【女子パシュートの金メダルはどの大会?】平昌・北京・ミラノの3大会を比較
日本女子がオリンピックの女子団体追い抜きで初めて金メダルを獲得したのは、2018年2月21日の平昌冬季五輪です。決勝で前回大会の優勝国オランダを破り、日本スピードスケート界に残る歴史的な勝利を挙げました。
その後、2022年北京五輪では銀メダル、2026年ミラノ・コルティナ五輪では銅メダルを獲得しています。つまり、日本は3大会連続でメダルを獲得していますが、金メダルは平昌大会の1回です。
大会ごとの成績を比較すると、日本チームの変化と国際的な競争力が見えてきます。
- 2018年・平昌:金メダル。日本が初優勝。五輪新記録を樹立。
- 2022年・北京:銀メダル。カナダとの決勝で惜敗。
- 2026年・ミラノ:銅メダル。オランダに準決勝で敗れた後、アメリカとの3位決定戦に勝利。
特に注目したいのは、2026年大会で日本が決勝進出を逃しながらも、3位決定戦で立て直した点です。単に過去の実績に頼るのではなく、選手の入れ替えを含めたチーム運営によってメダルを守りました。
なお、2026年大会の金メダルはカナダ、銀メダルはオランダです。カナダは北京大会に続く2連覇を達成しました。
【女子団体パシュートの歴代金メダル】2006年から2026年までの優勝国

女子団体追い抜きは、2006年トリノ冬季五輪から正式種目として実施されています。歴代の金メダル獲得国を見ると、ドイツ、オランダ、日本、カナダなど、複数の強豪国が頂点に立ってきました。
オリンピックの歴代メダル記録を整理すると、2026年までの結果は次のとおりです。
出典:Olympediaのオリンピック競技別歴代結果、日本オリンピック委員会の大会記録。
この一覧から分かるのは、日本が2010年バンクーバー大会ですでに銀メダルを獲得していたことです。平昌で突然強くなったわけではありません。2014年ソチ大会では4位に終わりましたが、その後、世界トップクラスのチームへと成長しました。
また、オランダは2014年の金メダルをはじめ、平昌で銀、北京で銅、ミラノで銀を獲得しています。カナダも北京とミラノで連覇しており、この2か国は日本にとって長年のライバルです。
歴代の成績を見れば、日本の実力は一度限りの快挙ではなく、長期間にわたって世界の上位争いに加わってきたものだと分かります。
【日本代表メンバーの歩み】髙木美帆・髙木菜那・佐藤綾乃・菊池彩花

日本の女子パシュートを語るうえで欠かせないのが、髙木美帆、髙木菜那、佐藤綾乃、菊池彩花の4選手です。平昌五輪の金メダルを支えたメンバーであり、その後の日本チームの発展にも大きく関わりました。
髙木美帆:平昌の金から五輪通算10個のメダルへ

髙木美帆(たかぎ・みほ)
髙木美帆は1994年5月22日生まれ、北海道幕別町出身のスピードスケート選手です。15歳で2010年バンクーバー五輪に出場し、長年にわたって日本女子のエースとして活躍しました。
2018年平昌五輪では女子団体パシュートの金メダルに加え、1500mで銀、1000mで銅を獲得。北京五輪では1000mの金メダルを含む4個のメダルを手にしました。
さらに2026年ミラノ・コルティナ五輪では500m、1000m、女子団体パシュートで銅メダルを獲得。4大会にわたるオリンピックで、金2個、銀4個、銅4個の合計10個という日本女子最多のメダル記録を残しました。
2026年4月6日には現役引退を表明。長年日本のスピードスケートを引っ張ってきた選手が競技生活に区切りをつけました。
髙木菜那:平昌で団体とマススタートの2冠
髙木菜那は1992年7月2日生まれ、北海道出身のスピードスケート選手です。妹の美帆とともに平昌五輪に出場し、女子団体追い抜きと女子マススタートの2種目で金メダルを獲得しました。
団体追い抜きでは、妹の美帆や佐藤綾乃とともに日本の隊列を形成。北京五輪でも同じ3人を中心としたチームで連覇を目指しました。
しかし、北京大会の決勝ではゴール直前に転倒。日本は銀メダルとなり、連覇は実現しませんでした。このレースは、団体競技における一瞬のバランスの乱れが結果を左右することを示した場面でもあります。
髙木菜那は北京大会後に現役を退いており、2026年の日本代表には参加していません。
佐藤綾乃:3大会連続で金・銀・銅を獲得
佐藤綾乃は1996年12月10日生まれ、北海道出身のスピードスケート選手です。平昌五輪では髙木姉妹とともに団体追い抜きの金メダルを獲得しました。
その後も北京五輪で銀、ミラノ・コルティナ五輪で銅を獲得。女子団体追い抜きで3大会連続のメダル獲得を達成し、オリンピックのメダルを3色すべてそろえました。
JOCの選手紹介によると、佐藤のオリンピックメダル獲得数は金1個、銀1個、銅1個です。個人種目ではなく、3大会を通じて団体パシュートで積み重ねた実績が特徴です。
2026年3月15日には今季限りでの現役引退を表明しました。3大会を経験した選手として、次世代への競技経験の継承にも期待が集まります。
菊池彩花:平昌の金メダルを支えたもう一人の選手
菊池彩花は2018年平昌五輪の日本代表メンバーです。団体追い抜きでは準決勝に出場し、髙木美帆、髙木菜那とともにカナダを破って決勝進出に貢献しました。
決勝では佐藤綾乃にメンバーが交代し、髙木姉妹と佐藤の3人が実際に滑走しました。ただし、菊池も準決勝での貢献が認められ、金メダルを授与された4選手の一人です。
この点は誤解されやすい部分です。表彰台に上がった4人全員が決勝を滑ったわけではありません。団体競技では、準決勝や決勝などでメンバーを変更しながら勝利を目指すことがあります。
【2026年ミラノ・コルティナ五輪】日本はどう銅メダルを獲得したのか
2026年2月17日に実施された女子団体追い抜きは、日本にとって3大会連続のメダルが懸かった重要なレースでした。
日本代表は髙木美帆、佐藤綾乃、堀川桃香、野明花菜の4人。実際のレースでは、競技の段階に応じて3人ずつ滑走するメンバー構成を採用しました。
1回戦はカナダに次ぐ2位で通過
日本は1回戦で2分55秒52を記録し、全体2位で準決勝に進みました。1位のカナダとは0秒49差。わずかなタイム差が、その後の組み合わせに影響しました。
この競技では、準決勝の対戦相手が1回戦の順位によって決まります。1位と4位、2位と3位が対戦するため、日本は3位のオランダと準決勝で顔を合わせることになりました。
準決勝はオランダに0秒11差で敗退
準決勝では髙木美帆、佐藤綾乃、堀川桃香の3人が出場しました。相手はオランダ。日本は最後まで接戦を演じましたが、最終的にオランダの2分55秒84に対し、日本は2分55秒95。わずか0秒11差で敗れました。
日本は3大会連続の決勝進出を逃し、3位決定戦へ回ることになります。日刊スポーツなどの報道でも、このわずかな差が大きく取り上げられました。
3位決定戦で野明花菜を起用し、アメリカに勝利
3位決定戦では、堀川桃香に代わって野明花菜が出場。髙木美帆、佐藤綾乃、野明花菜の3人でアメリカと対戦しました。
日本は2分58秒50で滑り切り、アメリカに3秒50差をつけて勝利。銅メダルを獲得しました。これにより、平昌の金、北京の銀に続く3大会連続の表彰台が実現しました。
最終的なメダル順位は次のとおりです。
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この大会で特に注目されたのが、野明花菜の五輪初レースです。21歳の野明は、オリンピック初出場でいきなりメダルを懸けた3位決定戦に起用されました。
JOCのインタビュー記事によると、野明はレース序盤と終盤にバランスを崩す場面がありました。しかし、後ろを滑る佐藤が声をかけながら隊列を整え、髙木もスピードを調整。チーム全体で立て直してゴールまでつなぎました。
また、堀川は準々決勝と準決勝を担当し、野明は3位決定戦を担当しました。つまり、銅メダルは表彰台に立った3人だけでなく、4人それぞれの役割によって獲得されたものです。
【スピードスケート団体追い抜きのルール】チームワークと戦術が勝敗を決める
女子パシュートは、正式にはスピードスケートの「女子チームパシュート」または「女子団体追い抜き」と呼ばれます。個人の最高速度だけでなく、3人の隊列、ペース配分、位置取り、選手同士の連携が結果を左右する競技です。
3人で2400メートルを滑り、最後尾の選手のタイムを競う
基本ルールは次のとおりです。
- 1チーム3人で構成する。
- 男女それぞれ2チームがリンクの対角線上から同時にスタートする。
- 女子は6周、合計2400メートルを滑走する。
- 最後尾の3人目がゴールした時点のタイムで勝敗を決める。
- 1回戦のタイム上位4チームが準決勝へ進み、その後はトーナメント方式で競う。
ここで重要なのは、先頭の選手がゴールしても競技は終了しないことです。最後の選手がゴールラインを通過したタイムがチームの記録になります。
そのため、先頭の選手だけが速く滑っても意味がありません。後ろの選手との距離が開けば、隊列全体のスピードが落ち、最終的なタイムにも影響します。
先頭交代と空気抵抗のコントロールが重要
パシュートでは、先頭の選手が空気抵抗を受けながら滑り、後続の選手はその後ろについて走行します。後ろの選手が先頭の選手に近い距離を保つことで、チーム全体の負担を調整できます。
先頭を担当する選手には大きな負荷がかかるため、選手同士の交代や後方からのプッシュ、カーブでの隊列維持が重要です。
2026年ミラノ大会のJOC公式インタビューでは、佐藤綾乃がフォーメーションによって2番手と3番手の役割を使い分けていたことが紹介されています。堀川が入る隊列では2番手、野明が入る隊列では3番手を担当しました。
佐藤は、異なるポジションを担当する難しさを感じながらも、どの戦術にも対応できるよう準備していたと説明しています。
このエピソードは、パシュートが単純に3人の選手を並べれば成立する競技ではないことを示しています。選手ごとの得意な滑り方や体力、隊列の組み合わせまで考慮した戦術が必要です。
日本が得意としてきたのは個人能力と連携の融合
日本が平昌で金メダルを獲得できた背景には、髙木美帆の高いスピード能力だけでなく、髙木菜那、佐藤綾乃との連携がありました。
個人種目で優れたタイムを出せる選手を集めるだけでは、パシュートで勝てるとは限りません。スタートのタイミング、滑走中の距離感、カーブでの姿勢、後方選手への負担を考えた速度調整など、細かな部分まで合わせる必要があります。
JOCの2026年大会後のインタビューでは、髙木美帆が準決勝で自分が引っ張ろうとする意識を抑え、後ろの選手に任せる意識へ切り替えたことも紹介されました。エースが常に主導するのではなく、チーム全体が機能するよう自分の役割を変える姿勢が印象的です。
日本の強さは、個人の能力をチームとして最大限に生かす点にあります。
【日本女子は3大会連続メダル】2026年以降の世代交代と課題
2018年の金、2022年の銀、2026年の銅。日本女子は3大会連続でオリンピックの表彰台に立ちました。この実績は、単に同じメンバーが長期間活躍したという話ではありません。
北京大会後には髙木菜那が競技生活を終え、2026年大会では堀川桃香や野明花菜といった新しい世代がチームに加わりました。メンバーが変わってもメダルを獲得できたことは、日本のチームパシュートが一定の競技基盤を持っている証拠です。
2026年大会後に訪れた大きな転換点
一方で、2026年は日本女子パシュートにとって世代交代が本格化する節目にもなりました。
佐藤綾乃は2026年3月15日に今季限りでの現役引退を表明。髙木美帆も4月6日の記者会見で現役引退を発表しました。
平昌、北京、ミラノの3大会を通じて日本を支えた中心選手が競技生活に区切りをつけたことで、今後は若い選手がどのようにチームの中心を担うかが課題になります。
2026年大会で銅メダル獲得に貢献した堀川桃香は、北京大会にも出場した経験を持ち、2022-23シーズンから女子チームパシュートの主力として活躍してきました。野明花菜はミラノ大会が初のオリンピックで、3位決定戦という大舞台でメダル獲得に貢献しています。
JOCの大会後の特集では、佐藤が次の世代に向けて、チーム内のコミュニケーションを増やすことの大切さを伝えています。個々の選手の能力を高めるだけでなく、チームとして一つになるための時間が必要だということです。
3大会連続メダルをどう評価すべきか
ここで押さえておきたいのは、3大会連続メダルと3大会連続金メダルは異なるという点です。日本が獲得したのは金、銀、銅の順番であり、すべての大会で優勝したわけではありません。
また、2026年大会は3大会連続で決勝に進んだわけでもありません。日本は準決勝でオランダに0秒11差で敗れ、3位決定戦に進んでいます。それでもアメリカを下して銅メダルを獲得したことに価値があります。
競技力を評価する際は、金メダルの数だけでなく、メダル獲得の継続性、世界上位国とのタイム差、選手の入れ替えに対応できるチーム力も見る必要があります。
2026年の結果は、日本が依然として世界トップ3を争う力を持つことを示しました。一方、カナダの連覇やオランダの安定した強さを考えれば、次の大会で再び金メダルを獲得するには、若手選手の成長とチーム戦術の再構築が欠かせません。
【女子パシュートの金メダルに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本が女子パシュートで金メダルを獲得したのは何年ですか?
A1:2018年平昌冬季オリンピックです。日本は決勝でオランダを破り、2分53秒89の五輪新記録で初優勝しました。
Q2:2026年ミラノ・コルティナ五輪の女子パシュートで金メダルを獲得した国はどこですか?
A2:カナダです。銀メダルはオランダ、銅メダルは日本でした。カナダは北京2022大会に続く2連覇を達成しています。
Q3:日本の女子パシュートは何大会連続でメダルを獲得していますか?
A3:2018年平昌、2022年北京、2026年ミラノ・コルティナの3大会連続です。獲得したメダルは金、銀、銅の順番です。
Q4:平昌五輪の金メダルメンバーは誰ですか?
A4:髙木美帆、髙木菜那、佐藤綾乃、菊池彩花の4人です。決勝では髙木姉妹と佐藤が滑走し、菊池は準決勝に出場しました。
Q5:佐藤綾乃はオリンピックで何個のメダルを獲得しましたか?
A5:女子団体追い抜きで金1個、銀1個、銅1個の合計3個です。2018年平昌、2022年北京、2026年ミラノ・コルティナの3大会で獲得しました。
Q6:髙木美帆のオリンピック通算メダル数はいくつですか?
A6:通算10個です。内訳は金2個、銀4個、銅4個。2026年4月に現役引退を表明しました。
Q7:女子パシュートは何人で滑る競技ですか?
A7:1チーム3人で滑ります。女子は400メートルリンクを6周し、最後尾の選手がゴールしたタイムで勝敗が決まります。
まとめ:女子パシュート日本代表の金メダルと今後の展望
女子パシュートは、日本女子スピードスケートの歴史を語るうえで欠かせない競技です。2018年平昌五輪では髙木美帆、髙木菜那、佐藤綾乃、菊池彩花らが初の金メダルを獲得し、日本の団体追い抜きの強さを世界に示しました。
2022年北京大会では銀メダル、2026年ミラノ・コルティナ大会では銅メダルを獲得。3大会連続の表彰台という結果は、選手が入れ替わっても日本が世界上位の競争力を維持してきたことを示しています。
一方で、2026年大会後には髙木美帆と佐藤綾乃が引退を表明し、日本代表は新しい段階に入りました。堀川桃香や野明花菜をはじめとする次世代の選手が、これまでの経験と戦術をどのように引き継ぐかが注目されます。
今後の日本代表を評価するときは、金メダルの獲得だけに注目するのではなく、世界選手権やワールドカップでの成績、準決勝進出の安定性、3人の隊列を維持する技術、若手選手の成長を総合的に見ることが大切です。
平昌で始まった日本女子の金メダルの歴史は、北京の銀、ミラノの銅へとつながりました。次の世代が再び世界の頂点に立てるかどうか。女子パシュートは、これからも日本スピードスケートの実力を測る重要な種目であり続けます。