【年収はどこまで分かる?】一般の親方の給与公開範囲と退職後の待遇
相撲親方の年収を調べるうえで、最も大きな壁になるのが情報公開の範囲です。
理事長や理事の報酬は公開規程から確認できますが、一般の年寄については個人別の給与明細や年収一覧が公表されていません。
2026年時点で公開されている給与情報

日本相撲協会の公式サイトでは、2026年度の事業計画書や収支予算書、2025年度の事業報告書や決算資料などが公開されています。
2025年の決算資料を見ると、事業費には次の人件費が計上されています。
- 役員報酬:約8,942万円
- 給料手当:約40億8,270万円
- 賞与:約8億9,246万円
これらは2025年度の事業費に計上された金額であり、親方だけの給与総額ではありません。
ここから親方の人数で割っても、正確な平均年収は算出できません。
給料手当には親方以外の協会員や職員なども関係し、役員報酬にも外部有識者の理事や監事などが含まれるためです。
つまり、決算書に人件費が掲載されていても、親方一人当たりの給与が分かるわけではありません。
親方の退職金はどうなっている?

親方には、現役力士を引退したときの給付とは別に、年寄としての勤続に関係する退職金制度があります。
一般に紹介されている制度では、親方が年寄を退職する際に、年寄退職金や職務加算退職金が支給される仕組みです。
現役力士時代に受け取る力士養老金などとは区別されます。
一方、常勤役員を経験した人については、公開されている報酬規程にも退職時の待遇が記載されています。
| 項目 | 規程上の内容 |
|---|---|
| 退職慰労金 | 支給限度額3,000万円 |
| 功労金 | 支給限度額2億円 |
| 支給条件 | 常勤役員経験者の退職時に評議員会の決議で支給可能 |
ここでいう金額は、全親方に一律に支給される退職金ではありません。常勤役員経験者を対象とした制度上の上限です。
65歳の定年後は70歳まで協会に残れる?

年寄には停年制度があり、原則として満65歳で退職となります。
ただし、2014年11月に定年後の再雇用制度が導入され、希望する親方が最長70歳まで協会に残れる道が設けられました。
2016年には、元関脇出羽の花の出来山親方が65歳で停年を迎えた後、再雇用制度を利用して協会に残ることが報じられています。後進の指導を続けるため、所属していた出羽海部屋で活動する形でした。
再雇用後の親方は参与として扱われ、通常の現役年寄とは異なる立場で協会の業務に携わります。
ただし、再雇用されたからといって、理事や部屋持ち親方と同じ待遇になるわけではありません。
退職金の積立額から個人の受取額は分かる?
日本相撲協会の2025年度決算では、2025年12月31日時点の引当金として次の金額が計上されています。
- 退職給付引当金:約52億3,910万円
- 役員退職慰労引当金:約4億5,230万円
前者は協会員や事務職員の退職金、後者は役員の退職慰労金に備えるためのものです。
これらは将来の支払いに備えた決算上の残高であり、その年に親方へ実際に支払われた金額ではありません。
したがって、引当金の残高を年寄の人数で割って退職金を推計することもできません。
2026年時点で分かるのは、退職給付や役員退職慰労金の制度と協会全体の会計情報までであり、個々の親方の退職金額ではないということです。
【よくある誤解を検証】相撲親方の給料について知っておきたいこと
相撲親方の収入には、現役力士の給与制度とは異なる特徴があります。特に誤解されやすいポイントを整理します。
誤解1:元横綱なら親方になっても高給になる
現役時代の最高位と、親方としての給与は別の問題です。
元横綱であっても、現役時代の番付がそのまま親方の基本給に反映されるわけではありません。
協会内の役職や職域、勤続年数などを区別して考える必要があります。
誤解2:弟子が横綱になれば師匠の基本給も上がる
弟子の番付上昇によって関係するのは、養成奨励金などの育成実績に対する支給です。
親方本人の基本給が、弟子の番付に応じて自動的に変更される仕組みとは異なります。
誤解3:部屋持ち親方は部屋の収入をすべて自分の年収にできる
相撲部屋には運営費や人材育成に関する費用が支給されます。
しかし、それらは部屋を維持し、弟子を育てるための資金です。部屋の収入と親方個人の給与は分けて考える必要があります。
誤解4:理事の報酬に年寄の給料が上乗せされる
公開規程では、年寄を兼務する常勤役員の年寄給与は定例報酬に含まれています。
したがって、理事報酬と年寄給与を別々に足し算する計算は正確ではありません。
【相撲親方給料に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:相撲親方の平均年収はいくらですか?
一般の親方の平均年収は、公開されている公式資料からは算出できません。理事長や理事などの常勤役員については月額154万8,000円の定例報酬が公開されていますが、これを一般の親方の平均給与として扱うことはできません。
Q2:相撲親方の給料は現役時代の番付で決まりますか?
いいえ。現役力士のように横綱や大関といった番付によって月給が決まる制度ではありません。親方としての勤続年数や協会内の職務・役職などが関係します。
Q3:部屋付き親方にも毎月給料が支払われますか?
はい。部屋付き親方も日本相撲協会の協会員であり、協会から給与を受け取ります。部屋の師匠から個人的に給料をもらう仕組みではありません。
Q4:親方の給料は弟子が関取になると増えますか?
弟子の育成実績に応じて養成奨励金が支給されます。これは通常の給与とは別の制度で、育成した力士の地位に応じて支給額が異なります。
Q5:相撲親方は定年後も収入を得られますか?
満65歳の停年後も、再雇用制度を利用して最長70歳まで協会に残る道があります。再雇用後は参与として活動する仕組みです。個別の報酬額は公開資料から確認できません。
Q6:理事長の年収は2,000万円以上ですか?
定例報酬を12か月分に換算すると1,857万6,000円で、年度末手当110万円を加えると1,967万6,000円です。本部勤務手当などの条件付き手当は別途あるため、実際の年間受取額は勤務状況などによって異なります。
まとめ:相撲親方の給料は役職・勤続年数・育成実績で読み解く
2026年11月時点で確認できる日本相撲協会の公開資料からは、相撲親方の給与制度について、いくつかの重要な事実が分かります。
- 親方の給料は現役力士の番付によって決まるものではない。
- 常勤役員の定例報酬は月額154万8,000円。
- 理事長には110万円、理事には80万円の年度末手当がある。
- 年寄を兼務する常勤役員には、勤続期間に応じた手当が支給される。
- 弟子の育成実績に応じて養成奨励金が支給される。
- 部屋付き親方と部屋持ち親方は、どちらも協会から給与を受け取る。
- 一般の親方の個人別年収や具体的な給与額は公表資料から特定できない。
- 65歳の停年後も、再雇用によって70歳まで協会に残る制度がある。
【プロの結論】
相撲親方の収入を正しく理解するためには、「親方の給料」と「相撲部屋の運営費」、さらに「役員報酬」と「養成奨励金」を混同しないことが大切です。
特に、理事長の年収を一般の親方の年収として紹介したり、協会全体の人件費から平均給与を推測したりする情報には注意が必要です。
親方は単に元力士として部屋を構えるだけの存在ではありません。協会の運営、本場所の開催、若手力士の育成、相撲文化の継承など、多岐にわたる仕事を担っています。
土俵上の番付とは異なる評価軸で成り立っているのが、親方の給与制度です。今後も日本相撲協会の報酬規程や決算資料の更新を確認することが、2026年以降の待遇を正しく把握するための判断基準になります。
主な参照資料:日本相撲協会「役員及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」「定款」「令和7年度財務諸表等」、日刊スポーツの定年後再雇用に関する報道。