珍しい血液型とは?Rh陰性と稀血の違い、ボンベイ型・D--型の種類と輸血対策を徹底解説【2026年版】
「珍しい血液型」と聞くと、AB型のRhマイナスや、世界に数人しかいない特殊な血液型を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
実際には、珍しい血液型には複数の種類があり、日本人に比較的多いものから、世界的にも極めて発見例が少ないものまで存在します。日本赤十字社が紹介する稀血には、ボンベイ型、パラボンベイ型、D--型、Jr(a-)型、Di(b-)型などがあり、一般的なABO式血液型だけでは判別できない特徴を持っています。
特に知っておきたいのは、Rh陰性だからといって、必ずしも医学的な意味での稀血に分類されるわけではないという点です。血液型の希少性は人口に占める割合だけでなく、必要なときに適合する輸血用血液を確保できるかどうかによっても変わります。
2026年11月現在の日本赤十字社、厚生労働省の公的資料、輸血医学の研究報告をもとに、珍しい血液型の種類と出現頻度、輸血の仕組み、献血登録制度、凍結保存の実態まで整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 珍しい血液型は一般に出現頻度がおおむね1%以下で、輸血用の適合血を確保しにくい血液型を指す。
- 日本人のRh陰性は約0.5%だが、献血者全員を対象に検査されるため、血液センターでは通常の稀血とは区別される場合がある。
- ボンベイ型、パラボンベイ型、D--型、Rhnull型などは、通常の血液型検査だけでは判定が難しい場合がある。
- 日本赤十字社は稀血の献血者登録やマイナス80℃以下での凍結保存によって、緊急輸血に備えている。
- 2026年度の厚生労働省の献血推進計画でも、稀血の献血者登録と血液確保が明確に位置づけられている。
【基本知識】珍しい血液型とは何か?稀血の定義と仕組み

珍しい血液型を理解するには、まず一般的な血液型と稀血の違いを知る必要があります。
ABO式血液型だけでは血液型のすべてを説明できない

日本で一般的に知られている血液型は、A型・B型・O型・AB型の4種類です。これは赤血球の表面にあるA抗原とB抗原の組み合わせによって分類されます。
さらに、輸血ではRh血液型も重要です。一般的なRhプラス・Rhマイナスの区別は、赤血球にD抗原が存在するかどうかで決まります。
しかし、人間の赤血球にはABO式やRh式以外にも、数多くの血液型抗原が存在します。
日本赤十字社の「赤血球の血液型」に関する資料によれば、赤血球膜にはABOやRhなどを含む400種類余りの赤血球抗原が存在します。
そのため、同じA型Rhプラス同士であっても、細かな血液型抗原の組み合わせは異なる可能性があります。
輸血の際に問題になるのは、患者が特定の赤血球抗原を持たず、その抗原に対する抗体を作っている場合です。
この状態で抗原を持つ血液を輸血すると、免疫反応によって赤血球が破壊される輸血副作用が起こる可能性があります。
稀血の定義は「少ないこと」だけではない

日本赤十字社の血液センターでは、一般に出現頻度がおおむね1%以下で、輸血時に適合する血液の確保が難しくなる血液型を「まれな血液型」と説明しています。
ただし、医学的には頻度だけでなく、抗原と抗体の関係が重要です。
特に、人口の99%以上が持っているような高頻度抗原を欠いている場合、その抗原に対する抗体を持つ患者に適合する血液を探すことは非常に困難になります。
例えば、一般的な血液型の人であれば、複数の献血者から適合する血液を確保できる可能性があります。
しかし、非常に珍しい抗原構成を持つ患者の場合、同じ特徴を持つ献血者を全国規模で探さなければならないこともあります。
日本赤十字社では、稀血を検出頻度などに応じてⅠ群とⅡ群に分類して管理しています。
Rh陰性と稀血は同じではない
ここで混同しやすいのがRh陰性です。
日本人のRh陰性の割合は約0.5%で、単純計算では約200人に1人です。一般的な血液型の中では少数派にあたります。
しかし、日本赤十字社の血液センターでは、献血された血液についてRh血液型を検査しているため、必要な血液を比較的確保しやすい仕組みがあります。
そのため、Rh陰性は人口比率こそ低いものの、特殊な抗原を欠く稀血とは運用上区別される場合があります。
つまり、珍しい血液型かどうかを判断する際には、出現頻度と輸血時の確保の難しさを分けて考える必要があるのです。
【種類一覧】日本人に多い珍しい血液型と出現頻度を比較
日本赤十字社の兵庫県赤十字血液センターが公表している代表的な稀血の出現頻度を見ると、比較的頻度の高いものから極めて珍しいものまで幅があります。
珍しい血液型の主な種類と割合
| 血液型 | 日本赤十字社資料に基づく出現頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
| Fy(a-)型 | 約100人に1人 | ダッフィー式血液型の一種 |
| Di(b-)型 | 約500人に1人 | ディエゴ式血液型の一種 |
| Jr(a-)型 | 約3,000人に1人 | 高頻度抗原Jr(a)を持たない |
| Oh(ボンベイ型) | 極めてまれ | H抗原を欠く |
| パラボンベイ型 | 極めてまれ | H抗原の発現が弱い、または通常と異なる |
| D--型 | 極めてまれ | D抗原を持つ一方、C・c・E・e抗原を欠く |
| Ko型 | 極めてまれ | Kell式血液型に関係する特殊な型 |
| P型(スモールピー) | 極めてまれ | P系血液型に関係する特殊な型 |
| Rhnull型 | 極めてまれ | Rh系抗原をすべて欠く |
出典:日本赤十字社兵庫県赤十字血液センター「血液型について」。頻度は公表資料の目安であり、すべての血液型について全国一律の最新人口統計が存在するわけではありません。
日本人に比較的多い稀血はJr(a-)型
Jr(a-)型は、日本人における代表的な稀血の一つです。
Jr(a)抗原は、JR血液型システムに属する高頻度抗原です。通常、多くの人がこの抗原を持っていますが、Jr(a-)型の人は抗原を持ちません。
日本赤十字社の資料では、出現頻度は約3,000人に1人とされています。
一方、2018年に日本輸血・細胞治療学会の学術誌に掲載された北関東地域の献血者調査では、約40万人を検査した結果、Jr(a-)型は全体の約0.060%でした。
これは約1,670人に1人に相当します。
このように、調査対象や地域、検査方法によって推定値には違いがあります。3,000人に1人という数字だけを全国共通の絶対値として扱わないことが大切です。
また、同研究では抗Jr(a)抗体を持つ献血者35人が確認され、その全員が女性でした。妊娠や出産に伴う免疫刺激との関係が示唆されています。
Di(b-)型とFy(a-)型の特徴
Di(b-)型はディエゴ式血液型に属し、Di(b)抗原を欠くタイプです。
日本赤十字社の資料では約500人に1人とされています。
ディエゴ式血液型は赤血球膜のタンパク質に関係する血液型システムで、Di(a)とDi(b)などの抗原があります。
ここで注意したいのは、Di(b-)型とDi(a+b-)型を混同しないことです。似た表記でも抗原構成が異なるため、頻度の数字をそのまま置き換えることはできません。
一方、Fy(a-)型はダッフィー式血液型に属し、約100人に1人という頻度が紹介されています。
この型も通常のABO式血液型とは別の分類です。
日本人に見られる稀血には、こうした特定の抗原を欠くタイプが複数存在します。
ボンベイ型はなぜ特別なのか
最大の特徴は、赤血球表面にあるH抗原を欠いていることです。
H抗原はA抗原やB抗原を作るための土台となる物質です。
通常のA型やB型では、まずH抗原が作られ、その上にA抗原またはB抗原が形成されます。
ところが、古典的なボンベイ型ではH抗原そのものが作られないため、A抗原もB抗原も赤血球表面に現れません。
その結果、一般的な血液型検査ではO型のように見える場合があります。
しかし、通常のO型とは決定的な違いがあります。
ボンベイ型の人は抗H抗体を持つため、通常のO型の血液を輸血すると、重大な溶血反応を引き起こす危険があります。
そのため、原則として同じH抗原欠損の血液が必要です。
この仕組みは、米国国立医学図書館の医学資料「Blood Groups and Red Cell Antigens」でも解説されています。
パラボンベイ型はボンベイ型とどう違う?
パラボンベイ型は、ボンベイ型と関連する特殊な血液型です。
古典的なボンベイ型では赤血球と分泌物の両方でH抗原が欠如しますが、パラボンベイ型では赤血球上のH抗原が非常に弱く発現していたり、分泌物にはH物質が存在したりする場合があります。
この違いには、FUT1やFUT2と呼ばれる遺伝子が関係しています。
また、抗H抗体や抗HI抗体の反応性にも個人差があります。
そのため、パラボンベイ型だから必ず同じ輸血方法になるわけではありません。抗体の性質や37℃での反応性などを専門的に調べ、適合する血液を選ぶ必要があります。
【特殊な血液型】D--型・Rhnull型・その他の稀血の正体
ボンベイ型以外にも、輸血の確保が非常に難しい血液型があります。
D--型(ディーダッシュダッシュ)とは?
D--型はRh血液型システムに属する極めて珍しいタイプです。
一般的なRh血液型では、D・C・c・E・eなどの抗原の組み合わせによって分類されます。
D--型は、D抗原を持っている一方で、C・c・E・e抗原を欠いているという特徴があります。
通常のRh陰性はD抗原を持たない状態を指しますが、D--型はD抗原を持つため、Rh陰性とは別のタイプです。
D--型の人が他のRh抗原に対する抗体、特に抗Rh17抗体を産生すると、輸血に必要な血液の確保が非常に難しくなります。
2026年に発表された輸血医学のレビューでも、D--型と抗Rh17抗体の組み合わせは、輸血や妊娠管理における大きな課題として取り上げられています。
Rhnull型はRh抗原をすべて持たない
Rhnull型は、Rh血液型システムの抗原を赤血球表面にまったく持たない特殊なタイプです。
通常のRh陰性ではD抗原が欠けていますが、C・c・E・eなどのほかのRh抗原は存在する場合があります。
一方、Rhnull型ではRh系の抗原全体が欠如します。
そのため、Rh系抗原に対する抗体を持つ場合、適合する血液を見つけることが極めて困難になります。
2026年7月に公表されたRhnull型に関する症例レビューでは、文献上確認された8人の症例を分析し、慢性的な溶血性貧血や輸血時のドナー確保の難しさなどが報告されています。
Rhnull型は一般に「ゴールデンブラッド」と呼ばれることもありますが、これは医学的な正式分類名ではありません。
また、Rhnull型は輸血上の問題だけでなく、赤血球膜の構造にも関係するため、軽度の溶血性貧血などが見られる場合があります。
その他にも存在する特殊な血液型
日本赤十字社が紹介する稀血には、次のようなタイプも含まれています。
- Ko型: Kell式血液型に関係する特殊な型。
- P型(スモールピー): P系血液型に関係する非常に珍しい型。
- Fy(a-b-)型: ダッフィー式血液型の複数の抗原を欠く型。
- K0型: Kell系抗原を欠く特殊な型。
- Ge系の特殊型: Gerbich式血液型に関係する型。
これらは通常のABO式血液型とは異なる分類です。
特に、複数の高頻度抗原を欠くタイプでは、適合する血液を国内で見つけること自体が難しくなる場合があります。
【検査と輸血】珍しい血液型の見分け方と適合血を確保する方法
稀血の人が輸血を必要とした場合、通常の血液型検査だけで判断することはできません。
珍しい血液型はどうやって検査する?
血液型の判定では、複数の検査を組み合わせます。
主な検査は次のとおりです。
1. ABO式血液型検査
2. Rh血液型検査
3. 不規則抗体検査
4. 赤血球抗原の詳細な検査
5. 必要に応じた遺伝子検査
通常のABO式検査では、赤血球表面のA抗原・B抗原を調べるオモテ検査と、血清中の抗A・抗B抗体を調べるウラ検査を組み合わせます。
稀血が疑われる場合は、さらに特殊な抗血清やモノクローナル抗体などを使用して、赤血球上の抗原を詳しく調べます。
ボンベイ型では、H抗原の有無や抗H抗体の反応を確認することが重要です。
また、一般的な血液型検査ではO型と判定されても、追加検査でボンベイ型やパラボンベイ型が判明する場合があります。
日本赤十字社では、献血時に採取した検査用検体を血液センターで詳しく検査し、判定された血液型を献血者コードと関連付けて管理しています。
輸血では不規則抗体の確認が重要
珍しい血液型の輸血では、患者がどの抗体を持っているかが重要です。
例えば、Jr(a-)型の人が抗Jr(a)抗体を持っている場合、Jr(a)抗原を持たない血液を選ぶ必要があります。
また、ABO式血液型やRh血液型が一致していても、不規則抗体の影響で適合しないことがあります。
このため、輸血前には患者と輸血用血液の適合性を調べる交差適合試験(クロスマッチ)が実施されます。
つまり、A型同士だから必ず安全、O型だから誰にでも輸血できる、という単純な話ではありません。
稀血の輸血方法は?
稀血の患者に輸血が必要になった場合、血液センターでは主に次の方法で適合血を確保します。
- あらかじめ凍結保存している同じ血液型の赤血球製剤を使用する。
- 稀血の献血登録者に連絡し、献血への協力を依頼する。
- 全国の血液センターと連携して適合する血液を探す。
- 国内での確保が難しい場合は、国際的な協力体制を活用する。
患者の抗体の種類や反応性によって必要な血液は異なります。
そのため、単に同じABO式血液型の血液を探すのではなく、必要な抗原を欠いていること、交差適合性があることなどを確認しなければなりません。
【献血登録と凍結保存】日本赤十字社は稀血をどう守っている?
稀血の輸血を支えているのが、日本赤十字社の献血者登録制度と特殊な血液保存技術です。
稀血の献血登録制度とは?
稀血の人が献血をすると、その血液型の特徴が検査によって判明する場合があります。
その後、血液センターから本人に連絡し、意向を確認したうえで、稀血の献血登録への協力を依頼する仕組みがあります。
登録された献血者は、必要な血液が発生した際に、血液センターから献血への協力を依頼される場合があります。
これは通常の献血とは別に、希少な血液型の患者に必要な血液を確保するための体制です。
2026年2月27日に告示された厚生労働省の「令和8年度の献血の推進に関する計画」では、稀血を持つ人に対し、本人の意向を踏まえて登録を依頼することが明記されています。
つまり、2026年度も稀血の献血登録は国の献血推進施策に位置づけられているのです。
マイナス80℃以下の凍結保存とは?
稀血の血液を必要なときに確保するため、日本赤十字社では一部の赤血球製剤を凍結保存しています。
日本赤十字社の兵庫県赤十字血液センターの資料によると、稀血の血液はマイナス80℃以下で凍結保存されます。
保存期間は国の基準で10年間とされています。
この仕組みが必要なのは、通常の赤血球製剤では長期にわたって保存することができず、希少な血液を必要なタイミングまで確保しておく必要があるためです。
凍結保存では、赤血球を保護するための処理を施してから低温環境で保存します。
実際に輸血に使用する際には、解凍した後に凍結保護剤を除去する処理などが必要になります。
そのため、家庭用冷凍庫などで保存できるものではなく、専門設備と管理体制が不可欠です。
凍結保存だけでは対応できない理由
凍結保存は非常に有効な方法ですが、すべての輸血需要を解決できるわけではありません。
そもそも献血者の数が極端に少ない場合、保存できる血液自体が限られます。
また、患者の抗体の種類によっては、特定の抗原を持たない血液が必要となるため、同じ珍しい血液型でも適合しない場合があります。
そのため、凍結保存と献血登録を組み合わせ、必要なときに新たな献血協力を得られる体制を整えることが大切です。
日本赤十字社の血液センターでは、全国的な情報管理や献血者との連絡を通じて、希少な血液の確保に努めています。
【誤解を解消】珍しい血液型に関するよくある勘違いと正しい知識
珍しい血液型については、インターネット上で誤解されやすい情報もあります。
Rh陰性なら必ず稀血なのか?
必ずしもそうではありません。
日本人のRh陰性は約0.5%と少数ですが、献血血液の検査体制が整っているため、通常の稀血とは別に扱われる場合があります。
一方、D--型やRhnull型のように、Rh系抗原の構成そのものが特殊な血液型では、適合血の確保が非常に難しくなります。
O型ならボンベイ型の人にも輸血できる?
これは大きな誤解です。
一般的なO型の赤血球にはH抗原が存在します。
ボンベイ型の人は抗H抗体を持つため、通常のO型血液を輸血すると重篤な溶血反応が起こる危険があります。
したがって、一般的なO型とボンベイ型は、同じように扱うことができません。
珍しい血液型は健康に問題がある?
珍しい血液型だからといって、必ず病気になるわけではありません。
ボンベイ型などは、日常生活では特別な症状がない人もいます。
問題になるのは、主に輸血が必要になったときです。
ただし、Rhnull型のように赤血球膜の構造に影響するタイプでは、溶血性貧血などの医学的特徴を伴う場合があります。
自分が珍しい血液型かどうか知る方法は?
通常の血液型検査だけでは、すべての稀血を判定できません。
詳しい検査が必要な場合は、医療機関や輸血検査を専門とする施設で調べることになります。
過去に珍しい血液型や不規則抗体について説明を受けた人は、輸血や手術の際に必ず医療スタッフへ伝えることが重要です。
【珍しい血液型】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本人で最も珍しい血液型は何ですか?
日本赤十字社が紹介する稀血には、ボンベイ型、D--型、Rhnull型など、極めて珍しいものがあります。ただし、全国的な人口比率を使ってすべての血液型を順位づけできるわけではありません。特にRhnull型やボンベイ型は、輸血用血液の確保が非常に難しいタイプです。
Q2:Rhマイナスは何人に1人の割合ですか?
日本人のRhマイナスは約0.5%で、約200人に1人です。AB型の割合を約10%とすると、AB型Rhマイナスは単純計算で約2,000人に1人になります。ただし、Rhマイナスは通常、特殊な稀血とは区別される場合があります。
Q3:珍しい血液型の人は献血登録できますか?
はい。血液センターで稀血と判定された場合、本人の意向を確認したうえで登録への協力を依頼されることがあります。必要な血液が発生した際には、血液センターから献血の依頼が届く場合があります。登録や献血への協力は本人の意思が尊重されます。
まとめ:珍しい血液型の希少性と輸血の未来を正しく理解する
珍しい血液型には、Rh陰性のように人口比率が低いタイプだけでなく、ボンベイ型、パラボンベイ型、D--型、Jr(a-)型、Di(b-)型、Fy(a-)型、Rhnull型など、さまざまな種類があります。
特に重要なのは、血液型の希少性は単純な人口比率だけでは決まらず、抗原と抗体の組み合わせ、適合血を確保できる可能性によっても左右されるという点です。
日本人のRh陰性は約0.5%ですが、血液センターの検査体制によって比較的確保しやすい血液型です。一方、ボンベイ型やD--型などは、通常の血液型検査だけでは十分に判定できず、輸血時には専門的な検査と適合血の確保が必要になります。
また、日本赤十字社によるマイナス80℃以下の凍結保存や献血登録制度は、こうした患者の輸血を支える重要な仕組みです。
2026年度の厚生労働省の献血推進計画でも、稀血の献血者登録と血液確保が明確に盛り込まれています。
珍しい血液型は、単に珍しいというだけの話ではありません。必要なときに適合する血液を届けるためには、献血者の協力、検査技術、長期保存技術、そして全国的な血液センターの連携が欠かせないのです。
【プロの結論】
珍しい血液型を理解するうえで押さえておきたい判断基準は、次の3つです。
1. 出現頻度: どれほど少ない血液型なのか。
2. 抗原・抗体の特徴: どの抗原を欠き、どの抗体を持つ可能性があるのか。
3. 輸血時の確保体制: 登録献血者や凍結保存血液によって適合血を確保できるのか。
この3つを分けて考えることで、Rh陰性と本来の稀血の違いや、ボンベイ型・D--型・Rhnull型が特別な対応を必要とする理由が見えてきます。
血液型の多様性を知ることは、輸血医療と献血制度を支える仕組みを理解することにもつながります。
主な参照資料
- 日本赤十字社「赤血球の血液型」「血清学的検査等」
- 日本赤十字社・兵庫県赤十字血液センター「血液型について」
- 厚生労働省「令和8年度の献血の推進に関する計画」(2026年2月27日告示)
- 日本輸血・細胞治療学会誌掲載「Jr(a-)型の頻度に関する北関東地域の献血者調査」(2018年)
- 米国国立医学図書館「Blood Groups and Red Cell Antigens」
- Immunohematology 掲載のRhnull型・D--型に関する2026年レビュー