外国人生活保護は誰が受けられる?2026年の最高裁判断と受給条件を徹底解説
2026年現在、日本に住む外国人は生活保護を受けられるのでしょうか。答えは「一定の条件を満たせば、行政措置によって受給できる」です。ただし、日本人と外国人では法的な位置づけが大きく異なります。生活保護法第1条・第2条は原則として日本国民を対象としており、外国人への保護は、1954年(昭和29年)の厚生省通知に基づく行政措置として実施されています。
対象となるのは、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者、認定難民などです。一方、留学生や技能実習生、特定技能、技術・人文知識・国際業務などの在留資格は、原則として対象外です。さらに2026年9月9日には、外国人の生活保護をめぐる新たな最高裁決定が出され、制度の法的根拠と人道上の課題が改めて浮き彫りになりました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 受給できる外国人:永住者・定住者・特別永住者・日本人の配偶者等・認定難民など、一定の在留資格を持つ人が対象。
- 法的な違い:外国人は生活保護法上の受給権を持たず、昭和29年通知に基づく行政措置として保護を受ける。
- 2026年最新動向:9月の最高裁決定では上告が棄却された一方、裁判官の反対意見で一部外国人への保護をめぐる憲法上の問題が提起された。
【まず結論】外国人生活保護は誰が受けられる?2026年の受給条件

外国人であっても、日本で生活に困窮し、一定の在留資格と行政上の条件を満たしていれば、生活保護法に準じた保護を受けられます。
ただし、外国籍であることだけを理由に受給できるわけではありません。在留資格、在留状況、世帯収入、預貯金などの資産、就労能力、親族からの援助の可能性などを総合的に確認します。
外国人生活保護の主な受給条件

2026年3月に厚生労働省が公表した社会・援護局関係主管課長会議資料では、対象となる外国人について、適法に日本に滞在し、活動制限を受けない永住者・定住者等の在留資格を有することが基本とされています。
具体的には、次のような条件が判断の中心になります。
- 日本に適法に在留していること。
- 行政措置の対象となる在留資格を有していること。
- 病気、障害、失業、高齢などによって生活に困窮していること。
- 預貯金、不動産、保険など利用可能な資産を活用していること。
- 就労可能な場合は、能力に応じて働く努力をしていること。
- 年金や各種社会保障給付、親族からの援助などを活用しても最低生活費に届かないこと。
重要なのは、永住者だから無条件に生活保護を受けられるわけではないという点です。在留資格は対象者を判断するための入口であり、実際の受給には生活困窮の認定が必要です。日本人と同様、資産や収入を確認したうえで保護の必要性が判断されます。
厚生労働省の2026年度資料も、外国人を優先する制度ではなく、資産や能力などを活用するという基本的な取扱いは日本人の場合と変わらないことを示しています。
【法律と歴史を解説】生活保護法第1条・昭和29年通知の関係とは?

外国人生活保護を理解するうえで欠かせないのが、生活保護法と昭和29年通知の違いです。この2つを混同すると、「外国人にも日本人と同じ受給権がある」「外国人は一切生活保護を受けられない」という正反対の誤解につながります。
生活保護法第1条・第2条は日本国民を対象としている
生活保護制度は、日本国憲法第25条の生存権の理念を具体化した制度です。
しかし、生活保護法第1条には、保護の対象について「生活に困窮するすべての国民」と規定されています。第2条も、同法の要件を満たす国民が無差別平等に保護を受けられると定めています。
厚生労働省の公式資料では、この「国民」は日本国民を意味し、外国人は法律上の適用対象に含まれないと整理されています。
「外国人は法の適用対象とならない」
これは昭和29年通知にも明記されている基本的な法的整理です。現在も生活保護法第1条の文言は維持されており、外国人を一般的に同法の受給権者とする法改正は行われていません。
1954年(昭和29年)通知が作られた歴史的背景
なぜ外国人は法律の対象外なのに、実際には保護を受けられるのでしょうか。その背景には、戦後の国籍制度の変更があります。
1950年に現在の生活保護法が制定されたことで、法律上の受給対象は日本国民に限定されました。しかし、それ以前の旧生活保護法の下で保護を受けていた外国人も存在していました。
さらに1952年4月28日、サンフランシスコ平和条約が発効しました。この結果、在日韓国・朝鮮人や台湾出身者など、それまで日本国籍を有していた人々が日本国籍を離脱することになりました。
当時、生活保護を受けていた人々の保護を直ちに打ち切ることは、人道上の問題を生じさせます。そこで1954年5月8日、厚生省社会局長から各都道府県知事に向けて「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という通知が出されました。
この通知が、現在まで続く外国人生活保護の行政上の出発点です。2018年の衆議院厚生労働委員会でも、政府参考人が、旧制度からの受給者への対応や平和条約発効に伴う国籍変更が通知の背景にあったと説明しています。
昭和29年通知によって何が変わったのか
昭和29年通知は、外国人を生活保護法の対象に追加した法律ではありません。法律上の適用対象外という整理を維持したまま、困窮する外国人に対して、日本国民への保護の決定・実施に準じた行政措置を行う仕組みを定めたものです。
通知には、申請者の在留カードまたは特別永住者証明書の提示、申請内容の確認、必要に応じた領事館等からの援護の確認などが規定されています。
なお、1954年当時の通知には、在日韓国・朝鮮人や台湾出身者について手続を簡素化する特例も設けられました。これは、従来日本国籍を有していた人々の生活保障を急に失わせないという歴史的事情に基づくものです。
1981年の難民条約加入に伴う社会保障制度の整備も、その後の制度を考えるうえで重要です。国民年金法などでは国籍要件の撤廃が進みましたが、生活保護法については昭和29年通知による行政措置が継続していたことが、2026年の最高裁決定に付された補足意見でも説明されています。
【最高裁判決を徹底検証】2014年判決と2026年9月の最新決定
外国人生活保護をめぐる議論では、最高裁判所の判断が大きな意味を持ちます。特に重要なのが、2014年7月18日の判決と、2026年9月9日の決定です。
2014年7月18日:永住外国人にも生活保護法上の受給権はない
2014年7月18日、最高裁第二小法廷は、永住者の在留資格を持つ外国人による生活保護申請をめぐる訴訟で判断を示しました。
争点は、永住資格を持つ外国人が生活保護法に基づく保護を受ける権利を有するかどうかです。
最高裁は、生活保護法第1条・第2条の「国民」は日本国民を意味し、外国人は含まれないと判断しました。また、昭和29年通知は行政庁の通達であり、それによる行政措置が行われているからといって、外国人に生活保護法上の受給権が発生するわけではないと整理しました。
その結果、外国人は行政措置によって事実上の保護対象となり得るにとどまり、同法に基づく受給権を持たないという判断が確立しました。
ただし、この判決を「外国人への生活保護そのものを禁止した」と理解するのは誤りです。否定されたのは生活保護法に基づく法的な受給権であり、昭和29年通知による行政措置まで禁止されたわけではありません。
2026年9月9日:療養目的の特定活動外国人をめぐる最高裁決定
2026年の大きな動きが、令和6年(行ツ)第372号・生活保護開始決定義務付け請求事件です。
この事件では、外国籍の男性が、病気の治療を必要とする事情から、法務大臣による在留特別許可を受け、療養活動を指定された「特定活動」の在留資格で日本に滞在していました。
男性は2021年11月18日に千葉市長へ生活保護を申請しましたが、同年12月1日に却下されました。生活保護法上の対象ではないことに加え、昭和29年通知に基づく行政措置の対象となる在留資格にも該当しないと判断されたためです。
その後、男性は却下決定の取消しなどを求めて争いましたが、一審・二審で認められず、最高裁に上告しました。
2026年9月9日、最高裁第二小法廷は上告を棄却しました。これにより原告側の敗訴が確定しました。
ただし、この決定で注意したいのは、多数意見が外国人を生活保護の対象外とすることの憲法適合性について実体的な判断を示したわけではない点です。多数意見が示した棄却理由は、民事訴訟法第312条第1項・第2項に定める上告理由に該当しないというものでした。
三浦守裁判官の反対意見が示した新しい論点
今回の決定には、三浦守裁判官の反対意見と、高須順一裁判官の補足意見が付されています。
特に注目されるのが、三浦裁判官の反対意見です。同裁判官は、少なくとも次の外国人を生活保護法の対象から除外することについて、憲法第25条の生存権および第14条の法の下の平等に違反し、無効とするべきだとの見解を示しました。
- 難民認定を受けている外国人
- 補完的保護対象者の認定を受けている外国人
- 医療機関での療養活動を指定された特定活動の在留資格を持つ外国人
反対意見では、帰国して本国の保護を受けることが困難な人に最低限度の生活を保障しないことは、人間の生存と尊厳を損なうとの考えが示されました。また、外国人への保護を法律上の権利ではなく自治体の裁量に委ね続けることについて、国会の立法上の対応を求める趣旨の指摘もありました。
一方、高須裁判官の補足意見は、昭和29年通知による保護は行政措置であること、1981年の難民条約加入に際して生活保護法の改正が行われなかった歴史的経緯などを確認しています。
重要なのは、三浦裁判官の反対意見は法廷意見ではなく、今回の最高裁決定によって外国人全体の受給権が認められたわけではないという点です。2014年判決の法的整理も覆されていません。
2026年時点では、法律上の権利と行政措置の区別が維持される一方、特に人道的配慮が必要な外国人への保障をどのように法制度化するかが、今後の重要な政策課題となっています。
これらの判断は、最高裁判所の2026年9月9日付決定原文で確認できます。
【在留資格別に比較】永住者・定住者・特別永住者・配偶者・難民の違い
外国人生活保護の対象範囲を判断するうえで、最も重要なのが在留資格です。厚生労働省の2026年3月資料では、活動制限を受けない在留資格を持つ外国人などが、行政措置の対象として整理されています。
ここでは、主な在留資格と制度上の取扱いを比較します。
| 在留資格・区分 | 行政措置の取扱い | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| 永住者 | 対象 | 適法な在留と生活困窮の認定が必要 |
| 定住者 | 対象 | 在留資格の有効性と世帯の収入・資産を確認 |
| 日本人の配偶者等 | 対象 | 婚姻関係などの在留資格を確認 |
| 永住者の配偶者等 | 対象 | 配偶者等としての在留資格を確認 |
| 特別永住者 | 対象 | 特別永住者証明書による確認 |
| 認定難民 | 対象 | 難民認定の有無と生活状況を確認 |
| 特定活動 | 個別判断 | 活動内容や活動制限の有無などによる |
| 技術・人文知識・国際業務 | 原則対象外 | 一般的な就労資格は対象外 |
| 特定技能・技能実習 | 原則対象外 | 在留資格の区分による |
| 留学・家族滞在 | 原則対象外 | 活動制限のある在留資格は対象外 |
| 経営・管理・技能・介護・芸術 | 原則対象外 | 厚労省資料に対象外の例として明記 |
出典:厚生労働省「社会・援護局関係主管課長会議資料(令和8年3月)」および同省の「生活保護における外国人の取扱いについて」。なお、対象の可否は個々の在留状況や制度運用によって確認が必要です。
永住者・定住者はなぜ対象になるのか
永住者と定住者は、日本での活動に原則として制限がない在留資格です。長期的な生活基盤を日本に置くことを前提とした在留資格であることから、昭和29年通知に基づく保護の対象として取り扱われています。
ただし、永住者の在留資格を取得したことと、生活保護を受ける資格が自動的に認められることは別問題です。生活に困窮しているか、資産や収入で生活を維持できるかという審査は必要です。
日本人の配偶者等と永住者の配偶者等
日本人の配偶者等は、日本人と結婚した外国人などが取得する在留資格です。また、永住者の配偶者等は、永住者の配偶者や一定の子などが対象となります。
これらは入管法別表第二に定められた在留資格であり、生活保護に準じた行政措置の対象です。
注意したいのは、外国人が日本人と結婚しているという事実だけで判断されるわけではないことです。実際にどの在留資格を取得しているか、現在の在留状況がどうなっているかが確認されます。
特別永住者と認定難民
特別永住者は、日本国との平和条約に基づく国籍離脱者などに関する特例法によって認められた在留資格です。在日韓国・朝鮮人や在日台湾人などの歴史的背景と関係しています。
また、認定難民も行政措置による保護の対象に含まれます。難民は、国籍国に帰国して保護を受けることが困難な事情を持つため、人道上の配慮が必要とされているからです。
受給対象外となる在留資格にも注意
厚生労働省の2026年3月資料では、芸術、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、介護、技能、特定技能、技能実習、留学、家族滞在などは、原則として生活保護法に準じた取扱いの対象にならないと明示されています。
特定活動については一律に判断できません。日本国内での活動制限がない場合など、個別に検討する余地があります。
また、2026年9月の最高裁決定で争われた医療目的の特定活動については、三浦裁判官が法的な保護を認めるべきとの反対意見を示しましたが、これによって通常の行政措置の対象に追加されたわけではありません。
したがって、在留資格の名称だけで自己判断せず、福祉事務所に個別の取扱いを確認することが重要です。
【申請方法と支給額】外国人生活保護の手続き・医療扶助・住宅扶助
対象となる在留資格を持つ外国人が生活に困窮した場合、原則として住居地を管轄する福祉事務所に相談します。外国人の場合は在留資格の確認などが加わりますが、保護の必要性を判断する基本的な仕組みは日本人の場合と共通しています。
外国人生活保護の申請手順
1.福祉事務所への相談
現在住んでいる地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当窓口に相談します。生活費、家賃、医療費、収入、家族構成などを説明します。
2.在留資格と本人確認
昭和29年通知では、有効な在留カードまたは特別永住者証明書の提示を求めています。申請書には申請者や保護を必要とする人の国籍を明記します。
3.生活状況・資産・収入の調査
福祉事務所は、次のような事項を確認します。
- 預貯金、保険、不動産などの資産状況
- 給与、年金、事業収入などの収入状況
- 世帯構成と実際の生活状況
- 就労の可能性と求職状況
- 扶養義務者から援助を受けられる可能性
- 他の社会保障制度を利用できるかどうか
入国して間もない外国人の場合は、在留資格取得時に提出した雇用予定証明書、生活費を支弁する人の収入証明、身元保証に関する資料などの提出を求められる場合があります。
4.保護の必要性を判断
調査結果に基づき、生活保護に準じた行政措置を行う必要があるかどうかが判断されます。1954年通知には、申請者が急迫した状況にある場合、通常の手続を終える前に必要な保護を行える旨も定められています。
なお、昭和29年通知には領事館等から援護を受けられないか確認する手続も規定されていますが、2019年の厚生労働省事務連絡により、過去の回答などを踏まえて確認頻度を適切に判断する運用が示されています。
外国人の生活保護費はいくら?
外国人に対する行政措置による保護は、基本的に日本人と同じ生活保護基準に準じて実施されます。外国人だから特別に高い金額が支給される仕組みではありません。
支給額は、厚生労働大臣が定める最低生活費を基礎として計算します。
基本的な計算方法は次のとおりです。
支給額=最低生活費-世帯の収入認定額
最低生活費は、年齢、世帯人数、居住地域、健康状態などによって変わります。2026年10月の生活扶助基準でも、年齢区分や地域区分によって基準額が異なっています。
そのため、単身世帯と複数人世帯、都市部と地方では支給額が異なり、一律に「外国人は月額いくら」と決めることはできません。
生活扶助・住宅扶助・医療扶助の仕組み
生活保護制度には8種類の扶助があり、必要に応じて単独または組み合わせて利用します。
- 生活扶助:食費、衣服費、光熱費など日常生活に必要な費用。
- 住宅扶助:家賃など住居の維持に必要な費用。地域や世帯人数に応じた上限がある。
- 教育扶助:義務教育に必要な学用品や給食費など。
- 医療扶助:診察、治療、薬剤など医療に必要な費用。
- 介護扶助:介護サービスを利用するための費用。
- 出産扶助:出産に必要な費用。
- 生業扶助:就労や技能習得など、自立に向けた費用。
- 葬祭扶助:葬儀に必要な費用。
特に注目されるのが医療扶助です。医療扶助は原則として現金を直接渡すのではなく、医療機関で必要な診療を受ける現物給付の仕組みです。
住宅扶助についても、家賃が無制限に支給されるわけではありません。居住地域や世帯人数などに応じて定められた限度額の範囲で認定されます。
昭和29年通知は、保護内容について日本人と外国人で別段の取扱上の差を設けるべきではないとしています。つまり、行政措置の対象として認められれば、基本的な扶助の内容や基準は日本人に準じます。
一方で、法的な受給権や不服申立ての仕組みは日本人と異なります。この点が、外国人生活保護制度の最も大きな特徴です。
【2026年最新データ】外国人生活保護の受給実態とよくある誤解
外国人生活保護をめぐっては、受給者が急増している、生活保護世帯の大半が外国人である、日本人より優先されているといった主張が見られます。
しかし、厚生労働省が公表している統計を見ると、こうした主張とは異なる実態が分かります。
2024年度の外国籍世帯に関する最新確定データ
厚生労働省の被保護者調査によると、2024年度の1か月平均で、世帯主が日本国籍を有しない世帯の被保護世帯数は4万7,332世帯でした。
その世帯に属する被保護人員数は6万4,993人です。全被保護人員数200万8,061人に対して約3.24%に当たります。
また、全被保護世帯165万674世帯に対する外国籍世帯主の世帯割合は約2.9%です。
この数字は外国人だけの受給者数を意味しません。外国籍の世帯主がいる世帯に日本人の配偶者や子どもが含まれる場合、その日本人も人数に計上される可能性があります。逆に、日本人が世帯主で外国人が家族として生活している世帯の外国人は、この集計には含まれません。
したがって、正確には「外国籍の世帯主がいる生活保護世帯に属する人員数」であり、外国人個人の受給者数そのものではありません。
外国人世帯の受給者は増加しているのか
厚生労働省の資料では、世帯主が日本国籍を有しない世帯に属する被保護人員数は、2012年度の7万4,736人から2024年度の6万4,993人へ減少しています。
約12年間で9,743人、約13%の減少です。
さらに、2015年度の7万2,995人から2024年度の6万4,993人へと、長期的にも減少傾向が確認できます。
一方、在留外国人の総数は増加しています。外国人の人口が増えているからといって、生活保護を受ける外国籍世帯の人員も同じように増加しているわけではありません。
2026年の生活保護全体の最新状況
外国籍世帯に関する確定した詳細データとは別に、生活保護全体の最新動向も確認しておきましょう。
厚生労働省が2026年10月7日に公表した2026年7月分の概数では、被保護実人員数は196万9,655人、被保護実世帯数は164万4,102世帯でした。
これは日本人・外国人を含む全体の数字であり、外国人だけの人数ではありません。外国籍世帯に関する2026年の最新の詳細な比較には、2024年度確定値を使用する必要があります。
外国人生活保護をめぐる3つの誤解
誤解1:生活保護世帯の3分の1は外国人
厚生労働省の公式Q&Aでは、2024年度の外国籍世帯主の受給世帯割合は約2.9%とされています。3分の1という数字とは大きく異なります。
誤解2:中国人の生活保護受給者が5年間で2倍になった
厚生労働省のQ&Aによると、中国籍の世帯主がいる被保護世帯の人員数は、2018年度の9,059人から2023年度の9,471人へ増加したにとどまります。約400人の増加であり、2倍になったという事実はありません。
誤解3:外国人は日本人より優先して生活保護を受けられる
厚生労働省は、外国人に対する保護でも資産や能力などを活用する要件は変わらず、外国人を優先しているわけではないと説明しています。
制度の議論では、外国籍世帯の割合だけでなく、集計方法、対象となる在留資格、法的な受給権の有無を分けて考える必要があります。
なお、ここで使用した数値の出典は、厚生労働省「外国人の生活保護に関するよくあるご意見・ご質問」および「被保護者調査」です。
【プロの結論】外国人生活保護を判断するために知っておきたい本質
外国人生活保護の議論で本当に重要なのは、外国人に給付するか、しないかという二択だけではありません。
制度の根本には、法律上の受給権を認められていない外国人に対して、行政措置によって最低限度の生活をどこまで保障するのかという問題があります。
現行制度には、次の3つの構造的な特徴があります。
第一に、在留資格による対象者の区分です。
永住者や定住者など、日本に継続的な生活基盤を持つ外国人は行政措置の対象となります。一方、就労や留学など活動制限のある在留資格は原則として対象外です。もっとも、特定活動や難民などには個別の事情があり、一律の判断はできません。
第二に、日本人と同等の給付内容であっても、法的な権利は同じではないことです。
外国人は行政措置によって保護を受けられる場合がありますが、生活保護法に基づく受給権は認められていません。行政措置に関する不支給判断についても、日本人と同じ行政不服申立ての仕組みが保障されているわけではありません。
第三に、制度の安定性と透明性です。
1954年の通知を出発点とする仕組みは、70年以上にわたって続いています。しかし、法律ではなく行政通知を中心に運用されているため、対象者の範囲や自治体の判断、救済手段などに課題が残ります。
2026年9月の最高裁決定で三浦裁判官が示した反対意見は、特に難民や療養を必要とする外国人への保障について、国会が制度を整備する必要性を改めて問いかけるものでした。
今後の制度改革を評価する際には、次の基準が重要になります。
- 受給対象となる在留資格が明確に定められているか。
- 困窮状態にある外国人が自治体で適切に申請できるか。
- 医療や住居など、生命維持に必要な保障が確保されているか。
- 日本人と外国人の給付基準に不合理な差がないか。
- 不支給などの判断に対して適切な救済手段があるか。
- 公的統計が外国人個人と外国籍世帯を区別して把握できるようになっているか。
外国人生活保護は、社会保障の公平性、財政負担、人道上の責任、在留管理という複数の課題が交差する制度です。受給者の人数だけで賛否を判断するのではなく、法律・行政措置・在留資格・統計を分けて理解することが、冷静な政策議論につながります。
【外国人の生活保護】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:外国人でも日本で生活保護を受けられますか?
A1:受けられる場合があります。永住者、定住者、日本人の配偶者等、特別永住者、認定難民など、一定の在留資格を持ち、生活に困窮している人が昭和29年通知に基づく行政措置の対象となります。ただし、法律上の受給権があるわけではありません。
Q2:永住者なら必ず生活保護を受けられますか?
A2:いいえ。永住者は対象となる在留資格ですが、預貯金、不動産、収入、就労能力、世帯状況などを調査し、保護の必要性が認められる必要があります。
Q3:留学生や技能実習生も生活保護を受けられますか?
A3:厚生労働省の2026年3月資料では、留学、技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務、家族滞在などは原則として対象外とされています。特定活動などは個別判断となる場合があります。
Q4:外国人の生活保護費は日本人より高いのですか?
A4:外国人に特別に高い支給基準が設けられているわけではありません。行政措置の対象となった場合、年齢、世帯人数、地域、収入などに応じ、日本人の生活保護基準に準じて算定されます。
Q5:2014年の最高裁判決で外国人の生活保護は禁止されたのですか?
A5:いいえ。2014年判決は外国人に生活保護法上の受給権がないと判断したものです。昭和29年通知による行政措置まで禁止したわけではありません。
Q6:2026年9月の最高裁決定で外国人の受給権は認められましたか?
A6:認められていません。上告は棄却されました。ただし、三浦守裁判官は反対意見で、難民認定者や補完的保護対象者、療養活動を指定された特定活動の外国人などを対象外とすることは憲法違反で無効とするべきだとの見解を示しました。これは多数意見ではなく、現在の制度を変更する判断ではありません。
まとめ:外国人生活保護の2026年最新事情と今後の課題
外国人生活保護は、日本国民を対象とする生活保護法と、外国人への行政措置という二重の仕組みによって運用されています。
永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者、認定難民などは、一定の条件を満たせば保護の対象となります。一方、留学生や技能実習生、特定技能などは原則として対象外です。
2024年度の統計では、外国籍世帯主のいる被保護世帯は4万7,332世帯、同世帯に属する人員は6万4,993人で、全被保護人員に占める割合は約3.24%でした。ただし、この人数は外国人だけを抽出した数字ではありません。
そして2026年9月9日の最高裁決定は、従来の法的な枠組みを覆すものではなかった一方、反対意見によって外国人の生存権や平等原則をめぐる問題を改めて提起しました。
今後の焦点は、行政措置に依存する現行制度をどのように安定させ、生活に困窮する人々への人道的な保障と制度の公平性を両立させるかです。2026年以降の国会での議論や厚生労働省の制度運用、自治体の対応が注目されます。