【有志の会とは】政党ではなく衆議院の院内会派
有志の会を正しく理解するには、まず「院内会派」という制度を知る必要があります。
院内会派とは、国会の議院内で議員が共同して活動するためにつくるグループです。政党を基礎に結成されるケースが多いものの、政党に所属していない無所属議員同士でも結成できます。
衆議院の公式解説によると、院内会派は原則として2人以上の議員によって構成されます。会派の人数は、委員会の委員や理事の配分、質疑時間、議席の配置など、国会運営に関係するさまざまな場面に影響します。
政党と院内会派は何が違う?

| 比較項目 | 政党 | 院内会派 |
|---|---|---|
| 主な活動場所 | 国会内外 | 議院内 |
| 主な目的 | 政策の実現、政治活動 | 国会内での共同活動 |
| 構成員 | 議員以外も含む | 国会議員 |
| 結成の基本 | 政治的理念や政策の共有 | 議院内での活動方針の共有 |
| 有志の会との関係 | 独立した政党ではない | 有志の会の本来の位置づけ |
つまり、有志の会は独立した政党というよりも、国会で活動するための議員グループでした。
この違いは、所属議員の政治的立場を理解するうえでも重要です。無所属議員が会派を組むことは、必ずしも新党を立ち上げることを意味しません。
【結成経緯】2021年の衆議院選挙で当選した5人が出発点

有志の会が結成されたのは、2021年11月4日です。
きっかけとなったのは、同年10月31日に投開票された第49回衆議院議員総選挙でした。
この選挙で、自民党候補と選挙区で争い、無所属で当選した野党系議員5人が、新しい院内会派を結成しました。
福島伸享氏は2021年11月4日の活動記録で、5人で結成届を提出したことを報告しています。既存政党の枠組みを超えた政治の刷新を目指す動きとして説明されました。
結成時のメンバー5人

結成メンバーは次の5人です。
大分1区。元外務副大臣。会派の理念や政策を発信した中心人物の一人。
福岡9区。外務省出身。外交や国際関係に関する知見を持つ。
茨城1区。経済産業省出身。エネルギー政策や産業政策などに関わった経歴を持つ。
京都4区。財務省出身。財政や経済政策に関する経験を持つ。
徳島1区。医師としての経歴を持ち、医療や社会保障分野に知見を持つ。
5人には、民主党政権時代に政治活動を経験した議員が含まれていました。
吉良氏の2021年11月13日の発信では、メンバーについて、財政、外交、産業、経済、社会保障の各分野に対応できる人材が集まったと説明されています。
なぜ無所属議員が会派を結成したのか
背景には、既存政党の公認や党派の枠組みに依存せず、自分たちの政治的信念を前面に出したいという考えがありました。
無所属で選挙に臨む場合、政党の組織力や比例代表による復活当選などの面で不利になることがあります。
それでも無所属で当選した議員が集まったことは、有志の会の特徴でした。
ただし、無所属であることと、特定の政党と一切協力しないことは同じではありません。国会では政策ごとに他会派と協議する余地があります。
【メンバー・年表】有志の会の変遷と会派再編を一覧で整理
有志の会は、結成後も所属議員の移動や会派再編を経験しています。
特に2025年から2026年にかけては、会派名の変更や再結成、衆議院解散が重なりました。
以下が主な経緯です。
メンバーの移動で変わった会派の規模
結成当初の5人から、仁木博文氏が2023年に自民党へ入党したことで、所属人数は4人になりました。仁木氏の公式プロフィールにも、2023年の自民党入党が記載されています。
その後、2025年には改革の会との共同会派化や再編が行われました。
衆議院の公式資料には、2025年10月15日に有志の会の解散と有志・改革の会の結成、同年11月17日に有志・改革の会の解散と有志の会・改革の会の結成が記録されています。
したがって、2025年の会派名の変遷を考える場合、同じ名称が使われていても、各時点の結成届や所属議員を確認することが欠かせません。
【政策と理念】子供への投資から分厚い中間層の復活まで
有志の会が掲げた政策は、教育、子育て、家計、経済成長を関連づけたものです。
吉良州司氏の公式サイトに掲載された会派の説明では、「中道・新保守」という政治的立ち位置を掲げ、生活者主権と将来世代を優先する政治を目指すとしています。
ここでは、主要な政策を4つの観点から整理します。
1.子供への投資
有志の会の理念を理解するうえで、中心的なキーワードの一つが「子供への投資」です。
これは子供を単に支援の対象として考えるのではなく、将来の社会や経済を担う存在として捉える考え方です。
教育や成長の機会に資源を振り向けることは、将来的な人材育成にもつながります。
少子化が進む社会では、子供一人ひとりが十分な学習機会や成長環境を得られるかどうかが、国全体の将来にも関係します。
有志の会の考え方は、目先の経済対策だけでなく、次世代への投資を政治の優先課題として位置づける点に特徴があります。
2.教育の充実
教育の充実も、会派が掲げた重要な政策です。
教育は、家庭の経済状況によって受けられる機会に差が生じやすい分野です。
経済的な事情によって進学や学習を諦める子供が減れば、個人の可能性を広げるだけでなく、社会全体の人材育成にもつながります。
教育を充実させることには、次のような政策的な意味があります。
- 家庭の所得による教育機会の格差を縮小する。
- 子供の能力や意欲を伸ばす環境を整える。
- 将来の就業機会や所得向上につなげる。
- 社会全体の生産性や競争力を高める。
教育政策は短期間で成果が出るものではありません。だからこそ、将来世代を重視する理念と結びついています。
3.子育て家計への支援
子育て家計への支援は、子供への投資を実際の家庭生活に結びつける政策分野です。
子育て世帯には、食費、住居費、教育費、保育関連費用など、複数の経済的負担があります。
こうした支出が家計を圧迫すると、教育や将来のための貯蓄に回せるお金が減る可能性があります。
そのため、子育て世帯の負担を軽減することは、家庭の生活を守るだけでなく、子供の教育機会を確保することにも関係します。
ただし、吉良氏の会派説明に記載されているのは政策の方向性です。給付額、所得制限、対象年齢、具体的な制度設計までが一律に確定しているわけではありません。
政策理念と実際に成立した制度は分けて理解する必要があります。
4.分厚い中間層の復活
有志の会の政策を経済面から理解するうえで重要なのが、分厚い中間層の復活です。
ここでいう中間層とは、一定の所得と生活基盤を持ち、日々の消費だけでなく、教育、住宅、貯蓄などにもお金を使える家計をイメージすると理解しやすくなります。
中間層が縮小すると、生活に必要な支出以外に回せるお金が減り、個人消費の伸び悩みにつながる可能性があります。
吉良氏の公式説明では、中間層を中心とした個人消費の拡大によって経済成長を実現する方向性が示されています。
4つの政策の関係を整理すると、次のようになります。
子供への投資・教育の充実
将来世代の能力や可能性を伸ばす
子育て家計への支援
家庭の経済的負担を軽減する
分厚い中間層の復活
家計の安定と個人消費の拡大を目指す
持続的な経済成長
生活者と将来世代を重視した経済の実現
「中道・新保守」という政治的立場
有志の会が掲げたもう一つの特徴は、「中道・新保守」という表現です。
吉良氏の説明では、これは米国のネオコンを意味するものではなく、生活者主権と将来世代優先の考え方に基づく新しい保守の立場とされています。
また、憲法論議、外交・安全保障、エネルギー政策、経済安全保障などについては、現実的な対応を重視しています。
特に興味深いのは、政権党と政権を担おうとする野党の間で、国家の根幹に関わる政策まで大きく異なる必要はないという考え方です。
これは、単純な与党対野党の対立ではなく、政策分野ごとに現実的な合意を探る姿勢と理解できます。
【2026年最新】有志の会は現在も存在する?志士の会との違い
2026年現在の有志の会について、最も重要なのは、過去に活動した有志の会と、現在の衆議院の院内会派を混同しないことです。
2026年1月22日時点の会派別議員数の記録では、有志の会は緒方林太郎氏、吉良州司氏、福島伸享氏の3人で構成されていました。
その後、2026年1月23日に衆議院が解散しています。
2026年9月28日の衆議院公式会派一覧
衆議院公式サイトが掲載する2026年9月28日現在の会派別所属議員数は次のとおりです。
| 会派名 | 所属議員数 |
|---|---|
| 自由民主党・無所属の会 | 315人 |
| 中道 | 47人 |
| 日本維新の会 | 36人 |
| 国民民主党・無所属クラブ | 28人 |
| 参政党 | 15人 |
| チームみらい | 11人 |
| 日本共産党 | 4人 |
| 志士の会 | 2人 |
| 無所属 | 6人 |
| 欠員 | 1人 |
合計は465人です。ここに有志の会という名称は掲載されていません。
志士の会は有志の会の後継なのか?
2026年9月28日には、泉健太氏と緒方林太郎氏による新会派「志士の会」が結成されました。
TBSの報道によると、泉氏は中道改革連合を離れた後、新党「民主改革の会」には参加せず、緒方氏と2人で新会派を結成しました。
ここで注目したいのが、緒方氏はかつての有志の会の結成メンバーだったという点です。
しかし、次の違いがあります。
| 比較項目 | 有志の会 | 志士の会 |
|---|---|---|
| 読み方 | ゆうしのかい | ししのかい |
| 結成時期 | 2021年11月 | 2026年9月 |
| 当初の結成メンバー | 無所属議員5人 | 泉健太氏・緒方林太郎氏 |
| 主な関係者 | 吉良州司氏、緒方林太郎氏、福島伸享氏ら | 泉健太氏、緒方林太郎氏 |
| 2026年9月28日の状況 | 公式会派一覧に掲載なし | 2人で掲載 |
名称が似ていることや緒方氏が共通していることから、両者を同一視するのは正確ではありません。
志士の会は、旧有志の会と同じ名称の会派でも、単純な名称変更による後継会派でもありません。
2026年の政治情勢を調べる際には、この区別が大切です。
【有志の会に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:有志の会とは何ですか?
A1:2021年11月4日に結成された衆議院の院内会派です。当初は、無所属で当選した野党系議員5人で構成されていました。子供への投資や教育の充実、子育て家計への支援などを政策の柱に掲げていました。
Q2:有志の会は政党ですか?
A2:政党ではなく、衆議院内で共同して活動するための院内会派です。無所属議員同士でも会派を結成でき、国会運営における質疑時間や委員会の配分などに関係します。
Q3:有志の会のメンバーは誰ですか?
A3:結成時のメンバーは、吉良州司氏、緒方林太郎氏、福島伸享氏、北神圭朗氏、仁木博文氏の5人です。その後、所属議員の移動や会派再編によって構成が変わりました。
Q4:有志の会は2026年現在も活動していますか?
A4:2026年9月28日現在の衆議院公式会派一覧には、有志の会は掲載されていません。同一覧には、泉健太氏と緒方林太郎氏が結成した別の会派「志士の会」が2人で掲載されています。
Q5:有志の会が掲げていた主な政策は何ですか?
A5:子供への投資、教育の充実、子育て家計への支援、分厚い中間層の復活です。将来世代を重視し、生活者を中心とした政治や個人消費の拡大による経済成長を目指す考え方が示されていました。
まとめ:【プロの結論】有志の会を理解するための3つのポイント
有志の会は、2021年に無所属で当選した5人の議員によって結成された衆議院の院内会派です。
その理念には、既存政党の枠組みにとらわれず、生活者や将来世代を優先する政治を目指す姿勢がありました。
特に注目すべきなのは、教育、子育て、家計支援、中間層の復活を一つの経済政策の流れとして捉えていたことです。
最後に、理解しておきたいポイントを3つに整理します。
1.有志の会は政党ではなく院内会派
無所属議員を中心に結成され、国会内で共同して活動するための組織でした。
2.政策の中心は生活者と将来世代
子供への投資や教育の充実を通じて将来の可能性を広げ、子育て世帯の家計を支え、中間層の復活につなげる構想が特徴でした。
3.2026年の現在は過去の会派と現行会派を区別する
衆議院の2026年9月28日現在の公式一覧に有志の会は掲載されていません。緒方氏が参加する志士の会も、旧有志の会とは別の会派です。
情報を見極めるための判断基準
有志の会について調べるときは、次の3点を確認すると、情報の混同を避けられます。
- 会派名と政党名を区別する: 院内会派への所属と政党への入党は別の問題です。
- 発表された理念と実現した政策を区別する: 政策目標が掲げられたことと、法律や予算として成立したことは同じではありません。
- 情報の基準日を確認する: 2021年の結成時、2025年の再編、2026年の衆議院解散後では所属議員や会派名が異なります。
有志の会を単なる小規模会派として見るだけでは、その政治的な意味は十分に理解できません。
生活者を中心に据え、次世代への投資と中間層の経済的基盤を重視した理念こそが、この会派を理解するための重要な手がかりです。
2026年の政治を読み解く際にも、こうした過去の会派の理念と、その後の議員や会派の動きを分けて追うことが大切です。
主な参照資料:衆議院公式サイト「会派名及び会派別所属議員数」「国会用語のミニ解説」、吉良州司氏公式サイト「会派『有志の会』について」、福島伸享氏の2021年11月4日活動記録、仁木博文氏公式プロフィール、TBS NEWS DIGの2026年9月28日報道。