【玉城良二監督とは】名門復活を託された指導者の経歴と方針
日体大駅伝部の現在を語るうえで、玉城良二監督の存在は欠かせない。
玉城監督は日本体育大学のOBで、現役時代には箱根駅伝に出場した経験を持つ。2020年7月1日付で男子駅伝監督に就任した。
玉城良二監督のプロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 玉城良二 |
| 出身大学 | 日本体育大学 |
| 出身高校 | 長野吉田高校 |
| 現役時代 | 箱根駅伝10区で区間3位 |
| 監督就任 | 2020年7月 |
| 就任前の指導歴 | 諏訪実業高校、長野東高校 |
| 主な指導実績 | 長野東高校を全国高校女子駅伝準優勝に導く |
玉城監督は大学卒業後、指導者として高校駅伝の現場で経験を積んだ。長野東高校では女子駅伝チームを全国大会の準優勝に導くなど、長距離選手の育成に実績を残している。
日体大の監督就任は、母校の立て直しを託された大きな転機だった。
選手主体のチームづくり
玉城監督の指導で注目したいのが、選手自身が考えて行動するチームづくりだ。
日本体育大学の男子駅伝チーム紹介でも、学生が主体的に活動できる組織を目指す方針が紹介されている。
監督がすべてを決めるのではなく、選手が自分の課題を理解し、練習の目的を共有する。こうした考え方は、長期間にわたってチームを維持するうえでも意味がある。
2026年の予選会後、玉城監督は地道な走り込みを重ね、昨年と同じ練習をこなせるようになったことが手応えにつながったと説明した。
このコメントから読み取れるのは、短期間で急激に戦力を引き上げるのではなく、基礎的な走力と持久力を積み上げる強化方針だ。
79年連続出場を実現した背景には、こうした継続的な指導と学生主体のチーム運営がある。
【日体大駅伝部の強さ】伝統の集団走が予選会で機能した理由
日体大駅伝部の特徴として知られるのが、複数の選手がまとまって走る集団走だ。
今回の予選会でも、この戦術が本大会出場を左右する重要な要素となった。
集団走とは何か
集団走とは、選手が一定のペースを共有し、まとまった状態で走る方法だ。
個々の能力だけに頼らず、チーム内でペースを調整しながらレースを進めることに特徴がある。
特に箱根駅伝予選会では、上位10人の合計タイムが大学の順位を決める。
そのため、1人のエースが好記録を出すこと以上に、10人全員が大きく崩れないことが重要になる。
日体大が集団走を重視する理由は、この大会形式と相性がよいことにある。
2026年の予選会で見えた戦術の成果
月刊陸上競技の報道によると、今回のレースでは前の3人が比較的自由に走り、4番手以降の選手は集団走を活用した。
その集団を引っ張ったのが、天瀬海斗と水津勇人だった。
特に水津はチーム4番手で1時間4分00秒。10番手の選手も1時間4分31秒でまとめている。
4番手から10番手までの差は31秒。チームの中位から下位にかけて、比較的まとまったタイムで走り切ったことが分かる。
この戦術には、次のようなメリットがある。
- ペース配分を共有でき、序盤のオーバーペースを防ぎやすい。
- 選手同士が互いの走りを確認しながらレースを進められる。
- 中位以下の選手のタイムが大きく崩れるリスクを抑えられる。
- 10人の合計タイムを競う予選会で、チーム全体の安定性を高められる。
一方、集団走だけで箱根駅伝のシード権を獲得できるわけではない。
箱根本戦は往路・復路の10区間をつなぐ競技であり、各区間の距離やコース特性も異なる。山上り・山下りを含むコースへの対応や、単独走になった際のペース維持も求められる。
つまり、集団走は日体大の強みである一方、個人の走力をさらに伸ばす取り組みも必要になる。
【日本体育大学駅伝部の歴代優勝回数】箱根5連覇を成し遂げた名門の歴史
日体大駅伝部は、箱根駅伝で10回の総合優勝を経験している。
東京箱根間往復大学駅伝競走の公式記録によれば、総合優勝回数は歴代5位の10回。順天堂大学の11回に次ぐ実績だ。
1969~1973年の箱根駅伝5連覇
日体大の歴史を語るうえで外せないのが、1969年から1973年にかけての5連覇だ。
第45回大会から第49回大会まで、5大会連続で総合優勝を達成した。
大学駅伝では、選手の卒業や入学によって毎年チームが変わる。5連覇は、一時的なスター選手の活躍だけでは実現しにくい記録だ。
選手育成とチーム全体の競技力を高い水準で維持できたことが、黄金時代を支えたと考えられる。
歴代10回の総合優勝
日体大の箱根駅伝総合優勝年は次のとおり。
| 大会 | 優勝年 |
|---|---|
| 第45回 | 1969年 |
| 第46回 | 1970年 |
| 第47回 | 1971年 |
| 第48回 | 1972年 |
| 第49回 | 1973年 |
| 第53回 | 1977年 |
| 第54回 | 1978年 |
| 第56回 | 1980年 |
| 第59回 | 1983年 |
| 第89回 | 2013年 |
特に注目したいのは、2013年の第89回大会である。
1960~80年代の黄金期から長い時間を経て、再び総合優勝を達成した。この実績は、日体大が一時代だけの強豪ではなく、長い歴史の中で何度も上位に返り咲いてきた大学であることを示している。
世界で活躍する選手も輩出
日体大は箱根駅伝だけでなく、マラソンや国際大会でも実績を残してきた。
代表的なOBには、1991年世界陸上のマラソン金メダリストである谷口浩美氏がいる。
また、池田耀平選手も箱根駅伝で活躍し、2023年の杭州アジア大会に日本代表として出場した。
駅伝で培った持久力や競技経験を、その後の長距離競技やマラソンに生かしてきた選手がいることも、日体大の伝統を特徴づけている。
【シード権奪回への課題】2018年の総合4位から何が変わったのか
日体大にとって、79年連続出場の達成と同じくらい大きなテーマがシード権の奪回だ。
箱根駅伝では、本大会の総合10位以内に入れば翌年のシード権を獲得できる。
しかし、日体大は2018年の第94回大会で総合4位に入って以降、シード権を獲得できていない。
直近の箱根駅伝成績
公式記録に基づく2018年以降の成績は次のとおり。
| 開催年 | 大会 | 総合順位 |
|---|---|---|
| 2018年 | 第94回 | 4位 |
| 2019年 | 第95回 | 13位 |
| 2020年 | 第96回 | 17位 |
| 2021年 | 第97回 | 14位 |
| 2022年 | 第98回 | 17位 |
| 2023年 | 第99回 | 17位 |
| 2024年 | 第100回 | 16位 |
| 2025年 | 第101回 | 12位 |
| 2026年 | 第102回 | 15位 |
2018年以降、8大会連続でシード圏外という状況だ。
特に2025年は12位まで順位を上げたものの、あと一歩でシード権に届かなかった。2026年は15位となり、再び上位10校との差を埋める必要が生じた。
2026年は全日本大学駅伝の予選会でも苦戦
もう一つ見逃せないのが、2026年5月4日に開催された全日本大学駅伝の関東地区選考会だ。
日体大は総合11位。上位7校に与えられる本大会出場権を獲得できなかった。
この結果は、箱根駅伝予選会とは異なる課題を示している。
全日本大学駅伝の関東地区選考会は、8人による1万メートルの合計タイムで争う。ハーフマラソンを10人で走る箱根予選会とは、求められる能力やレース展開が異なる。
つまり、日体大は集団走を生かした長距離の安定感を持つ一方、トラック競技での個人のスピードと選手層の底上げにも取り組む必要がある。
【第103回箱根駅伝の展望】2027年1月、日体大はシード権を取り戻せるか
2026年10月の予選会を突破したことで、日体大は2027年1月2、3日に開催される第103回箱根駅伝への出場を決めた。
次の目標は、本大会で総合10位以内に入り、シード権を獲得することだ。
注目すべき3つのポイント
1. 夏見虹郎を中心とした個人の走力向上
予選会でチームトップの35位に入った夏見は、今後のチーム強化を考えるうえで重要な存在だ。
2年生という立場から、上級生の経験を吸収しながら、チームのエースとして成長できるかが注目される。
2. 中位選手の底上げ
予選会では、上位3人だけでなく、4番手以降の選手が集団走で粘った。
この安定感は日体大の武器だが、本戦でシード権を狙うなら、さらに高い水準で10人の走力をそろえたい。
予選会での16秒差という接戦を考えても、チーム全体の数秒単位の改善が重要になる。
3. 箱根特有の区間適性
箱根駅伝では、平地の走力だけでなく、山上りや山下りへの適性、長い区間を走り切る持久力も必要になる。
予選会のハーフマラソンで結果を残した選手を、そのまま箱根のどの区間に配置するかは別の問題だ。
各選手の特性を踏まえた区間配置と、10区間を通した安定したレース運びが求められる。
【プロの結論】79年連続出場は通過点、次に必要なのは総合力
日体大の2026年シーズンを評価するなら、予選会9位という結果だけでチームの強さを判断するべきではない。
10km地点で13位だったチームが、集団走を機能させて9位まで浮上したことには大きな意味がある。
一方、全日本大学駅伝の関東地区選考会では11位に終わり、トラックでのスピード面には課題が残った。
この2つの結果を並べると、日体大の現在地が見えてくる。
- 長距離を集団でまとめる力は健在。
- 選手層の安定感は本大会出場を支える武器。
- 個人のスピードと上位選手の競争力には伸びしろがある。
- 箱根本戦でシード権を獲得するには、区間ごとの適性と総合力が必要。
79年連続出場という歴史は、選手にとって誇りになる。しかし、その歴史だけでシード権が得られるわけではない。
玉城監督が重視する地道な練習と学生主体のチームづくりを、実際の区間順位につなげられるか。2027年1月の箱根路では、その真価が問われる。
【日体大駅伝部】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日体大駅伝部は2026年の箱根駅伝予選会で何位でしたか?
A1:2026年10月17日に行われた第103回箱根駅伝予選会で、総合9位、10時間39分52秒を記録しました。79年連続79回目の本大会出場を決めています。
Q2:日体大駅伝部の箱根駅伝総合優勝は何回ですか?
A2:通算10回です。1969~1973年には5連覇を達成し、2013年の第89回大会でも総合優勝しています。
Q3:日体大駅伝部はシード権を獲得していますか?
A3:最後にシード権を獲得したのは2018年の第94回大会です。2019年から2026年まで8大会連続でシード圏外となっており、2027年1月の第103回大会では総合10位以内を目指します。
Q4:日体大駅伝部の2026年の注目選手は誰ですか?
A4:夏見虹郎、荻野桂輔、山上勇希、吉田黎大主将などです。特に夏見は2026年の箱根駅伝予選会でチームトップの個人35位を記録しました。
まとめ:日体大駅伝部は伝統を守りながらシード奪回へ
2026年の日体大駅伝部は、第103回箱根駅伝予選会を9位で通過し、79年連続79回目の本大会出場を達成した。
玉城良二監督のもと、吉田黎大主将、夏見虹郎、荻野桂輔、山上勇希らがチームを支え、伝統の集団走で厳しい予選会を乗り越えた。
箱根駅伝総合優勝10回、5連覇という輝かしい歴史を持つ一方、2018年以来シード権から遠ざかっているのも事実だ。
今後の注目点は、集団走の安定感を維持しながら個人のスピードを高め、箱根本戦で10区間を通して安定した走りを実現できるかどうかにある。
79年連続出場の次に目指すのは、9年ぶりのシード権獲得。
2027年1月の箱根駅伝は、日体大が名門復活への一歩を踏み出せるかを占う重要な大会になる。
主な参照資料:日本体育大学駅伝部公式部員紹介・駅伝の歴史、日本体育大学公式男子駅伝チーム紹介、東京箱根間往復大学駅伝競走公式記録、第103回箱根駅伝予選会公式結果、日刊スポーツ、月刊陸上競技、全日本大学駅伝関東地区選考会結果。