【日産栃木工場の現在】生産車種・規模・最新の工場再編計画

目次

日産栃木工場は、栃木県河内郡上三川町上蒲生2500に位置しています。東京から北へ約100km、宇都宮市の南側にある日産自動車の主要生産拠点です。

【検証資料 1】日産栃木工場の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

日産の公式工場紹介によると、栃木工場は国内の日産工場で最大の敷地面積を誇り、栃木試験場を含む敷地は約292万2,000平方メートル。従業員数は2025年9月30日時点で約6,000人です。

2026年11月現在、公式サイトに掲載されている主な生産車種は次の3モデルです。



日産リーフ

2025年に栃木工場で生産を開始した電気自動車です。


日産アリア

2021年に栃木工場で生産を開始した電気自動車。ニッサンインテリジェントファクトリーの導入を象徴するモデルです。


フェアレディZ

長年にわたり栃木工場のスポーツカー生産を象徴してきたモデルです。

生産品目は完成車だけではありません。鋳造部品、アルミ部品、車軸部品のほか、アクスルの組立・機械加工、モーター組立も手がけています。

また、2021年には国内の日産工場で初めて「ニッサンインテリジェントファクトリー」を導入しました。ロボット技術と熟練技能者の技術を組み合わせ、人とロボットが協力する生産体制を構築しています。

日産の公式説明では、塗装工程におけるCO2排出量を25%削減する取り組みも紹介されています。栃木工場は、従来の高級車・スポーツカー中心の工場から、電動車の生産技術を担う拠点へと役割を広げているのです。

さらに見逃せないのが、2026年9月10日に発表された国内生産体制の再構築計画です。

日産は日本国内の年間生産規模を、2025年の約56万台から長期的に100万台規模へ引き上げる方針を示しました。そのなかで栃木工場は、スポーツカー、電気自動車、ミニバンを生産する先進生産拠点に位置づけられています。

具体的な将来の車種配置は次のとおりです。

- 第1工場:フェアレディZ、スカイライン
- 第2工場:リーフ、アリア、ミニバン
- 中期的な生産移管:日産自動車九州からセレナ、日産車体九州からエルグランド

特にセレナとエルグランドの生産移管は、栃木工場の将来を左右する重要な計画です。ただし、移管の具体的な完了時期は発表資料に示されていません。

つまり、栃木工場はスポーツカーを守るだけでなく、電気自動車とミニバンを組み合わせた多車種生産拠点へ変わろうとしています。

【歴史】1968年の鋳造工場から名車を生み出す一大拠点へ

日産栃木工場

日産栃木工場の歴史は、1968年に始まります。当初から完成車を大量生産していたわけではありません。最初に始まったのは、アルミや鉄を使った鋳造部品の生産でした。

その翌年にはアクスルの生産を開始。1971年に組立工場が完成すると、車両の最終組立までを行う一貫生産体制が整いました。

この段階的な発展が、その後の高級車・スポーツカー生産につながっていきます。

日産の公式沿革と2018年の操業50周年発表をもとに、主な出来事を整理しました。

日産栃木工場の歴代生産車種と主な転換点

日産栃木工場
年代 生産車種・出来事 工場の変化 1968年 鋳造部品 アルミ・鉄の鋳造生産を開始 1969年 アクスル 車軸部品の生産を開始 1971年 セドリック・グロリア 車両の一貫生産体制を確立 1973年 テストコース 栃木試験場のコースが完成 1988年 シーマ 高級車生産を強化 2000年 スカイライン スポーツセダン生産を拡充 2001年 ステージア 生産車種を拡大 2004年 フーガ・フェアレディZ 高級車・スポーツカーの生産を強化 2007年 日産GT-R フラッグシップスポーツカーの生産開始 2013年 INFINITI Q50 海外向け高級車ブランドを拡充 2016年 INFINITI Q60 海外向けスポーツクーペの生産開始 2018年 操業50周年 累計生産台数983万台を発表 2021年 日産アリア インテリジェントファクトリー導入 2025年 日産リーフ 新世代EVの生産を開始

出典:日産自動車公式「栃木工場の沿革」「栃木工場操業50周年」発表資料。

セドリック・グロリアからシーマへ

日産栃木工場

1971年に生産が始まった230型セドリックとグロリアは、栃木工場の自動車生産の出発点となった車種です。

セドリックとグロリアは、日産を代表する高級セダンとして長い歴史を持ちます。これらの生産を通じて、栃木工場は大型車の組立技術や品質管理のノウハウを蓄積していきました。

1988年にはシーマの生産を開始します。高級車の品質や仕上がりに対する要求が高まるなか、塗装や組立、検査などの工程で高度な技能が求められるようになりました。

2012年にはシーマハイブリッドの生産も始まり、伝統的な高級車生産と電動化技術が交わる転換点を迎えています。

スカイライン・GT-R・フェアレディZが象徴するスポーツカーの歴史

2000年にスカイライン、2004年にフェアレディZ、2007年に日産GT-Rの生産を開始しました。

この3車種は、栃木工場を語るうえで欠かせない存在です。単に車両を組み立てるだけでなく、高い走行性能を実現するための品質管理や精密な製造技術が求められるからです。

特にGT-Rは、日産の技術力を象徴するモデルとして知られています。こうしたスポーツカーの生産経験は、現在のフェアレディZやスカイラインの生産体制にもつながっています。

インフィニティQ50・Q60も栃木工場で生産

栃木工場は日本国内向けの車両だけでなく、海外市場向けの高級車ブランド「INFINITI(インフィニティ)」の車両も生産してきました。

公式沿革では、2013年にINFINITI Q50、2016年にINFINITI Q60の生産を開始した記録があります。

Q60はスポーティーなデザインを特徴とするクーペで、栃木工場が高級車とスポーツカーの両方を手がける生産技術を持っていたことを示すモデルです。

なお、Q60は歴代生産車種であり、2026年現在の公式生産車種一覧に掲載されている現行モデルではありません。過去の生産実績と現在の生産車種を混同しないことが大切です。

【栃木試験場】全長6.5kmの高速耐久テストコースとは?

日産栃木工場の大きな特徴は、工場敷地内に研究開発施設である栃木試験場を併設していることです。

その象徴ともいえる設備が、全長6.5kmの高速耐久テストコースです。1973年にテストコースが完成して以来、栃木工場は車両の製造だけでなく、走行性能や耐久性を確かめる開発拠点としても重要な役割を果たしてきました。

6.5kmの高速耐久テストコースで何を検証するのか

高速耐久テストコースでは、高速走行時の車両性能や耐久性などを確認します。長時間の走行を通じて、車体や各部品にかかる負荷、走行時の安定性などを評価するための設備です。

また、栃木試験場には高速周回路だけでなく、さまざまな道路環境を再現する試験設備が用意されています。

- 高速散水路:雨天時の走行を想定した試験
- 石畳路:凹凸のある路面での振動や乗り心地の確認
- コンクリート路:異なる舗装条件での走行評価
- 砂利道など:路面から車両に伝わる衝撃や負荷の確認

日産の技術紹介記事によると、試験場には10種類以上の路面が設けられています。アメリカの道路にあるマンホールカバーや縁石など、各国の実際の道路環境を再現する設備も特徴です。

つまり、単に高速で走れるかどうかを調べる場所ではありません。世界各国の道路事情を踏まえ、乗り心地、耐久性、安全性などを総合的に評価する施設なのです。

なぜ栃木工場に試験場が併設されているのか

車両の品質を高めるには、製造工程と開発・評価工程の連携が欠かせません。

栃木工場では、車両の生産と走行実験を行う施設が同じ広大な敷地に存在します。製造技術と実車評価の両方を蓄積できることは、日産にとって大きな強みです。

日産の技術紹介では、新型車の開発時に各国の道路状況や使用環境を調査し、その負荷を試験場で再現する取り組みも説明されています。

日本で開発した車を世界中のユーザーに届けるためには、日本の道路だけを想定した試験では不十分です。栃木試験場は、世界市場で求められる耐久性や快適性を検証する役割を担っています。

【工場見学】2026年の日産栃木工場の受付状況と予約方法

日産栃木工場を訪問したい人にとって、最も注意したいのが工場見学の内容です。

2026年11月現在、一般の人が製造ラインに入って車両の組立工程を見学する従来型の工場見学は、2025年1月から一時休止されています。一方、ゲストホールでの展示紹介は利用でき、学校向けの社会科見学も別枠で案内されています。

2026年11月現在

一般向けの製造ライン見学と、ゲストホールの展示見学は別のプログラムです。

一般の人が見学できる内容

現在、一般の来場者が利用できる主な内容は、ゲストホールの展示紹介です。

2024年にリニューアルされたゲストホールでは、実際の自動車部品やクルマづくりの工程を紹介する展示、体験型のコンテンツなどを楽しめます。

2025年11月28日付の日産公式スタッフブログでは、ゲストホールは予約なしでも見学でき、開館時間は月曜日から金曜日の9時~17時と案内されています。ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始は休館です。

一方、スタッフによる展示紹介プログラムは別途予約制で、所要時間は60分、参加人数は最大20人です。こちらでは工場内の製造ラインには入れません。

2026年11月の見学受付期間

日産の予約サービスでは、2026年4月以降の見学申し込みについて、新しい予約サイトが導入されています。

一般向けの展示紹介は、基本的に毎月1日から10日までが受付期間で、2か月先の見学日を申し込む仕組みです。

2026年11月分の受付については、11月2日8時から11月10日23時59分までと案内されています。


一般向け展示紹介の概要

対象
一般(個人・団体)


所要時間
60分


参加人数
最大20人


見学内容
展示紹介・自由見学


申込期間
原則、毎月1~10日


見学可能時期
2か月先

※予約状況や開催内容は変更される場合があります。

申し込み後、5営業日以内に見学の可否についてメールが届かない場合は、ゲストホールへの問い合わせが案内されています。

小学校向けの社会科見学は実施している?

一般向けの製造ライン見学が休止されている一方、小学校5年生を対象とした社会科見学は別のプログラムとして用意されています。

こちらはゲストホールの見学、構内バスでの移動、工場見学を組み合わせた内容です。

参加人数は各回最大60人で、1グループ20人、最大3グループまで。各グループに先生が1人以上同行する必要があります。

学校向けの現地見学は、毎月1日から10日までに申し込み、3か月先の日程を選択する方式です。

オンライン工場見学も小学校5年生向けのプログラムとして案内されています。一般向けオンライン見学会については、内容更新のため一時中断する案内が掲載されています。

工場見学で確認したい注意事項

実際に見学に行く場合は、次のルールも押さえておきましょう。

- 工場内(ゲストホールを除く)での写真・動画撮影は禁止。
- カメラ付き携帯電話の使用にも制限がある。
- ハイヒールやサンダルは避け、歩きやすい靴を用意する。
- 工場敷地内は全面禁煙。
- 荒天や自然災害などによって見学が中止される場合がある。
- 体調不良の場合は入館を控える必要がある。

特に撮影制限は、一般的な観光施設とは異なる点です。製造技術や生産設備を扱う施設であることを理解し、スタッフの指示に従いましょう。

【工事期間中の入館制限】ゲストホールは現在も入れない?

「工事期間中はゲストホールに入館できない」という案内を見て、現在も栃木工場に入れないのではないかと心配する人もいるかもしれません。

この情報は、掲載された時期と現在の状況を分けて考える必要があります。

日産公式のスタッフブログには、2024年3月28日付でゲストホールの館内設備工事中であることや、工事期間中はゲストホールに入館できない旨の案内が掲載されています。これは当時の一時的な制限です。

その後、ゲストホールはリニューアルされ、2025年11月28日付の公式ブログでは、予約なしで見学できる施設として紹介されています。さらに2026年にも来場者の訪問記録が更新されています。

したがって、過去の工事案内だけを根拠に、2026年も全面的な入館禁止が続いていると判断するのは適切ではありません。

2026年11月12日はゲストホールが閉館

ただし、2026年11月には個別の休館日が設定されています。




2026年11月12日(木)

閉館

11月12日


日産自動車栃木工場ゲストホールは閉館予定。来場前に公式の最新案内を確認してください。

また、工場見学の受付が再開されているかどうかと、ゲストホールに入館できるかどうかは別の問題です。展示施設が開いていても、製造ラインの一般見学が休止されていることはあります。

訪問前には、次の問い合わせ先で確認するのが確実です。

- 工場見学・ゲストホール:0285-56-1214
- その他の工場に関する問い合わせ:0285-56-1204
- 受付時間:9時~17時(土日・工場非稼働日を除く)

所在地は栃木県河内郡上三川町上蒲生2500。JR宇都宮線の石橋駅から車で約10分、北関東自動車道の宇都宮上三川インターから約5分です。

【プロの結論】日産栃木工場の本当の価値は製造と開発の一体化にある

日産栃木工場を理解するうえで重要なのは、単なる自動車の組立工場として捉えないことです。

1968年の鋳造部品生産から始まり、1971年には車両の一貫生産体制を確立。その後、シーマ、スカイライン、GT-R、フェアレディZ、インフィニティなどの高級車・スポーツカーを生み出してきました。

その一方で、全長6.5kmの高速耐久テストコースを備えた栃木試験場があり、製造と車両評価の両方を担ってきたことが、この工場の大きな特徴です。

そして2021年のニッサンインテリジェントファクトリー導入、2025年の日産リーフ生産開始を経て、電動車の生産拠点としても存在感を高めています。

2026年9月の国内生産再編計画では、スポーツカーとEVに加え、ミニバンの生産集約も予定されています。これは、従来の高級車・スポーツカー中心というイメージを超えた、新しい役割への転換を意味します。

栃木工場の今後を判断する際は、次の3点が重要です。

1. 生産車種の変化:フェアレディZやスカイラインのスポーツカー生産と、EV・ミニバンの生産がどう共存するか。
2. 生産技術の進化:ロボット技術や省エネルギー技術が、品質と生産効率の改善にどこまで貢献するか。
3. 国内生産再編の実行:セレナやエルグランドの生産移管が、どのような時期・体制で進むか。

歴代の名車を生み出してきた技術の蓄積を、次世代の自動車生産にどう生かすのか。日産栃木工場は、日産の国内製造戦略を占ううえでも重要な拠点です。

【日産栃木工場に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:日産栃木工場は現在も稼働していますか? A1:はい。2026年現在も稼働しており、公式サイトでは日産リーフ、日産アリア、フェアレディZなどが生産車種として掲載されています。将来の生産体制についても2026年9月に再編計画が発表されています。

Q2:日産栃木工場の操業開始は何年ですか? A2:1968年です。当初はアルミ・鉄の鋳造部品の生産から始まり、1969年にアクスル、1971年にセドリックとグロリアの車両生産を開始しました。

Q3:日産栃木工場ではどのような車種を生産してきましたか? A3:セドリック、グロリア、シーマ、スカイライン、ステージア、フーガ、フェアレディZ、GT-R、INFINITI Q50、Q60、日産アリア、日産リーフなどです。すべてが現在生産されているわけではなく、歴代の生産実績を含みます。

Q4:日産栃木工場の工場見学は一般の人も参加できますか? A4:ゲストホールの展示見学や展示紹介は一般の人も利用できます。ただし、製造ラインを見学する一般向け工場見学は2025年1月から一時休止されています。学校向け社会科見学は別途案内されています。

Q5:日産栃木工場の見学は予約なしでも可能ですか? A5:ゲストホールの自由見学は、公式スタッフブログで予約不要と案内されています。一方、スタッフによる展示紹介プログラムは予約制です。来場目的に合わせて確認してください。

Q6:栃木試験場の6.5kmコースは一般の人も見学できますか? A6:6.5kmの高速耐久テストコースは、日産の車両開発・評価に使用する試験設備です。一般観光客が自由に入場・走行できる施設ではありません。

Q7:工事期間中はゲストホールに入れませんか? A7:2024年3月には館内設備工事による一時的な入館制限がありました。その後リニューアルされ、2025年以降は来場案内が掲載されています。ただし、2026年11月12日は休館予定です。

まとめ:日産栃木工場は名車の歴史と次世代生産を担う重要拠点

日産栃木工場は、1968年の鋳造部品生産から始まり、セドリック、グロリア、シーマ、スカイライン、GT-R、フェアレディZなどを生産してきた歴史ある工場です。

全長6.5kmの高速耐久テストコースを持つ栃木試験場を併設し、車両の製造と開発評価を支えてきた点も大きな特徴です。

2026年現在はリーフやアリアなどのEV生産を進め、さらにセレナやエルグランドの生産移管を含む国内生産体制の再編が計画されています。

工場見学については、一般向けの製造ライン見学とゲストホールの展示見学を混同しないことが大切です。特に2025年1月以降の一般向けライン見学の休止、2026年11月12日の休館日など、訪問前の確認が欠かせません。

日産栃木工場は、過去の名車を生み出した場所であると同時に、これからの日産のものづくりを支える拠点でもあります。その歴史と現在、そして将来の生産計画を合わせて見ることで、この工場の存在意義がより明確になります。