(Brown University)
- ダートマス大学(Dartmouth College)
- コーネル大学(Cornell University)
- ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)
もともとは大学スポーツの競技連盟として形成されたグループで、現在では学術研究や教育の分野でも世界的に知られている。
ただし、IVY選抜に毎年8大学すべての選手が参加するわけではない。2026年の登録メンバーは、ハーバード、コロンビア、コーネル、プリンストンの4大学の卒業生で構成されていた。
現役大学生だけのチームではない

IVY選抜を理解するうえで、もう一つ大切なのが選手の所属状況だ。
出雲駅伝に出場する選手は、アイビーリーグの大学を卒業した後も競技を続けているランナーが中心となる。大学院に進学した選手や、プロランナーとして活動する選手も含まれる。
つまり、大学対抗戦という出雲駅伝の舞台に、大学卒業後も高い競技力を維持する海外ランナーが合同チームとして参加する、独特の仕組みになっている。
【出雲駅伝2026の結果】IVY選抜が過去最高の総合3位を達成
2026年10月12日、島根県で開催された第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走。アイビーリーグ選抜は6区間45.1kmを2時間7分24秒で走り切り、総合3位に入った。
優勝した早稲田大学は2時間5分56秒、2位の國學院大學は2時間6分54秒。IVY選抜は強豪大学に続く3番目の順位で、過去最高の成績を記録した。
2026年の上位チームと順位
- 1位:早稲田大学 2時間5分56秒
- 2位:國學院大學 2時間6分54秒
- 3位:アイビーリーグ選抜 2時間7分24秒
- 4位:順天堂大学 2時間7分33秒
- 5位:中央大学 2時間7分36秒
- 6位:帝京大学 2時間7分41秒
- 7位:駒澤大学 2時間7分45秒
- 8位:日本大学 2時間8分15秒
特筆すべきは、IVY選抜が日本の強豪大学を上回ったことだ。日本大学との比較では、IVY選抜が51秒速いタイムでフィニッシュしている。
2026年のレース展開と逆転劇
IVY選抜は序盤から先頭を走る展開ではなかった。
1区を担当したニック・ベンドツェンは10位で襷をつなぎ、2区のマイルズ・ホーガンが順位を7位まで押し上げた。注目選手のグラハム・ブランクスは当日変更によって3区に投入されたが、区間7位で順位を維持した。
4区のタイラー・バーグを経て、勝負を大きく動かしたのが5区のデレック・アミコンだった。
アミコンは区間2位の17分36秒で走り、区間新記録を樹立。順位を8位から5位へと押し上げ、アンカーのエイサー・アイバーソンに襷を渡した。
最後の6区では、アイバーソンが日本大学と中央大学をかわして3位に浮上。ゴール前で力強い走りを見せ、IVY選抜を初の表彰台へ導いた。
この結果は、単に世界レベルの個人記録を持つ選手が集まっただけでは説明できない。前半で順位を落としても、後半の選手が着実に差を詰め、最後に逆転するチームとしての力が表れたレースだった。
【IVY選抜のメンバーと選考基準】2026年は8人を登録
2026年のIVY選抜には、8人の選手が登録された。大会に出走する6人と、補欠2人という構成だ。
アイビーリーグ選抜の公式チーム紹介ページでは、各選手の出身大学や自己ベストも公開されている。
2026年のIVY選抜メンバー一覧
- エイサー・アイバーソン(ハーバード大学):5000m13分18秒88、10000m28分20秒33。2026年はアンカーを担当。
- グラハム・ブランクス(ハーバード大学):5000m12分47秒98、10000m26分57秒30。世界大会でも活躍するチームの注目選手。
- タイラー・バーグ(コロンビア大学):5000m13分33秒86、10000m28分21秒29。過去の出雲駅伝出場経験を持つ。
- デレック・アミコン(コーネル大学):5000m13分45秒39、10000m28分33秒75。2026年は5区で区間新記録をマーク。
- マイルズ・ホーガン(プリンストン大学):5000m13分20秒36、1500m3分38秒35。
- ジャクソン・ショーテン(プリンストン大学):5000m13分49秒83、3000m障害8分25秒43。
- ダミアン・ハケット(コーネル大学):5000m13分48秒02、1500m3分36秒78。
- ニック・ベンドツェン(プリンストン大学):5000m13分35秒15、10000m28分12秒63。
この8人のうち、実際に2026年大会で走ったのは次の6人だ。
- 1区:ニック・ベンドツェン
- 2区:マイルズ・ホーガン
- 3区:グラハム・ブランクス
- 4区:タイラー・バーグ
- 5区:デレック・アミコン
- 6区:エイサー・アイバーソン
ジャクソン・ショーテンとダミアン・ハケットは補欠登録だった。なお、ブランクスとホーガンも当初は補欠として登録されており、大会当日のメンバー変更によって出走している。
IVY選抜の選考方法と基準
アイビーリーグ選抜の公式案内によると、選手と補欠は毎年8月に、競技力やコンディション、これまでの競技成績を考慮して選ばれる。
基本的な編成は次のとおりだ。
- 出走選手:6人
- 補欠選手:2人
- 選考時期:毎年8月
- 主な判断材料:競技力、コンディション、競技成績
選考に関心のあるランナーは、チーム運営に関わるジョーダン・マン氏に連絡して検討を受ける仕組みも案内されている。
一方、日本の大学駅伝のように大学ごとの予選順位で出場選手が自動的に決まる仕組みではない。公式案内には、全選手に共通する一律の参加標準記録や大学別の固定枠は示されていない。
2026年のメンバーを見ると、5000mで12分台、10000mで26分台という世界トップクラスの記録を持つ選手から、複数種目で高い競技力を示す選手まで、幅広いタイプのランナーが選ばれている。
【なぜ出雲駅伝に招待される?】1998年から続く日米交流の歴史
IVY選抜が出雲駅伝に参加する背景には、競技力の比較だけではなく、日米の大学陸上界を結ぶ国際交流の歴史がある。
招待構想は1980年代に始まった
アイビーリーグ選抜の日本遠征構想は、1980年代に日本陸上競技連盟会長を務めた河野洋平氏と、ブラウン大学卒業生のヴァーノン・オールデン氏らの交流から生まれたと、学生スポーツ専門メディアの4years.が報じている。
チームは1990年から1997年まで全日本大学駅伝に参加していた。その後、1998年から出雲駅伝へ参加する形に変更された。
背景にあったのは、レース距離への適応という問題だ。全日本大学駅伝には20km近い長距離区間があり、当時のアイビーリーグ選抜にとって対応が難しかった。比較的距離の短い区間で構成される出雲駅伝のほうが、チームの特性に合っていた。
2020年から2022年までは新型コロナウイルス感染症の影響で招待が見送られたが、それ以外の期間は参加が続いている。2026年大会は出雲駅伝への26回目の出場となった。
招待の目的は競技と文化の交流
アイビーリーグ選抜の公式サイトでは、日本の大学陸上競技を統括する関係団体とのつながりを大切にし、競技力の向上と文化交流の機会をつくることを活動の柱としている。
そのため、出雲駅伝への参加は単なる海外チームのゲスト出演ではない。日本独自の駅伝文化を経験し、アメリカの大学陸上界にその価値を持ち帰るという意味もある。
駅伝は、個人の記録だけで勝敗が決まる競技ではない。前の走者から受け取った襷を次の走者へつなぎ、チーム全体で一つの結果をつくる。この考え方を国際交流の場で共有することも、招待が続いてきた理由の一つだ。
【日本の大学選抜との違い】IVY選抜と日本大学を比較
IVY選抜と日本の大学チームには、編成の仕組みや選手の立場に大きな違いがある。
2026年の出雲駅伝では、IVY選抜が3位、日本大学が8位だった。両チームの順位と編成の違いを整理すると、IVY選抜の特徴が分かりやすい。
| 比較項目 | IVY選抜 | 日本大学などの大学チーム |
|---|---|---|
| チーム構成 | 複数のアイビーリーグ大学の卒業生による合同チーム | 原則として一つの大学の陸上競技部を中心に編成 |
| 対象大学 | アイビーリーグ8大学 | 出場資格を得た国内の各大学 |
| 2026年の所属構成 | ハーバード、コロンビア、コーネル、プリンストンの4大学 | 日本大学など各大学単位 |
| 選手の立場 | 大学卒業後も競技を続ける選手が中心 | 大学の現役選手が中心 |
| 選考方法 | 競技力やコンディションを考慮して選抜 | 大学の競技チーム内で出場メンバーを編成 |
| 出雲駅伝への参加 | 海外招待チーム | 国内大学の出場チーム |
| 2026年の総合順位 | 3位・2時間7分24秒 | 日本大学は8位・2時間8分15秒 |
この比較から分かるのは、IVY選抜が大学単位の代表ではなく、大学の枠を越えて競技力の高い選手を集めるチームだということだ。
日本大学との51秒差は2026年大会の結果として興味深い。ただし、これは同じ大会に出場したチーム同士の総合記録の比較であり、両者が直接対決する特別な競技形式があるわけではない。
また、IVY選抜の選手が全員ハーバード大学出身というわけでもない。2026年の登録メンバーにはプリンストン大学やコーネル大学、コロンビア大学の卒業生も含まれていた。
【IVY選抜が強くなった理由】5位から3位へ躍進したチームの仕組み
IVY選抜の近年の成績を振り返ると、順位の改善が一過性のものではないことが分かる。
- 2024年:総合5位、2時間12分18秒
- 2025年:総合4位、2時間10分12秒
- 2026年:総合3位、2時間7分24秒
2024年に、それまでの最高順位だった2015年の9位を更新。2025年にはさらに4位へ進み、2026年にはついに表彰台へ到達した。
駅伝を理解するためのチームづくり
4years.の2026年大会の取材記事では、ジョーダン・マン氏がチームに関わるようになってから、駅伝への理解を深める取り組みが進んだことが紹介されている。
マン氏自身も出雲駅伝を3度走った経験があり、その経験を選手たちに伝えてきた。日本側の受け入れ関係者との連携や、OBとのオンライン交流、駅伝の仕組みを学ぶミーティングなども行われている。
重要なのは、個々の選手が速く走るだけではなく、襷をつなぐ競技の特性を理解することだ。
2026年大会では、出走した6人のうち4人が前年の出雲駅伝を経験していた。経験者が複数いることで、コースやレースの進み方、チームとしての役割を共有しやすくなった。
グラハム・ブランクスの存在
チームの知名度を押し上げた選手として、ハーバード大学出身のグラハム・ブランクスも外せない。
ブランクスは2024年パリオリンピックの男子5000mで9位に入り、2025年の東京開催の世界陸上では男子10000mで11位を記録した。自己ベストは5000m12分47秒98、10000m26分57秒30。アイビーリーグ出身の長距離ランナーとして、国際舞台でも実績を残している。
2026年時点ではハーバード大学を2025年に卒業し、ニューバランス所属のプロランナーとして競技を続けている。
ただし、2026年大会の3位をブランクス一人の功績として捉えるのは正確ではない。5区のアミコンによる区間新記録、アンカーのアイバーソンによる逆転、そして各区間で襷をつないだ選手たちの働きがあってこその結果だった。
【プロの結論】IVY選抜の本当の強さは個人能力とチーム経験の融合
IVY選抜の躍進から読み取れるのは、世界レベルの個人能力を持つ選手を集めるだけでは、駅伝で安定した結果を出せないということだ。
異なる大学で競い合ってきた選手が短期間でチームを形成し、襷をつなぐ意味を理解し、各区間の役割を果たす。その積み重ねが、2024年から2026年までの連続した順位更新につながった。
IVY選抜を評価するときは、5000mや10000mの自己ベストだけでなく、駅伝経験者の割合、当日変更を含む区間配置、後半区間の順位変動にも注目したい。
特に2026年大会は、序盤の10位から最終3位まで順位を上げた点が象徴的だ。単純な個人記録の足し算では説明できない、チーム競技としての成長が表れている。
【IVY選抜とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:IVY選抜はアイビーリーグ8大学すべての選手で構成されるのですか?
A1:必ずしもそうではない。2026年の登録メンバーは、ハーバード大学、コロンビア大学、コーネル大学、プリンストン大学の4大学の卒業生で構成されていた。8大学から毎年1人ずつ選ぶ制度ではない。
Q2:IVY選抜の選考基準や選抜方法は?
A2:公式案内では、毎年8月に選手と補欠を競技力やコンディション、競技成績に基づいて選ぶ。基本編成は走者6人と補欠2人。日本の大学のような大学別の予選順位で決定する仕組みではない。
Q3:グラハム・ブランクスは現在もハーバード大学の学生ですか?
A3:2025年にハーバード大学を卒業している。2026年時点ではニューバランス所属のプロランナーとして活動しており、パリオリンピックや世界陸上にも出場した実績を持つ。
Q4:IVY選抜が出雲駅伝に招待されるのはなぜですか?
A4:日米の大学陸上界の交流と文化交流を促進するためだ。1998年から出雲駅伝に参加し、新型コロナウイルス感染症の影響による2020~2022年の中断を除き、招待が続いている。
Q5:IVY選抜の歴代最高順位は何位ですか?
A5:2026年大会の総合3位が歴代最高順位だ。2024年の5位、2025年の4位に続く成績で、3年連続で過去最高順位を更新した。
まとめ:IVY選抜は出雲駅伝の国際交流を象徴する存在
IVY選抜とは、アメリカのアイビーリーグ8大学の卒業生を中心に、競技力の高い長距離ランナーを集めて編成する合同チームだ。日本の大学駅伝とは異なり、大学の枠を越えて選手を選び、出雲駅伝に海外招待チームとして参加している。
2026年10月12日の第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走では、2時間7分24秒で総合3位。5位、4位、3位と順位を上げ、初の表彰台を実現した。
選手選考は毎年8月に行われ、6人の走者と2人の補欠を選ぶ。グラハム・ブランクスのような世界的な実績を持つランナーだけでなく、各区間で力を発揮する選手たちがチームを支えている。
今後の注目点は、今回の3位を一度限りの快挙で終わらせず、さらに上位を目指せるチームへ成長できるかどうかだ。IVY選抜は、出雲駅伝における国際交流の象徴であると同時に、日本の大学駅伝に新たな競争と刺激をもたらす存在になっている。