【森保一監督の就任から出場決定まで】1勝2敗の危機をどう乗り越えたのか
2022年大会への道のりを理解するうえで欠かせないのが、森保一監督の就任とアジア最終予選での立て直しだ。
森保監督は2018年7月26日、JFAからSAMURAI BLUEの監督に就任することが発表された。サンフレッチェ広島の監督として指導実績を積み、東京オリンピックを目指す男子代表も率いる立場だった。
カタール大会まで約4年4カ月にわたって日本代表を指揮したことも、森保体制の特徴である。
アジア最終予選はまさかの1勝2敗スタート

2021年9月に始まったアジア最終予選で、日本は厳しい現実に直面した。
- 2021年9月2日:日本 0-1 オマーン
- 2021年9月7日:中国 0-1 日本
- 2021年10月8日:サウジアラビア 1-0 日本
3試合を終えた段階で1勝2敗。ホームでオマーンに敗れ、アウェーではサウジアラビアにも敗戦した。ワールドカップ出場を当然視できる状況ではなくなっていた。
転機となったのは、2021年10月12日のオーストラリア戦だ。
森保監督は田中碧と守田英正を先発に起用し、布陣を4-3-3に変更。従来の戦い方を見直して中盤の構成を変えた結果、日本はオーストラリアを2-1で撃破した。
この勝利からチームは勢いを取り戻す。ベトナム、オマーンをそれぞれ1-0で下し、2022年に入ってからも中国とサウジアラビアに2-0で勝利。さらにオーストラリアにも2-0で勝ち、6連勝を達成した。
三笘薫の2ゴールで7大会連続出場が決定

2022年3月24日のオーストラリア戦は、日本にとって本大会出場を決める重要な一戦だった。
敵地での試合は終盤まで得点が生まれなかったが、途中出場した三笘薫が試合終盤に2ゴールを記録。日本は2-0で勝利し、最終予選を残り1試合としてワールドカップ出場を決めた。
最終的なグループBの成績は、7勝1分け2敗、勝ち点22の2位。首位サウジアラビアに続いて本大会への切符をつかんだ。
苦しい序盤からの6連勝、そして三笘の決定的な活躍。カタール大会に向けた日本代表の歩みを象徴する出来事だった。
代表チームを支えた関係者と転換点
森保監督だけでなく、JFA、選手、コーチングスタッフがそれぞれの役割を果たして出場権獲得につながった。
この関係から見えてくるのは、出場権獲得が特定のスター選手だけによるものではなかったという点だ。戦術変更、選手起用、控え選手の活用が連動したことが、厳しい予選を突破する力になった。
【日本代表招集選手26人】カタール大会を戦ったメンバー全員
森保監督が本大会に向けて選んだ選手たちは、国内外のクラブで経験を積んだ顔ぶれだった。
2022年11月1日に26人のメンバーが発表され、GK、DF、MF、FWの各ポジションに実力者がそろった。
当時のFIFA規定では、登録選手数が従来の最大23人から最大26人に拡大されていた。新型コロナウイルス感染症の影響や、通常とは異なる時期に開催される大会への対応として、予備登録リストも最大55人まで認められた。
GK・フィールドプレーヤーの一覧
JFAの公式招集メンバーに掲載された最終的な26人は以下の通り。
GK(3人)
1. 川島永嗣
2. 権田修一
3. シュミット・ダニエル
フィールドプレーヤー(23人)
4. 長友佑都
5. 吉田麻也
6. 酒井宏樹
7. 谷口彰悟
8. 柴崎岳
9. 遠藤航
10. 伊東純也
11. 山根視来
12. 浅野拓磨
13. 南野拓実
14. 守田英正
15. 鎌田大地
16. 板倉滉
17. 町野修斗
18. 相馬勇紀
19. 三笘薫
20. 前田大然
21. 堂安律
22. 上田綺世
23. 田中碧
24. 冨安健洋
25. 伊藤洋輝
26. 久保建英
上記は公式背番号順ではなく、JFA掲載メンバーを読みやすく整理した一覧。大会登録時の背番号は公式発表を参照。
中山雄太の負傷と町野修斗への変更
メンバー発表後には、選手の入れ替えも発生した。
当初選出されていた中山雄太は、負傷によって大会への参加を断念。2022年11月8日、JFAは代わりに湘南ベルマーレ所属の町野修斗を招集すると発表した。
町野には背番号20が与えられた。
このため、最初に発表された26人と、最終的にカタール大会に臨んだ26人は同一ではない。中山の名前が初期発表に含まれていたことと、最終登録メンバーに町野が入っていることを区別する必要がある。
監督・コーチングスタッフ
選手たちを支えた主なスタッフは次の通り。
- 監督:森保一
- コーチ:横内昭展
- コーチ:齊藤俊秀
- コーチ:上野優作
- フィジカルコーチ:松本良一
- GKコーチ:下田崇
森保監督を中心とするスタッフ体制は、予選から本大会まで継続してチームを支えた。
【日本代表の試合日程・結果】ドイツ撃破からクロアチア戦まで
カタール大会の日本代表はグループEに所属。対戦相手はドイツ、コスタリカ、スペインだった。
特に注目されたのは、ワールドカップ優勝経験を持つドイツとスペインとの対戦である。
JFAの大会記録に基づき、日本時間での試合日程と結果を整理する。
グループリーグ全3試合
第1戦:2022年11月23日
会場:ハリファ国際スタジアム
- 33分:イルカイ・ギュンドアン(ドイツ)
- 75分:堂安律
- 83分:浅野拓磨
後半の交代選手が連続ゴールを決め、歴史的な逆転勝利を飾った。
第2戦:2022年11月27日
会場:アハマド・ビン・アリ・スタジアム
ドイツ戦の勢いを生かせず、痛恨の敗戦。グループ突破を確実にする機会を逃した。
第3戦:2022年12月2日(日本時間)
現地時間12月1日/会場:ハリファ国際スタジアム
- 11分:アルバロ・モラタ(スペイン)
- 48分:堂安律
- 53分:田中碧
後半の連続得点で再び逆転。2勝1敗でグループE首位通過を決めた。
グループEの最終順位
日本は勝ち点6を獲得し、スペイン、ドイツを上回って1位となった。
- 1位:日本/勝ち点6
- 2位:スペイン/勝ち点4
- 3位:ドイツ/勝ち点4
- 4位:コスタリカ/勝ち点3
日本は3試合で2勝1敗、得点4、失点3、得失点差プラス1。強豪2カ国に勝ったことが、首位通過を決定づけた。
決勝トーナメント1回戦はクロアチアにPK戦で敗退
グループEを首位で突破した日本は、2022年12月6日(日本時間)、ラウンド16で前回大会準優勝のクロアチアと対戦した。
前半43分、前田大然が先制点を記録。しかし、後半55分にイバン・ペリシッチに同点ゴールを許した。
その後、延長戦でも決着はつかず、試合はPK戦へ。
結果は1-1、PK戦1-3で日本の敗退となった。
ベスト8進出という目標には届かなかったものの、ドイツとスペインを破って首位通過した実績は、日本代表の国際的な評価を高める結果となった。
【ドイツ・スペインに勝てた理由】森保ジャパンの戦術と選手層を分析
2022年大会を振り返る際、ドイツとスペインへの勝利だけを切り取ると、日本が大会を通じて圧倒的な強さを見せたように受け取られることがある。
しかし、実際の試合内容はもっと複雑だった。
日本はコスタリカに敗れており、グループリーグ全体を通して安定した結果を残したわけではない。むしろ、相手の特徴に合わせて戦い方を変更できたことが、強豪国相手の勝利につながった。
1. 交代選手が試合の流れを変えた
ドイツ戦で象徴的だったのが、堂安律と浅野拓磨の活躍だ。
前半はドイツにボールを支配され、厳しい展開が続いた。それでも日本は守備の集中力を保ち、後半に攻撃の圧力を強めた。
後半から投入された堂安と浅野が、それぞれ75分、83分に得点。途中出場の選手が勝敗を左右する働きをした。
JFAの試合レポートも、両選手の後半の得点を歴史的な逆転勝利の要因として取り上げている。
この試合が示したのは、先発11人だけでなく、途中出場の選手も含めた選手層の厚さだった。
2. スペイン戦では3バックを採用
スペイン戦で森保監督は、今大会初めて試合開始から3バックを採用した。
相手のボール保持に対応しながら守備の人数を確保し、奪った後には前線の選手のスピードを生かす。試合展開に応じた戦術変更が特徴だった。
後半開始から堂安律と三笘薫が投入され、堂安が48分、田中碧が53分にゴールを決めた。
特に田中のゴールは、三笘がゴールライン際で折り返したボールに田中が反応したものだった。
この連続得点によって、日本はスペインを2-1で破った。
3. コスタリカ戦の敗北が示した課題
一方、コスタリカ戦では0-1で敗れた。
ドイツやスペインとの試合では、相手が攻撃に出てくることで、日本が速攻を仕掛けるスペースを得られた。しかし、コスタリカ戦では異なる試合展開への対応が求められた。
この敗戦は、強豪相手に力を発揮できることと、異なるタイプの相手にも安定して勝てることは別問題だと示している。
4. クロアチア戦で残った最後の課題
クロアチア戦では、先制したものの後半に追いつかれ、延長戦でも得点を奪えなかった。
PK戦での敗退は惜しまれるが、決勝トーナメントで勝ち切るには、90分だけでなく延長戦も含めて試合を管理する力が求められる。
ドイツやスペインを倒したことは大きな成果だった。しかし、ベスト8以上を目指すには、試合を優位に進める時間を増やし、リードした後の展開をコントロールする能力も必要だった。
2022年の日本代表は、強豪国を倒せる攻撃力と柔軟性を証明した一方、試合を安定して支配するという課題も残した。
【歴代ワールドカップ日本代表と比較】2022年大会が残した意味
日本がワールドカップに初めて出場したのは1998年のフランス大会だった。
その後、2002年の日韓大会、2006年のドイツ大会、2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会を経て、2022年のカタール大会へとつながった。
日本は1998年から2022年まで、7大会連続で本大会に出場した。
JFAの歴代大会記録では、2002年、2010年、2018年、2022年にベスト16へ進出している。
歴代大会と2022年の位置づけ
- 1998年フランス大会: 日本が初めて本大会に出場。グループリーグ敗退。
- 2002年日韓大会: 自国開催で初のグループリーグ突破。ベスト16。
- 2006年ドイツ大会: グループリーグ敗退。
- 2010年南アフリカ大会: ベスト16。
- 2014年ブラジル大会: グループリーグ敗退。
- 2018年ロシア大会: ベスト16。
- 2022年カタール大会: ドイツとスペインを破り、グループE首位通過。ベスト16。
2022年大会は、日本が4度目のベスト16に進んだ大会であり、2018年に続く2大会連続の決勝トーナメント進出でもあった。
2026年から見た森保ジャパンの現在地
2026年の視点から振り返ると、カタール大会は森保体制の重要な転換点だった。
2022年12月28日、JFAは森保監督との契約更新に合意した。ワールドカップで指揮を執った監督が、その後も日本代表を継続して率いるのは初めてのことだった。
さらに2026年7月23日、JFAは森保監督が引き続き日本代表を指揮し、2027年のAFCアジアカップ終了まで続投することを発表した。その後は大岩剛氏が2030年ワールドカップを目指す代表監督に就任する予定となっている。
2026年大会では、日本はグループステージを突破したものの、ラウンド32でブラジルに敗れた。JFAの大会ヒストリーにも記録されている通り、世界の強豪と戦い続ける挑戦は現在も続いている。
2022年大会の価値は、単にドイツやスペインに勝ったことだけではない。長期的な代表強化の中で、世界の強豪国に勝つための戦術的な選択肢と選手層を示したことにある。
【2022年ワールドカップ日本代表】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2022年ワールドカップの日本代表は何位だった?
A1:グループEを2勝1敗、勝ち点6で1位通過し、決勝トーナメントのラウンド16まで進出しました。クロアチアとの試合は1-1からPK戦1-3で敗れ、最終成績はベスト16です。
Q2:2022年日本代表の監督は誰だった?
A2:森保一監督です。2018年7月に日本代表監督へ就任し、約4年4カ月にわたってチームを率いてカタール大会に臨みました。
Q3:日本代表はなぜ7大会連続でワールドカップに出場できた?
A3:アジア最終予選の序盤は1勝2敗と苦戦しましたが、オーストラリア戦での戦術変更をきっかけに6連勝を達成しました。2022年3月24日のオーストラリア戦で三笘薫が2得点を挙げ、7大会連続7回目の出場を決めました。
Q4:2022年日本代表の26人に中山雄太は入っていた?
A4:最初のメンバー発表には含まれていましたが、負傷によって大会不参加となりました。代わりに町野修斗が招集され、最終的な26人のメンバーに入りました。
Q5:2022年ワールドカップで日本が勝った強豪国は?
A5:グループリーグでドイツとスペインにそれぞれ2-1で勝利しました。いずれも先制点を許した後の逆転勝利でした。
まとめ:2022年ワールドカップ日本代表から読み解く日本サッカーの進化
2022年のカタールワールドカップは、日本代表にとって大きな成果と課題の両方が残った大会だった。
森保一監督の就任から約4年4カ月。アジア最終予選の1勝2敗という厳しい状況を乗り越え、6連勝を達成して7大会連続の出場権を獲得した。
本大会では、堂安律、浅野拓磨、三笘薫、田中碧らが活躍。ドイツとスペインを破り、グループEを首位で突破した。一方、クロアチアとのPK戦では敗れ、初のベスト8には届かなかった。
【プロの結論】2022年日本代表を評価する際に押さえたいポイントは3つある。
1. 予選突破の再現力: 序盤の不振から戦術と選手起用を修正し、6連勝で出場権をつかんだ。
2. 世界基準の選手層: 海外クラブで経験を積んだ選手と国内組が競争し、交代選手も試合を決める力を発揮した。
3. ベスト8への課題: 強豪国に勝つ力だけでなく、試合全体を安定してコントロールする能力が求められた。
2026年現在、日本代表の歩みを振り返るうえでも、カタール大会は重要な基準となる。強豪国に勝てることを証明したチームが、さらに上の舞台を目指すために何を改善すべきなのか。その答えを考えるうえで、2022年のSAMURAI BLUEが残した実績と課題は、今も大きな意味を持っている。