【2026年最新】ワシントン条約の附属書改正と日本の留保種・サメ規制

目次

2026年にワシントン条約を調べるうえで、見逃せないのが2025年の第20回締約国会議(CoP20)で決定された附属書改正です。

今回の改正では、サメ類を含む複数の動植物について掲載区分が変更されました。一部には発効日の延期も設定されています。

2025年CoP20で決まった主な改正

ワシントン条約とは

2025年11月24日から12月5日まで、ウズベキスタンのサマルカンドで開催されたCoP20では、附属書Ⅰ・Ⅱの掲載種に関する改正が採択されました。

主な注目点は次のとおりです。



2026年3月5日発効
ヨゴレ・イトマキエイ科・ジンベエザメ


対象となる学名
- ヨゴレ:Carcharhinus longimanus
- イトマキエイ科全種:Mobulidae spp.
- ジンベエザメ:Rhincodon typus

附属書Ⅱから附属書Ⅰへ移行しました。


2027年6月5日発効予定
アイザメ科全種

対象となる学名
Centrophoridae spp.

附属書Ⅱへの掲載が決まりました。通常の発効日から18か月延期されています。

ここで特に重要なのが、日本はこれらのサメ類に対して留保を付しているという点です。

経済産業省が2026年3月5日に公表した国内制度の改正資料では、ヨゴレ、イトマキエイ科全種、ジンベエザメについて、附属書Ⅰへの移行後も日本の輸出入管理では附属書Ⅱと同様の手続きを適用すると説明しています。

アイザメ科全種についても日本は留保を決定しており、日本の輸入管理の対象外とする制度改正が行われました。

アイザメ科全種の附属書Ⅱ掲載は何を意味する?

ワシントン条約とは

アイザメ科(Centrophoridae)は、深海に生息するサメのグループです。

今回の改正では、アイザメ科に属する全種が附属書Ⅱに掲載されることになりました。

通常、附属書Ⅱに掲載された種を国際取引する場合は、輸出国の許可書などによって取引の合法性や持続可能性を確認します。

ただし、今回の日本の対応には特別な事情があります。

- 国際的な掲載:2027年6月5日から附属書Ⅱが適用される予定。
- 日本の対応:アイザメ科全種について留保を決定。
- 日本の輸入管理:経済産業省の改正により、この種の輸入管理の対象外として扱う。
- その他の取引:留保種であっても、日本からの輸出・再輸出に関する外為法上の手続きは別途確認が必要。

つまり、国際的に附属書Ⅱへ掲載されたことと、日本国内で実際に適用される手続きは同じではありません。

ワシントン条約の「留保」とは?クジラ・サメの特別な扱い

ワシントン条約とは

留保とは、締約国が特定の種について、条約の適用を受けない意思を正式に表明する仕組みです。

留保を付した国は、その種に関して条約上、非締約国として扱われます。

ただし、附属書Ⅰ掲載種に留保を付した場合、その国においては附属書Ⅱ掲載種として取り扱われます。

日本は、クジラ類やサメ類の一部について留保を行っています。

経済産業省が公表している留保種には、次のようなものがあります。

クジラ類の主な留保種

- ミンククジラ
- ミナミミンククジラ(クロミンククジラ)
- イワシクジラの一部個体群
- ニタリクジラ
- ツノシマクジラ
- ナガスクジラ
- カワゴンドウ
- オーストラリアカワゴンドウ
- マッコウクジラ
- ツチクジラ

サメ類の主な留保種

- クロトガリザメ
- ヨシキリザメ
- アカシュモクザメ
- ヒラシュモクザメ
- シロシュモクザメ
- オナガザメ属全種
- ウバザメ
- ホホジロザメ
- アオザメ
- バケアオザメ
- ニシネズミザメ

これらに加え、2026年の改正に関係するヨゴレ、イトマキエイ科全種、ジンベエザメ、アイザメ科全種なども日本の留保対象に含まれています。

また、タツノオトシゴ属全種やクロナマコの一種も留保種です。

留保について誤解してはいけないこと

日本が留保しているからといって、その動植物が世界中で自由に取引できるようになるわけではありません。

留保は、その国と条約との関係に適用される制度です。他の締約国には、その国自身のCITES上の義務が残ります。

また、留保種であっても、日本の外為法に基づく輸出・再輸出手続きが必要になる場合があります。

2026年3月に種の保存法の規制対象も追加

2026年3月5日には、ワシントン条約の附属書Ⅰ改正に伴い、日本の種の保存法に基づく国際希少野生動植物種も見直されました。

環境省の2026年2月13日の発表によると、新たに19種が追加され、3種が削除されました。

追加された種の例は次のとおりです。

- ホームセオレガメ
- アヴォニア・クイナリア
- 鉄甲丸
- チリヤシ

これらの対象種については、規制開始日以降、譲渡しや販売目的の陳列・広告などが原則禁止されています。

ただし、鉄甲丸を含むトウダイグサ科については、野生由来の個体等と人工繁殖された個体等で国内取引の扱いが異なります。

規制開始前から所有している個体等については、取得時期を証明する資料を用意して登録することで、一定の条件下で譲渡し等が可能になる場合があります。

【プロの結論】ワシントン条約で失敗しないための判断基準

ワシントン条約を実際の輸出入や商品購入に適用する場合、最も大切なのは、附属書の番号だけで判断しないことです。

同じ動物でも、個体群や原産国、野生由来か人工繁殖か、製品の加工状態によって必要な手続きが変わります。

特に2026年は、CoP20による改正と日本独自の留保措置が重なっているため、過去の情報だけで判断すると手続きに誤りが生じる可能性があります。

輸出入・購入前に確認したい5つの判断基準

① 学名が正確に分かっているか

販売元に日本語の商品名だけでなく、原材料となる動植物の学名を確認してください。

② 最新の附属書を確認したか

過去の附属書ではなく、2026年11月時点で適用されている最新の掲載状況と発効日を確認します。

③ 原産国と個体の由来が明確か

野生由来か人工繁殖か、原産国はどこか、地域個体群の限定があるかを調べます。

④ 日本独自の留保や外為法上の手続きを確認したか

国際的な附属書の区分だけでなく、日本の留保種一覧と経済産業省の輸出入手続きも照合します。

⑤ 国内取引の規制も確認したか

輸入が認められても、国内での販売や譲渡しが自由とは限りません。種の保存法による規制や個体等登録の必要性を確認します。

特に希少動物のペット取引、海外旅行での皮革製品の購入、象牙製品の売買、希少植物の輸入などを検討している場合は、購入契約や輸送手配を進める前に確認することが重要です。

【ワシントン条約に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:ワシントン条約の対象となる動植物はどこで調べられますか?

Species+や経済産業省が公開している最新の附属書PDFで調べられます。検索には日本語の通称ではなく、ラテン語の学名を使用するのが基本です。亜種や地域個体群、植物の注釈も確認してください。

Q2:附属書Ⅱに掲載されている動物は飼育・販売できますか?

附属書Ⅱへの掲載だけで、あらゆる飼育や販売が禁止されるわけではありません。適法な国際取引や国内法上の要件を満たしていることが必要です。ほかの法律による規制も確認してください。

Q3:ワシントン条約の対象となる革製品や象牙製品は海外から持ち帰れますか?

商品によって異なります。原材料の種、附属書の区分、原産国、製品の状態によって必要な許可書や証明書が変わります。購入前に輸出国と日本の双方の手続きを確認してください。

Q4:日本が留保しているクジラやサメは規制対象外ですか?

一律に規制対象外とはいえません。留保によって日本と条約との関係に特別な扱いが生じますが、外為法上の輸出入管理や国内法の規制は別途確認する必要があります。

Q5:アイザメ科全種の附属書Ⅱ掲載はいつから適用されますか?

国際的な発効日は2027年6月5日です。ただし、日本は留保を決定しており、国内の輸入管理については通常の附属書Ⅱ掲載種とは異なる扱いになります。

Q6:CITES輸出許可書と再輸出証明書の違いは何ですか?

CITES輸出許可書は、原産国などから初めて輸出する場合に発行される書類です。再輸出証明書は、すでに輸入された動植物やその製品を別の国へ再び輸出する場合に発行されます。

まとめ:ワシントン条約の最新情報は附属書・外為法・留保をセットで確認

ワシントン条約は、絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を管理するCITESです。

附属書Ⅰは商業取引を原則禁止する最も厳しい区分、附属書Ⅱは取引管理によって将来の絶滅を防ぐ区分、附属書Ⅲは特定の国が他国に保護への協力を求める区分です。

日本では外為法に基づいて国際取引を管理し、国内取引については種の保存法による規制が関係します。

2026年の重要な変更点は、CoP20で採択された附属書改正の発効です。ヨゴレ、イトマキエイ科全種、ジンベエザメの附属書Ⅰへの移行は2026年3月5日に発効し、アイザメ科全種の附属書Ⅱ掲載は2027年6月5日に発効する予定です。日本の留保による特別な取扱いも見逃せません。

【プロの結論】

ワシントン条約の対象かどうかを判断するときは、次の順番で確認するのが確実です。

1. 商品や個体の学名を特定する。
2. 最新のCITES附属書で掲載状況を確認する。
3. 原産国・個体群・注釈・由来を確認する。
4. 日本の留保と外為法上の輸出入手続きを確認する。
5. 国内取引について種の保存法の規制を確認する。

この5段階を押さえれば、海外での購入、希少動植物の輸出入、加工品の取引などで生じやすい手続き上のトラブルを減らせます。

ワシントン条約は、単に珍しい動植物を取引禁止にする法律ではありません。生物多様性を守りながら、合法かつ持続可能な国際取引を実現するための国際的な仕組みです。2026年以降も附属書の改正や国内制度の変更を確認し、最新の規制に沿って取り扱うことが大切です。