【管轄区域はどこまで?】滋賀・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島・高知の7府県を担当
第五管区海上保安本部の管轄区域は、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県の7府県です。ただし、兵庫県については日本海側の地域が除かれます。
海上保安庁の公式概要と国土交通省の組織規則を照合すると、管轄の仕組みには行政区域と実際の担任水域という2つの視点があります。
行政上の管轄区域と海上の担任水域は違う

7府県すべてが同じように海岸線を持っているわけではありません。滋賀県と奈良県は内陸県ですが、第五管区の行政上の管轄に含まれています。
一方、実際の海上活動の中心となるのは、兵庫県南部、大阪府、和歌山県、徳島県、高知県の前面海域です。
大阪海上保安監部は滋賀・大阪・奈良を管轄する機関として位置付けられています。このため、事務所一覧に滋賀県や奈良県の独立した海上保安部が掲載されていなくても、管轄外という意味ではありません。
担任水域は南方沖合約1,250kmまで

第五管区の特徴は、沿岸部だけでなく、広大な沖合海域も担当することです。
公式の担任水域案内では、和歌山県や高知県などの南方沖合約1,250kmまでが対象として示されています。
これは、神戸港や大阪港、明石海峡などの交通量が多い海域だけでなく、遠洋で発生する海難事故や船舶の異常にも対応する必要があることを意味します。
神戸市の本部所在地・電話番号・アクセス

第五管区海上保安本部
所在地
〒650-8551
兵庫県神戸市中央区波止場町1-1
神戸第2地方合同庁舎
代表電話番号
078-391-6551
平日 8:30~12:00、13:00~17:15
最寄り駅
- JR・阪神元町駅から徒歩約10分
- JR・阪急・阪神三宮駅から徒歩約13分
- 地下鉄海岸線の旧居留地・大丸前駅から徒歩約5分
出典:第五管区海上保安本部公式アクセス案内。庁舎駐車場には台数制限があります。
本部は神戸市中央区の神戸第2地方合同庁舎に入っています。神戸港に近い立地であり、海上保安業務の統括拠点として機能しています。
なお、通常の問い合わせには代表電話を利用できますが、海難事故や海上犯罪などの緊急通報は代表番号ではなく118番を利用します。
【管内事務所一覧】海上保安部・海上保安署はどこに配置されている?
第五管区海上保安本部の管内には、本部以外にも海上保安部、海上保安署、航空基地、海上交通センター、水路観測所などが配置されています。
公式の管内事務所一覧に掲載されている施設を府県別に整理すると、次のようになります。
兵庫県の事務所
兵庫県内には、本部のほか神戸・姫路の海上保安部、西宮・加古川の海上保安署などがあります。
- 第五管区海上保安本部:神戸市中央区
- 神戸海上保安部:神戸市中央区
- 姫路海上保安部:姫路市飾磨区
- 西宮海上保安署:西宮市浜町
- 加古川海上保安署:加古川市別府町
- 大阪湾海上交通センター:神戸市中央区港島南町
特に神戸海上保安部は、神戸港や明石海峡周辺の安全確保に関係する重要な拠点です。
大阪府の事務所
大阪府内では、大阪港を中心とした海上保安業務に加え、関西国際空港周辺の安全確保も担当しています。
- 大阪海上保安監部:大阪市港区築港
- 堺海上保安署:堺市西区
- 岸和田海上保安署:岸和田市新港町
- 関西空港海上保安航空基地:泉佐野市泉州空港北
関西空港海上保安航空基地は、航空機による広域的な警戒や海難救助に対応する拠点です。
和歌山県の事務所
和歌山県は紀伊半島に位置し、複雑な海岸線や漁業・マリンレジャーの盛んな海域を抱えています。
- 和歌山海上保安部:和歌山市築港
- 田辺海上保安部:田辺市文里
- 海南海上保安署:海南市下津町
- 串本海上保安署:東牟婁郡串本町
- 下里水路観測所:東牟婁郡那智勝浦町
下里水路観測所は、通常の海上保安部とは異なり、水路や測地に関係する観測業務を担う専門施設です。
徳島県の事務所
- 徳島海上保安部:小松島市小松島町
- 徳島海上保安部美波分室:海部郡美波町
鳴門海峡を含む徳島周辺の海域では、船舶交通の安全確保や海難救助が重要な業務となります。
高知県の事務所
- 高知海上保安部:高知市桟橋通
- 宿毛海上保安署:宿毛市片島
- 土佐清水海上保安署:土佐清水市旭町
高知県南西部には豊後水道の入口や足摺岬沖など、海上交通と海難対応の両面で重要な海域があります。
以上の施設を合わせると、公式案内に掲載された事務所は本部を含めて20か所です。
【組織図を徹底解説】6つの部門と海上保安部の役割・関係性
第五管区海上保安本部の組織図を見ると、本部長と次長の下に6つの部門が置かれています。
各部門は独立して業務を進めるだけでなく、海難事故や大規模災害が発生した際には連携して対応します。
本部の6部門と担当業務
公式組織図に示されている部門と、その役割を整理します。
特に重要な警備救難部
警備救難部は、海上における警備・救難・環境防災を担当する部門です。
その内部には警備課、刑事課、国際刑事課、救難課、環境防災課、運用司令センターなどが置かれています。
例えば、船舶の衝突事故が発生した場合、運用司令センターなどが情報を受け取り、巡視船艇や航空機の運用につなげます。現場での救助だけでなく、事故原因に関係する調査や環境被害への対応も必要になります。
組織と現場をつなぐ関係図
組織の役割を理解するには、次の関係を押さえると分かりやすくなります。
- 第五管区海上保安本部:管内全体の業務を統括する。
- 各海上保安部・監部:担当海域や港湾の警備・救難業務を実施する。
- 各海上保安署・分室:地域に密着した現場対応を担う。
- 関西空港海上保安航空基地:航空機による捜索・救助などを実施する。
- 大阪湾海上交通センター:船舶交通の情報収集・監視と安全支援を行う。
- 下里水路観測所:海洋・測地に関係する専門的な観測を行う。
このように、本部の管理部門と現場の海上保安部、専門施設が一体となって機能しています。
【海難救助と巡視船】118番で命を守る第五管区の任務
第五管区海上保安本部の代表的な任務が海難救助です。
船舶の衝突や転覆、乗り揚げ、火災、海中転落などが発生した場合、巡視船艇や航空機を出動させ、人命救助と事故対応にあたります。
巡視船と航空機による救助体制
第五管区の公式担任水域案内には、20か所の海上保安部署・事務所、49隻の船艇、5機の航空機、約1,200人の職員という規模が掲載されています。
これらは公式ページに掲載されている組織規模の数値であり、個々の装備の2026年11月時点の稼働状況を示すものではありません。
2025年版の第五管区パンフレットには、次のような巡視船艇が紹介されています。
- 巡視船せっつ:神戸海上保安部に所属する大型巡視船。ヘリコプターを搭載する船として紹介されている。
- 巡視船きい:和歌山海上保安部に所属する巡視船。特別警備隊による対応能力も紹介されている。
- 巡視船とさ:高知海上保安部に所属し、潜水士による救難活動に関係する船。
- 巡視艇とさみずき:高知周辺の海域で活動する巡視艇として紹介されている。
これらは2025年版資料に掲載された例であり、2026年の最新配備一覧と同一とは限りません。
海難救助だけではない5つの主要任務
第五管区の業務は、次のように整理できます。
1. 海難救助:船舶事故や海中転落などの人命救助。
2. 海上警備:密漁、密輸、密航、不審船などへの対応。
3. 領海警備:日本の領海と海洋権益の保全。
4. 海上交通安全:船舶の航行監視、航行情報の提供、事故防止。
5. 海洋環境保全・防災:油の流出、廃棄物の不法投棄、海上災害への対応。
さらに、海図の作成や水路測量、灯台などの航路標識の維持管理も海上保安庁の重要な業務です。
海上の緊急通報は118番
海上保安庁 緊急通報118番
海上の事件・事故に関する全国共通の緊急電話番号
次のような場合に通報します。
- 船舶の衝突、転覆、乗り揚げ
- 海で人身事故を目撃したとき
- 不審船や漂流・漂着船を発見したとき
- 油の流出や海洋汚染を発見したとき
通報時には「いつ・どこで・何があったか」を簡潔に伝えます。
118番は第五管区だけの番号ではなく、海上保安庁が全国共通で運用する緊急通報窓口です。通報は運用司令センターにつながり、状況に応じて巡視船艇や航空機が出動します。必要に応じて警察や消防とも連携します。
2025年から運用されているLive118にも注目
海上保安庁は、2025年1月18日から「Live118」の運用を開始しました。
これは、118番通報を行う人のスマートフォンで撮影した映像を、運用司令センターとの間で送受信できるシステムです。
音声だけでは説明しにくい事故現場の状況を映像で伝えられるため、救助側が状況を把握するうえで役立ちます。
また、聴覚や発話に障がいがある人向けには、事前登録制の「NET118」も用意されています。
【大阪湾海上交通センター】明石海峡と大阪湾の安全を守る海の管制拠点
第五管区海上保安本部の特徴的な施設が、大阪湾海上交通センターです。
所在地は兵庫県神戸市中央区港島南町7-2-22。愛称は「マリンタクトKOBE」です。
大阪湾や明石海峡は、国内外の商船、貨物船、タンカー、漁船などが行き交う重要な海域です。船舶が集中する海域では、衝突や航路上のトラブルを防ぐための情報管理が欠かせません。
レーダー・AIS・無線による船舶監視
大阪湾海上交通センターでは、主に次の設備や通信手段を活用しています。
- レーダーによる船舶の動向把握
- テレビカメラによる周辺海域の監視
- AIS(船舶自動識別装置)による船舶情報の取得
- VHF無線電話による船舶との通信
- インターネットを通じた航行支援情報の提供
これらを組み合わせて、船舶の位置や動きを把握し、安全航行に必要な情報を提供しています。危険防止のために勧告を行うほか、法令に定められた条件では航路外待機や入航予定時刻の変更などを指示することもあります。
なぜ大阪湾の管制が重要なのか
特に重要なのが明石海峡航路です。
明石海峡は、瀬戸内海と大阪湾を結ぶ海上交通の要衝です。多様な船舶が航行するため、船同士の位置関係や進行方向を把握し、適切な情報提供を行う必要があります。
大阪湾海上交通センターは、単に船の位置を確認する施設ではありません。船舶交通の安全性と効率性を高めるため、必要な情報提供や航行上の勧告・指示を行う専門施設です。
船舶を実際に救助する巡視船とは役割が異なりますが、事故を未然に防ぐという点で海難救助と密接につながっています。
海上保安庁の2025年版第五管区パンフレットでも、同センターは24時間体制で船舶の安全運航に必要な情報提供と航行管制を行う施設として紹介されています。
【沿革と2026年最新情報】1948年の創設から現在の採用・活動まで
第五管区海上保安本部の歴史は、海上保安庁の発足と同時に始まりました。
第五管区海上保安本部の沿革
主な歴史的な節目は次のとおりです。
- 1948年5月1日:海上保安庁の発足と同時に、神戸海上保安本部として設置。
- 1950年6月1日:管区制の採用に伴い、第五管区海上保安本部に改称。
- 1993年4月1日:大阪湾海上交通センターを設置。
- 1995年1月17日:阪神・淡路大震災により本部庁舎が被災。
神戸を起点とした組織は、港湾や海上交通の発展に合わせて業務を拡大し、現在の広域的な海上保安体制につながっています。
2026年11月現在の最新動向
2026年11月1日時点で、第五管区海上保安本部の公式サイトには、10月26日付の新着情報が掲載されています。
注目すべき内容は次の3点です。
1.大阪湾海上交通センターの技術職員募集
2026年10月26日付で、技術官(係長相当級)の任期付職員募集について告知されました。
業務はレーダー、通信装置、無線施設などの運用・保守です。無線技術士や総合無線通信士などの資格、関連する職務経験が応募条件に含まれていました。
採用予定期間は2027年2月1日から2029年3月31日までで、勤務実績などに応じて最長5年間の更新可能性も示されています。
ただし、応募受付は2026年10月23日に終了しています。現在応募できる募集として扱うことはできません。
2.2026年11月の海上保安セミナー
10月26日付のお知らせには、次のイベントも掲載されています。
- 2026年11月18日:「海上保安庁のこと もっと知らNightセミナー」
- 2026年11月22日:「海保まるわかりセミナー」
海上保安官の仕事や組織への理解を深めたい人にとって、採用情報と並んで注目したい取り組みです。
3.第五管区の海の安全情報を随時更新
海上保安庁の「海の安全情報」では、気象・海象、航行警報、緊急情報などを提供しています。
2026年10月31日12時更新の第五管区の情報には、高知港周辺の簡易灯浮標の流失と仮灯設置に関する情報などが掲載されていました。
このような情報は、実際に船舶を運航する人や海で活動する人にとって重要です。事故発生後の救助だけでなく、航行上の危険を事前に知らせることも海上保安業務の一部です。
第五管区海上保安本部の採用情報
海上保安官を目指す場合、基本的な採用経路は海上保安大学校や海上保安学校を通じたものです。
海上保安大学校は幹部職員の養成を担い、海上保安学校では一般課程や航空課程、海洋科学課程、管制課程など、専門分野に応じた教育が行われています。
採用情報を調べる際には、次の違いを理解しておくとよいでしょう。
- 海上保安大学校:将来の幹部職員を目指す進路。
- 海上保安学校:海上保安業務の専門職員を目指す進路。
- 経験者向け任期付採用:特定分野の専門知識や職務経験を生かす進路。
第五管区独自の募集だけを探すのではなく、海上保安庁全体の採用試験や教育機関の募集要項も確認することが大切です。
【第五管区海上保安本部に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:第五管区海上保安本部の管轄区域は何県ですか?
A1:滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県の7府県です。ただし、兵庫県は日本海側を除きます。実際の担任水域は兵庫県南部、大阪府、和歌山県、徳島県、高知県の前面海域などです。
Q2:第五管区海上保安本部の所在地と電話番号は?
A2:兵庫県神戸市中央区波止場町1-1、神戸第2地方合同庁舎です。代表電話番号は078-391-6551です。
Q3:滋賀県や奈良県に海上保安部がないのはなぜですか?
A3:両県は第五管区の行政上の管轄に含まれますが、公式の管内事務所一覧には独立した海上保安部や海上保安署が掲載されていません。大阪海上保安監部の管轄区域との関係を理解する必要があります。
Q4:海難事故が起きた場合、どこに連絡すればよいですか?
A4:海上の事件・事故は全国共通の緊急通報番号118番です。第五管区の代表電話ではなく、緊急時には118番を利用してください。
Q5:大阪湾海上交通センターは何をする施設ですか?
A5:レーダー、AIS、テレビカメラ、無線などを使って明石海峡や大阪湾北部の船舶交通を監視し、安全航行に必要な情報提供や勧告・指示を行う施設です。
Q6:第五管区海上保安本部の採用情報はどこで確認できますか?
A6:第五管区海上保安本部の公式サイトと海上保安庁の採用情報ページで確認できます。海上保安大学校・海上保安学校の学生採用試験や、専門職の任期付採用などが案内されます。
まとめ:第五管区海上保安本部を理解するための重要ポイント
第五管区海上保安本部は、兵庫県神戸市を拠点として、近畿地方と四国の海上安全を支える重要な組織です。
管轄区域は7府県に及びますが、実際の海上活動の中心となる担任水域は5府県の沿岸部と、その南方沖合約1,250kmに広がっています。
特に押さえておきたいのは、次の4点です。
- 所在地と連絡先:神戸市中央区波止場町1-1、078-391-6551。
- 管轄区域:滋賀・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島・高知の7府県。
- 主要任務:海難救助、海上警備、船舶交通安全、海洋環境保全。
- 専門施設:大阪湾海上交通センター、関西空港海上保安航空基地、下里水路観測所など。
2026年現在も、海上交通の安全確保や救助体制の維持に加え、専門技術者の採用や安全情報の発信が続いています。
【プロの結論】
第五管区海上保安本部を理解するうえで最も重要なのは、「行政上の管轄区域」「実際の担任水域」「現場の事務所配置」を区別することです。
この3つを混同すると、滋賀県や奈良県が管轄に含まれる理由や、神戸に本部がありながら四国南岸まで広く担当している理由が分かりにくくなります。
また、海上保安庁の役割は事故発生後の救助だけではありません。大阪湾海上交通センターによる航行支援、巡視船艇による警戒、海洋情報の提供、災害への備えなど、事故を未然に防ぐ活動も大きな柱です。
海の安全を考える際には、日頃から118番の仕組みと、第五管区が発信する海の安全情報を把握しておくことが、船舶関係者だけでなく、釣りや海水浴などを楽しむ人にとっても大切です。