【人物・事業の関係性】船木和喜と王様の工房をつないだ競技人生
王様の工房を理解するには、船木さんの競技人生と食品事業の関係を知る必要がある。
アップルパイの販売は、単に引退後の第二の仕事として始まったものではない。長野オリンピック後に独立した船木さんが、自分自身の競技活動と、次世代のジャンプ選手を支援する仕組みを作ろうとしたことが出発点だった。
船木和喜の経歴と事業の転換点
船木さんは1975年4月27日生まれ、北海道余市町出身。小学生のころからスキーに親しみ、小学5年生でジャンプを始めた。1998年の長野オリンピックでは日本代表として大きな成果を残した。
競技の実績と食品事業の歩みを整理すると、次のようになる。
この経歴から分かるのは、王様の工房が船木さんの競技人生から切り離された事業ではないということだ。
食品販売で得た収益を競技の普及や育成に役立てるという目的があり、商品を買う人も、その活動を間接的に支える関係になっている。
【なぜアップルパイを作る?】現役ジャンパーが菓子事業を続ける本当の理由
船木さんがアップルパイを作る理由は、意外にもスイーツ事業そのものを大きくすることだけではない。
根底にあるのは、日本のスキージャンプ界を次の世代につなげたいという思いだ。
食品販売を始めたきっかけは少年ジャンパーへの支援
Number Webが2025年3月4日に掲載したインタビューによると、船木さんは長野オリンピック後、所属していた企業を離れて独立した。
自身の活動を支援するスポンサーを探すと同時に、各地のジャンプ少年団を支えてくれる企業も探していたという。
しかし、競技の支援をしてくれる企業を探すことは簡単ではなかった。そこで食品会社への営業活動を通じて、食品の販売権を提供してもらうという方法に出会う。
当初は餃子やコロッケ、ドーナツなどを販売。2008年には食品販売卸を扱う会社「えにし」を設立し、各地の物産展に出店する事業へと発展させた。
その後、自社商品を持つ必要性を感じ、故郷の余市町で農家との関係を築きながら、りんごやさくらんぼを使ったパイの製造・販売に取り組むようになった。
売り上げの一部を次世代の選手へ
この事業の特徴は、売り上げの一部をウィンタースポーツの普及・育成に活用していることだ。
Number Webの取材では、船木さんが食品事業を通じてジャンプ少年団を支援し、スキー用品を定期的に送るなどの活動を続けていることが紹介された。
2026年の新潟伊勢丹の催事案内にも、アップルパイの売り上げの一部をウィンター競技に取り組む子どもたちのために寄付する旨が掲載されている。
つまり、購入者が支払った代金は、おいしいお菓子を手に入れるためだけのものではない。次世代の競技環境を支える活動にもつながっている。
なぜ本人が百貨店の売り場に立つのか
船木さんは商品の製造だけでなく、全国の物産展で自ら販売することにも意味を見いだしている。
Number Webのインタビューでは、店頭で購入者と直接会話することによって、スキージャンプ界の現状や育成の必要性を伝える機会が生まれると語っている。
商品を購入した人が競技の現状を知り、そこから新しい支援につながることもある。百貨店の売り場が、食品販売とスポーツ振興をつなぐ接点になっているのだ。
この仕組みは、一般的な食品メーカーの販売戦略とは少し異なる。大量生産・大量流通によって認知度を上げるのではなく、船木さん自身が現場に立ち、商品の背景にある思いを伝えることを重視している。
アップルパイが売れることと、ジャンプ界に関心を持つ人が増えること。その二つを同時に目指している点に、王様の工房ならではの事業価値がある。
【2026年最新】船木和喜は現在も現役?長野五輪からの歩み
アップルパイをきっかけに船木さんを知った人の中には、「現在は引退しているのでは?」と思う人もいるかもしれない。
しかし、2026年11月現在も競技者として活動している。1975年4月27日生まれのため、2026年11月1日時点では51歳だ。
長野オリンピックで獲得した金メダル2個と銀メダル1個
船木さんの最大の実績は、1998年長野オリンピックでの活躍だ。
個人ラージヒルで金メダル、団体ラージヒルでも金メダルを獲得。さらに個人ノーマルヒルでは銀メダルを手にした。
1999年の世界選手権でもノーマルヒルの金メダルを獲得し、ワールドカップ通算15勝、1997-1998シーズンのジャンプ週間総合優勝という実績も残している。
長野五輪の団体戦ではアンカーを務め、日本チームの金メダル獲得に貢献した。日本のスキージャンプ史を語るうえで欠かせない選手の一人である。
2026年も競技を続け、テレビで解説も担当
2026年1月29日には、きのこらぼのアスリートインタビューに登場。競技を始めたきっかけや、長野五輪当時の食生活、現在の競技活動について語っている。
さらに、2026年2月15日にはTBS系「サンデーモーニング」に出演。ミラノ・コルティナ五輪のスキージャンプについて解説した。
同日の報道では、二階堂蓮選手がラージヒルで銀メダルを獲得したジャンプについて、空中でのスキー板の動きに着目して技術的な解説を行っている。
これは、船木さんが単に過去の金メダリストとして活動しているのではなく、現在の競技を理解する現役選手としての視点を持っていることを示す出来事だ。
50代になってもジャンプを続ける理由
2025年のNumber Webのインタビューでは、船木さんは競技を続ける理由について、スポンサーとして支えてくれる企業の思いに応えたいという考えを明かしている。
また、年齢を理由に競技を続けることに固執しているわけではなく、自分ができる形でジャンプに関わり続けたいという姿勢も示している。
ここで重要なのは、現役選手としての活動と食品事業が別々の目的を持っているわけではないことだ。
自分が飛び続けることも、子どもたちの競技環境を支えることも、日本のジャンプ界の未来につながっている。王様の工房は、その思いを具体的な商品に変えた事業といえる。
長野五輪の金メダルを展示しながらアップルパイを販売する姿は、過去の栄光を懐かしむだけの活動ではない。競技の魅力を次の世代に伝えるための現在進行形の取り組みなのだ。
【よくある質問】船木和喜のアップルパイに関するFAQ
Q1:船木和喜さんのアップルパイは2026年11月現在どこで買えますか?
A1:直近の購入機会は、近鉄百貨店和歌山店の「秋の北海道大物産展」です。王様の工房は2026年11月4日から10日まで第2弾に出店予定で、1ホール1,398円。11月6日には30ホール限定の1,188円販売も予定されています。
Q2:船木和喜さんのアップルパイは通販で買えますか?
A2:2026年11月1日時点では、継続的に注文できる公式通販窓口を確認できません。百貨店の北海道物産展での購入が主な方法です。通信販売を希望する場合は、本人の公式発信や販売元の案内を確認してください。
Q3:アップルパイの原材料は何ですか?
A3:北海道余市産の紅将軍が主役です。約1.5玉弱のりんごを使う商品としてテレビ取材で紹介され、砂糖を控えめにした特徴も伝えられています。全原材料やアレルゲンについては商品ラベルで確認してください。
Q4:王様の工房の店舗は毎日営業していますか?
A4:実店舗は不定期営業とされています。固定された営業時間を前提に訪問せず、事前に営業状況を確認することをおすすめします。
Q5:船木和喜さんは現在もスキージャンプの現役選手ですか?
A5:はい。2026年のインタビューや五輪関連報道でも、現役競技者として活動していることが紹介されています。2026年11月時点で51歳です。
まとめ:船木和喜のアップルパイは味と競技支援の両方に価値がある
船木和喜さんが手掛ける王様の工房のアップルパイは、北海道余市産の紅将軍を使った商品であり、長野オリンピックの金メダリストが製造・販売に携わっているという独自性を持つ。
2026年の百貨店催事では1ホール1,398円で販売されており、11月4日から10日までは近鉄百貨店和歌山店で購入できる機会がある。11月6日の特別価格も注目したい。
また、商品の背景には、船木さんが長年取り組んできたスキージャンプの普及と次世代選手への支援がある。食品事業で得た収益を競技の育成に活用し、本人が店頭に立って競技の魅力を伝える活動を続けている。
【プロの結論】購入する価値をどう判断するか
王様の工房のアップルパイは、次のような人におすすめできる。
- 北海道余市産のりんごを使ったスイーツを食べてみたい人
- 甘さだけでなく、りんごの甘酸っぱさや果実感を楽しみたい人
- 長野オリンピックやスキージャンプに思い入れがある人
- 商品購入を通じて子どもたちのスポーツ活動を応援したい人
- 百貨店の北海道物産展でしか出会えない限定感を楽しみたい人
一方、いつでも注文できる通販商品を探している人や、余市町の店舗に決まった営業時間で訪れたい人には、購入のハードルが高い可能性がある。催事の開催日と販売方法を事前に確認することが大切だ。
船木さんのアップルパイの魅力は、金メダリストという肩書だけではない。故郷のりんごを使い、自ら商品を作り、販売し、その活動を次世代のジャンプ選手につなげていることにある。
長野五輪から約28年。今もジャンプ台に立ち、百貨店の売り場ではアップルパイを焼く。船木和喜さんの現在を知ると、この一つのパイに込められた意味も、また違って見えてくる。
食べることで、北海道余市の味を楽しみながら、日本のウィンタースポーツの未来にも思いを寄せられる。それが王様の工房のアップルパイが持つ、ほかの商品にはない魅力だ。
主な参考資料:日本オリンピック委員会(JOC)、Number Web、NST新潟総合テレビ、石川テレビ、きのこらぼ、近鉄百貨店、三越伊勢丹、阪急阪神百貨店の2025~2026年公開情報。