【村木風海の経歴】17歳でCRRAを創業、東大中退後の歩みを時系列で整理

目次

村木風海さんは2000年8月18日、神奈川県相模原市生まれ。山梨県で育ち、小学4年生だった2010年ごろから化学や二酸化炭素の研究に取り組み始めました。

研究の出発点は、火星に人類が住むためには何が必要なのかという疑問でした。火星の大気にCO2が多く含まれていることに着目し、二酸化炭素を回収・利用する技術を考え始めたといいます。

高校2年生だった2017年には、総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の異能vationプロジェクト「破壊的な挑戦部門」に採択されました。同年10月5日、研究機関CRRAを創設。17歳で機構長に就任したことが、その後の活動の大きな転機となっています。

村木風海のプロフィール・主な経歴

時期 出来事 内容・実績
2000年8月 誕生 神奈川県相模原市生まれ
2010年 研究開始 小学4年生から化学・CO2研究に取り組む
2017年 CRRA創設 異能vation採択、17歳で機構長に就任
2017年12月 ひやっしー初号機 超小型CO2回収装置を完成
2018年 実証実験 山梨県北杜市の学校などに21台を設置
2019年 東京大学入学 推薦入試で理科一類に入学
2021年 専門課程へ進学 工学部化学生命工学科
2023年3月 東京大学を満期退学 大学改革支援・学位授与機構から学士(工学)を取得
2023年4月 専門学校へ進学 東京医学技術専門学校の臨床検査技師科II部
2024年5月 株式会社設立 炭素回収技術研究機構株式会社を設立
2026年4月 新役員体制 創業者兼CEOとして研究開発を主導

出典:CRRA公式プロフィール、機構概要、公式発表。

村木さんの経歴で特徴的なのは、研究者としての活動と会社経営を早い段階から並行させてきたことです。2019年にはForbes JAPAN 30 UNDER 30のサイエンス部門に選出され、2021年にはForbes JAPAN 100にも選ばれています。2018年の大村智自然科学賞も主な受賞歴の一つです。

東京大学を中退した理由は?

村木さんが東京大学を離れた理由については、2023年5月のABEMA TIMESのインタビューで本人が説明しています。

本人によれば、退学を決めたのは2022年9月ごろ。大学の研究室での活動と、代表を務めるCRRAの研究・経営を両立することが難しくなったことが背景にありました。

「一言でいうと『温暖化を止めるため』です。」

【検証資料 1】村木風海の当時の様子・関連報道写真(出典:tanemakimebuki.com)

本人の説明では、研究室での活動は週6日、朝から夜遅くまで続き、CRRAの業務に使える時間が限られていました。大学で学びたい内容を学んだと考え、残りの在学期間を大学卒業という肩書きのためだけに使うより、温暖化対策の研究に専念する道を選んだとしています。

ただし、学歴については正確に理解する必要があります。

村木さんは東京大学を卒業したわけではありません。2023年3月に同大学を満期退学し、その後、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学士(工学)の学位を取得しています。

つまり、東京大学で学んだ経歴と、学士号を取得した経路は別です。「東大卒」と「東大に在籍した後、別の機関から学士号を取得した」という説明は区別しなければなりません。

【村木風海の現在・2026年最新】CRRA機構長として何をしている?

村木風海

2026年の村木さんの活動を理解するには、CRRAの組織体制と研究テーマを見る必要があります。

CRRAは、CO2を空気から回収するだけでなく、回収した二酸化炭素を燃料や化学製品に転換することも目指す研究機関です。

一般社団法人としての組織と、事業を担う株式会社があり、両者の役割は同じではありません。

2026年4月に新しい経営体制へ

CRRAの2026年4月1日付の公式発表によると、株式会社の新役員体制では、村木さんが「代表取締役機構長・創業者兼CEO」に就任しました。

一方、笹原隆史さんは「代表取締役社長兼COO」となり、経営と事業運営を統括する役割を担います。

この変更は、研究開発と事業推進の責任を明確に分ける動きとして注目されます。

CRRAの公式会社概要には、資本金5,000万円、研究員数7名と記載されています。研究員数には役員、雇用社員、業務委託などが含まれるため、7名全員が専任の研究職という意味ではありません。

2026年の主な活動と研究テーマ

2026年6月18日には、第4回の公募出資に関する発表がありました。

今回の社会実装テーマとして掲げられたのは、閉鎖環境における農業分野でのCO2利活用です。募集上限額は5,750万円で、CO2回収装置や吸収剤の事業化に加え、回収した二酸化炭素を農業に活用する方向性が示されています。

また、2026年3月25日更新の本人プロフィールには、東京医学技術専門学校の臨床検査技師科II部について、2年生・休学中・春の復学準備中との記載があります。

ただし、この記載は3月時点の情報です。2026年11月現在の実際の復学状況については、後続の公式発表で確認できる情報がありません。

したがって、現在の中心的な公的肩書として確認できるのは、CRRAの創業者・機構長・CEOです。

【ひやっしーの仕組みとCO2回収効果】公表された性能を検証

さんの名前とともに知られているのが、CO2回収装置「ひやっしー」です。

ひやっしーは、一般家庭やオフィスなどに設置する小型のDAC装置です。CRRAは2026年の公式プロフィールで第4世代を販売中と説明しています。

ひやっしーはどのようにCO2を回収する?

の基本的な仕組みは、アルカリ性の液体を利用した化学吸収法です。

装置の中にはCO2を吸収する性質を持つアルカリ性液体が入ったカートリッジが設置されています。

空気を装置内部に取り込み、空気中の二酸化炭素を液体に吸収させることで、CO2濃度が低くなった空気を外部へ放出します。

この原理はDACと呼ばれる技術分野の一つです。

DACとはDirect Air Captureの略で、日本語では直接空気回収と呼ばれます。大気中に薄く広がっているCO2を直接取り出す技術であり、化学吸収法、化学吸着法、膜分離法など複数の方式があります。

産業技術総合研究所(産総研)の解説でも、アルカリ水溶液を使う化学吸収法はDACの代表的な方式として紹介されています。

公式発表のCO2回収性能

CRRAが公開している性能試験では、装置に取り込む空気のCO2濃度と、装置から排出される空気のCO2濃度を比較しています。

吸入空気のCO2濃度 放出エアのCO2濃度 公表回収率
平均460ppm 平均200ppm 約60%
約1,300ppm 約250ppm 約81%
約4,800ppm 約760ppm 約84%

出典:CRRA「ひやっしーについて」。

測定にはAgilent製のガスクロマトグラフが使用され、460ppmの条件では24時間の経時変化を測定。1,300ppmと4,800ppmの条件では、100Lのテドラーバッグに調製したガスを用いて複数回測定したと説明されています。

この数値は、装置を通過する空気のCO2濃度がどれだけ下がったかを示すものです。

ここで注意したいのは、回収率60〜84%という数値が、そのまま地球全体のCO2排出量を60〜84%減らすことを意味するわけではないという点です。

装置に入った空気の濃度低下と、1日・1年間に実際に回収できるCO2の質量は異なる指標です。さらに、回収したCO2をどのように保管・利用するのかも、環境効果を評価するうえで欠かせません。

特許を取得していることは環境効果の証明になる?

CRRAによれば、ひやっしーのCO2回収システムは特許第7004881号の特許を取得しています。

特許は技術的な発明に対する権利です。しかし、特許取得と、製品が環境全体に対してCO2削減効果を持つことは別問題です。

環境技術として評価する場合は、吸収の原理だけでなく、吸収剤の製造、装置の製造、稼働電力、交換部品、回収後のCO2処理まで含めて検証する必要があります。

【村木風海の評判と発言が物議を醸した理由】専門家の批判はどこにある?

村木風海さんに対する評価は、大きく分けると、若い段階から研究と起業に挑戦してきた行動力を評価する見方と、技術の環境効果や説明の妥当性を慎重に見る見方があります。

この違いは、本人のキャラクターだけではなく、ひやっしーの環境性能をどう評価するかという科学的な問題に深く関係しています。

専門家が指摘したライフサイクルの問題

2023年12月22日付の朝日新聞の報道では、ひやっしーのサブスクリプションサービスについて、複数の専門家が疑問を示しました。

主な論点は、装置が吸収するCO2と、装置を製造・運転するために発生するCO2の収支です。

化学を専門とする名古屋大学の山下誠教授は、水酸化ナトリウムを含むアルカリ水溶液を使う方式について、吸収剤の製造過程で発生するCO2が問題になると指摘しました。

また、物理学者の菊池誠・大阪大学教授は、CO2の収支や処理方法が明確でない段階で商業展開することについて、時期尚早との見方を示しました。

批判のポイントを整理すると、次のようになります。

論点 専門家側の懸念 検証に必要な情報
吸収剤 水酸化ナトリウムの製造時にCO2が発生する 吸収剤の製造時排出量
電力 発電時のCO2排出が回収量を上回る可能性 実測消費電力と電源構成
装置製造 部品・素材の製造や輸送にも排出が伴う ライフサイクル評価
使用済みカートリッジ 回収後のCO2をどう処理するか 再生・固定化・廃棄の実績
燃料合成 回収CO2を燃料に変える工程の実用性 エネルギー収支と製造コスト

特に重要なのが、ライフサイクルアセスメント(LCA)です。

LCAは製品の原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄までを通じて環境負荷を評価する考え方です。

装置の出口でCO2濃度が低くなっていても、製造や運転に必要なエネルギーによって、それ以上のCO2が排出されていれば、地球温暖化対策としての効果は期待できません。

CRRA自身も電力の問題を説明している

興味深いのは、電力に関する懸念について、CRRA自身も公式サイトで説明していることです。

ひやっしー4の消費電力は38Wとされ、CRRAの試算では、東京電力の火力発電由来の電力を使用した場合、年間約146kgのCO2排出につながるとされています。

そのため、同機構は太陽光エネルギーによる給電を強く推奨しています。

つまり、電力の調達方法によっては、CO2を回収するためにCO2を余分に排出する可能性があることを、開発側も認識しているのです。

これは、装置の回収性能だけを見て評価することの難しさを示しています。

2024年には東京大学の教授に関する発言も話題に

村木さんをめぐっては、2024年4月14日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」での発言も物議を醸しました。

番組内で村木さんは、大学在学中に教授5人ほどから研究成果を持っていかれそうになり、対抗した経験があるという趣旨の話をしました。

この発言を報じたITmedia NEWSによると、東京大学工学部は取材に対して、当時、事実関係を調査していると回答しています。

一方、SNS上では、研究成果の扱いについて適切な調査を求める意見と、発言の具体的な根拠を疑問視する意見の両方が出ました。

重要なのは、発言があったことと、その内容が事実として確認されたことは同じではないという点です。報道された大学側の回答は調査中というものであり、それだけで研究成果の盗用があったと判断することはできません。

この話題は、村木さんの評判が分かれる理由の一つになっています。

【ひやっしーの費用とC1化学】回収したCO2は燃料になるのか?

ひやっしーの評価を考えるうえで、もう一つ重要なのが費用と回収後のCO2の利用方法です。

CO2を吸収するだけでは、長期的な環境対策として十分とは限りません。吸収したCO2を固定化するのか、再利用するのか、あるいは燃料などの製品に変換するのかによって、最終的な環境効果は変わります。

ひやっしーの導入費用は?

費用については、過去の価格と現在の販売条件を混同しないことが大切です。

2023年の朝日新聞報道では、ひやっしーの家庭・オフィス向けサブスクリプションについて、年間50万円以上の定額プランが報じられました。

また、過去のCRRA関連の販売ページには、第2世代の家庭向けプランとして月額42,000円(税別)の記載もありました。

ただし、これらは過去の世代・契約条件に関する情報です。2026年に販売されている第4世代の現行価格として、そのまま適用することはできません。

現行の販売条件や総費用を比較する際には、次の項目を確認する必要があります。

- 本体の購入価格または月額利用料
- 太陽光パネルなどの給電設備費用
- 吸収剤カートリッジの交換・補充費用
- 定期メンテナンス費用
- 送料・設置費用
- 回収CO2の処理・再利用にかかる費用

現行の第4世代については、公式の問い合わせを通じて最新の見積もりを取得する必要があります。

CO2から燃料を作る「そらりん」とは?

CRRAが掲げるもう一つの研究テーマが、C1化学を応用したCO2からの燃料・化成品合成です。

C1化学とは、炭素原子を1つ含む化合物を出発点として、化学反応を通じてさまざまな物質を作り出す化学分野です。

CO2も炭素原子を1つ含むため、これを原料として燃料や化学製品を合成する研究につながります。

CRRAは、回収したCO2からエタノールを作る構想を「そらりん」と名付けています。

公式サイトでは、主に2つの合成ルートが紹介されています。

SP1:バイオ燃料・生化学的方法

スピルリナなどの微細藻類を活用し、CO2を取り込んだ後、光合成で生成された物質を酵母などで発酵させてエタノールを作る方法です。

SP2:化学的合成方法

CO2を含むアルカリ性溶液を利用し、電気化学還元によって炭素を含む化合物を合成する方法です。

CRRAは銅系触媒やグラフェン系材料、大気圧プラズマによる表面処理などを組み合わせ、エタノール生成を目指す研究を掲げています。

ただし、公式研究ページではSP2について2023年時点で基礎研究段階と説明しています。2026年時点の実用化状況や商業生産量、燃料1リットル当たりのCO2削減効果を示す最新の実証データは、公開情報から確認できません。

CO2を燃料に変えれば温暖化は解決する?

ここには大きな注意点があります。

CO2を燃料に変換しても、燃焼すれば基本的にCO2は再び大気中に放出されます。

そのため、CO2由来の燃料は、化石燃料の代わりに使える可能性がある一方、CO2を永久に大気から取り除く技術とは異なります。

環境面でのメリットを判断するには、燃料合成に必要な電力や熱の由来、製造工程の排出量、代替する化石燃料の量を比較しなければなりません。

再生可能エネルギーを用いてCO2を燃料に変換し、化石燃料の新規採掘を減らせるなら、循環型の炭素利用として意味があります。

一方、化石燃料由来の電力を大量に消費して製造すれば、期待される削減効果は小さくなります。

産総研もDAC全般について、エネルギーコストと再生可能エネルギーの供給が実用化の重要課題になると説明しています。

【村木風海に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:村木風海は東京大学を卒業している?
A1:東京大学は2023年3月に満期退学しています。その後、大学改革支援・学位授与機構から学士(工学)を取得しています。東京大学卒業とは異なります。

Q2:村木風海は2026年現在、何をしている?
A2:炭素回収技術研究機構株式会社の代表取締役機構長・創業者兼CEOとして活動しています。CO2直接空気回収、回収したCO2の燃料・化成品への転換などが主な研究テーマです。

Q3:ひやっしーは本当にCO2を回収できる?
A3:CRRAが公開している化学分析では、装置通過前後の空気のCO2濃度低下が確認されています。ただし、装置の製造・運転・吸収剤の製造・回収後の処理まで含めた正味のCO2削減効果は、別途検証する必要があります。

Q4:ひやっしーの価格はいくら?
A4:過去には月額42,000円(税別)の家庭向けプランが掲載され、2023年の報道では年間50万円以上のサブスクリプションが紹介されました。2026年の第4世代の最新価格は、販売元への問い合わせが必要です。

Q5:村木風海の評判が分かれるのはなぜ?
A5:若くして研究機関を創設した行動力や科学教育への取り組みを評価する声がある一方、ひやっしーのライフサイクル全体の環境効果や費用対効果、研究成果の説明に対して慎重な意見があるためです。

Q6:ひやっしーは地球温暖化を解決できる?
A6:小型装置によるCO2回収技術としての可能性はありますが、装置単体の回収性能だけで地球温暖化を解決できるとは判断できません。大規模化、エネルギー収支、回収後のCO2の処理、経済性などの課題があります。

まとめ:村木風海の評価は人物像と技術の実績を分けて考える

村木風海さんは、17歳でCRRAを創設し、東京大学で学んだ後も独立して研究を続けてきた発明家・起業家です。2026年にはCRRAの創業者兼CEOとして、新たな経営体制のもとで研究開発と事業化を進めています。

一方、ひやっしーについては、CO2を吸収する化学的な仕組みと、実際に地球温暖化対策としてどれほど有効なのかを区別する必要があります。

公表された試験結果には、装置を通過する空気のCO2濃度を低下させる性能が示されています。しかし、環境技術として本当に価値があるかを判断するには、製造・運転・吸収剤の調達・回収後の処理を含む総合的なCO2収支が欠かせません。

今後、特に注目したいのは次の3点です。

1. ひやっしーのLCA公開: 装置の製造から廃棄までを含めた正味のCO2削減効果が明らかになるか。
2. そらりんの実用化: CO2から燃料を合成する技術が、研究段階から安定した製造・事業化へ進めるか。
3. CRRAの社会実装: 2026年に掲げた閉鎖環境での農業利用など、新しい研究テーマで具体的な成果を示せるか。

【プロの結論】

村木風海さんを評価するときは、話題性や肩書きだけで判断するのではなく、研究の着想、実験データ、第三者による検証、社会実装の実績を分けて見ることが大切です。

ひやっしーについても、CO2を吸収する装置としての性能と、地球全体の温室効果ガス削減にどれほど貢献できるかは別の問題です。

挑戦的な研究を始めることには価値があります。しかし、その挑戦を社会的な信頼につなげるには、再現可能なデータと透明性のある費用・環境負荷の開示が必要です。

2026年以降、村木さんとCRRAがどこまで実証データを積み上げ、CO2回収から資源利用までを一つの事業として成立させられるか。その成果こそが、今後の評価を左右するでしょう。

参考にした主な情報源
- CRRA公式プロフィール・機構概要・2026年役員体制発表
- ひやっしー公式性能検証資料
- 産業技術総合研究所「DAC(直接空気回収技術)とは?」
- ABEMA TIMES(2023年5月16日)
- 朝日新聞(2023年12月22日)
- ITmedia NEWS(2024年4月17日)