細田守映画を公開順に総覧!代表作の評価・おすすめと2026年最新動向を徹底解説
2026年、細田守監督の映画作品が再び注目を集めている。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』など、青春、家族、成長、仮想世界といった幅広いテーマを描いてきた細田作品。その最新長編『果てしなきスカーレット』は2025年11月21日に公開され、2026年には第53回アニー賞の3部門にノミネートされた。一方、公開20周年を迎えた『時をかける少女』も4K版で全国リバイバル上映され、往年の名作に新たな関心が集まっている。
細田守映画を初めて観る人にとっては、作品数の多さだけでなく、どの作品から観るべきか、公開順とおすすめ順はどう違うのかも気になるところだ。そこで、監督初期の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』からスタジオ地図の代表作、最新作までを整理し、あらすじ、テーマ、評価、2026年の最新情報を比較する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】 - 作品一覧・公開順: 1999年の『デジモンアドベンチャー』から2025年の『果てしなきスカーレット』まで、監督の映画キャリアを整理。 - おすすめ代表作: 初見には『サマーウォーズ』、青春映画なら『時をかける少女』、家族ドラマなら『おおかみこどもの雨と雪』がおすすめ。 - 2026年最新情報: 『果てしなきスカーレット』はアニー賞3部門にノミネートされたが受賞には至らず。『時をかける少女』は公開20周年の4Kリバイバル上映を実施。
【まず押さえたい】細田守映画の特徴と代表作が愛される理由

細田守は、1967年9月19日生まれ、富山県出身のアニメーション映画監督だ。
1991年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社し、アニメーターとして経験を積んだ後、演出家へ転向。1999年の『劇場版デジモンアドベンチャー』で映画監督としてのキャリアを本格化させた。
その後、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』などを手掛け、2006年の『時をかける少女』で国内外から広く注目されるようになった。
2011年にはプロデューサーの齋藤優一郎とともにアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。以降、オリジナル長編映画を中心に独自の作品世界を築いてきた。こうした経歴は、作品公式サイトや日本テレビの監督プロフィールでも紹介されている。
細田作品に共通する4つのテーマ
細田作品を年代順に観ると、題材は変化していても、物語の根底にはいくつかの共通点がある。
1. 家族と血縁を超えたつながり
『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』では、親子や兄弟、師弟などの関係が中心に描かれる。血縁だけでは説明できない愛情や、誰かを育てることの難しさが物語を動かす。
2. 少年少女の成長と自立
『時をかける少女』や『サマーウォーズ』では、未熟な主人公が大きな出来事を経験し、自分の選択に責任を持つようになる過程が描かれる。
3. 現実と仮想世界の境界
『ぼくらのウォーゲーム!』『サマーウォーズ』『竜とそばかすの姫』では、インターネットや仮想空間が重要な役割を果たす。デジタル技術そのものよりも、そこで生きる人間の感情やつながりに焦点を当てている点が特徴だ。
4. 自分とは異なる存在との共存
人間と狼、人間とバケモノ、現実の自分と仮想空間の自分。異なる価値観を持つ存在と出会うことで、主人公が自分自身を見つめ直す構造も繰り返し登場する。
こうしたテーマの変化を追うと、細田守映画は単なるファンタジー作品の集合ではなく、時代ごとの人間関係や社会の変化を反映した作品群として楽しめる。
【公開順一覧】細田守監督作品を1999年から2025年まで総整理
細田守映画を調べる際に注意したいのが、監督作品全体とスタジオ地図の作品を同じものとして扱わないことだ。
細田守はスタジオ地図設立以前から映画監督として活動している。『デジモンアドベンチャー』や『オマツリ男爵』も重要な監督作品であり、代表作だけを並べるとキャリアの変遷を見落としてしまう。
以下は、劇場公開された主な監督作品を公開順にまとめた一覧だ。
| 公開年 | 作品名 | 作品の位置づけ・テーマ |
|---|---|---|
| 1999年 | 劇場版デジモンアドベンチャー | 映画監督デビュー作。子どもとデジタル世界 |
| 2000年 | デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム! | ネットワーク社会と協力 |
| 2005年 | ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 | 仲間、疑念、サスペンス |
| 2006年 | 時をかける少女 | 青春、時間、選択 |
| 2009年 | サマーウォーズ | 仮想世界、大家族、連帯 |
| 2012年 | おおかみこどもの雨と雪 | 母子愛、子育て、自立 |
| 2015年 | バケモノの子 | 師弟関係、父性、成長 |
| 2018年 | 未来のミライ | 家族の歴史、兄妹、生命の循環 |
| 2021年 | 竜とそばかすの姫 | 仮想世界、自己表現、他者への理解 |
| 2025年 | 果てしなきスカーレット | 復讐、生と死、生きる意味 |
1999年から2005年までの作品については、細田守監督のプロフィールや映画情報で監督歴が確認できる。2006年以降の6作品はスタジオ地図の公式作品一覧にも掲載されている。
初期作品からスタジオ地図設立までの転換点
初期の重要作として外せないのが、2000年公開の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』だ。
インターネット上で増殖する人工知能と、世界規模の危機に立ち向かう子どもたちを描いた作品である。ネットワークを通じて人々が協力するという構図は、後の『サマーウォーズ』にも通じる。
2005年の『オマツリ男爵と秘密の島』では、従来の明るい冒険活劇とは異なる、不穏で実験的な演出に挑戦した。
そして2006年の『時をかける少女』で、既存の人気シリーズを離れたオリジナル性の強い青春映画を発表。2009年の『サマーウォーズ』を経て、2011年にスタジオ地図を設立した。
スタジオ地図設立後は、家族や親子、成長を中心に据えた作品が続き、2021年の『竜とそばかすの姫』では再び仮想世界を大規模に描いた。
この流れを理解すると、最新作『果てしなきスカーレット』が過去の作品とは異なる作風に挑戦したことも見えてくる。
【代表作を徹底比較】あらすじ・テーマ・見どころを作品別に解説
ここからは、細田守映画の代表作を中心に、物語の内容と評価されるポイントを比較する。
1. 『時をかける少女』(2006年)|青春映画の代表作
主人公は、東京の高校に通う女子高生・紺野真琴。
ある日、偶然の出来事から時間を飛び越える能力、タイムリープを手に入れる。最初は遅刻や失敗をやり直すために能力を使っていた真琴だが、友人の間宮千昭や津田功介との関係が変化するにつれ、時間を戻すことの意味に向き合うようになる。
原作は筒井康隆の小説だが、本作は主人公を新たな世代の少女に置き換えた物語となっている。
見どころは、日常の延長にある青春の輝きと切なさ。
タイムリープというSF的な仕掛けを使いながら、恋愛、友情、後悔、将来への不安を自然に描いている。
大きな事件よりも、何気ない日常や登場人物の表情が心に残る作品だ。
2007年の第30回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞をはじめ、国内外で複数の賞を受賞。細田守の名前を広く知らしめた代表作となった。
2. 『サマーウォーズ』(2009年)|初見に最もおすすめしたい一本
数学が得意な高校生・小磯健二は、憧れの先輩である篠原夏希に頼まれ、彼女の実家を訪れる。
ところが、世界中の人々が利用する仮想空間「OZ」で人工知能ラブマシーンが暴走。現実世界の社会インフラにも影響が及び、健二は夏希の大家族とともに危機を乗り越えようとする。
最大の見どころは、仮想世界の壮大なバトルと、田舎の大家族が織りなす人間ドラマの融合だ。
ネットワーク上のアバターたちが戦う一方、現実世界では親戱や親戚が集まり、それぞれの得意分野を生かして問題に立ち向かう。
インターネットの利便性と危険性、家族の結束、世代を超えた協力というテーマが、テンポのよい展開の中に盛り込まれている。
公式作品紹介でも、インターネットと田舎の大家族という対照的なモチーフを組み合わせたアクション家族映画として紹介されている。
初めて細田守映画を観る人には、特におすすめしたい。難解な設定に偏らず、娯楽性と感動のバランスが優れている。
3. 『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)|母親の愛情と子どもの自立
主人公の花は、狼男と恋に落ち、雪と雨という2人の子どもを授かる。
しかし、父親を失った後、花は人間と狼の両方の性質を持つ子どもたちを一人で育てることになる。
周囲の目を避けるために田舎へ移り住んだ花は、自然の中で子どもたちと生活しながら、それぞれの成長を見守っていく。
雪は人間として生きる道を模索し、雨は狼としての自分の本能に目覚めていく。
この作品の中心にあるのは、子どもを愛することと、子どもの人生を尊重することの両立だ。
母親がどれだけ愛情を注いでも、子どもの将来を完全に決めることはできない。雪と雨の異なる選択を通して、親が子どもを手放すことの意味を描いている。
細田作品の中でも、家族ドラマとしての完成度を重視する人におすすめしたい一本だ。公式作品解説でも、2人がそれぞれ自分の世界を見つけるまでの13年間が物語の軸として紹介されている。
4. 『バケモノの子』(2015年)|血縁を超えた親子の物語
母親を失い、孤独を抱えた少年・蓮は、ある日、人間界とは別の世界であるバケモノ界へ迷い込む。
そこで出会うのが、強さを求めるバケモノの熊徹だ。
蓮は九太という名前を与えられ、熊徹の弟子として修行を始める。最初は反発し合っていた2人だが、共同生活を通じて互いに成長していく。
やがて九太は人間界の少女・楓と出会い、自分がどの世界で生きるべきなのかを考えるようになる。
見どころは、熊徹と九太の関係性だ。
単なる師弟関係ではなく、不器用な大人と孤独な少年が互いに足りない部分を補いながら、親子のような絆を築いていく。
公式サイトが掲げるテーマも、子どもの成長を祝福する父親たちの物語というもの。親子関係や師弟関係に関心がある人に向いている。
5. 『未来のミライ』(2018年)|子どもの視点で描く家族の歴史
主人公は、甘えん坊の4歳児・くんちゃん。
妹のミライが生まれたことで、両親の愛情を奪われたように感じ、戸惑いを覚える。
そんなある日、自宅の庭に未来からやってきた不思議な少女が現れる。彼女は未来の妹・ミライだった。
くんちゃんはミライに導かれ、過去や未来の家族と出会う不思議な冒険を経験する。
本作の特徴は、幼い子どもの視点で家族の歴史を描いていることだ。
兄妹の関係だけでなく、親の子ども時代や祖先の記憶まで物語に取り込んでいる。家族は突然できるものではなく、過去から未来へ続く時間の中に存在するという視点が印象的だ。
一方、物語の展開がエピソード形式に近いため、明確な敵や大きな目標を持つ冒険映画を期待すると、好みが分かれやすい。
第91回アカデミー賞長編アニメーション賞にもノミネートされた作品であり、国際的な評価という点でも重要な一本だ。
6. 『竜とそばかすの姫』(2021年)|仮想世界で自分を取り戻す物語
高知の田舎に暮らす17歳の女子高校生・すずは、幼い頃に母親を亡くして以来、人前で歌うことができなくなっていた。
しかし、世界中の人々が参加する仮想空間「U」に入り、分身となるアズを作ったことで状況が変わる。
「ベル」と名付けたアズとして、すずは再び歌えるようになり、世界的な歌姫として人気を集める。
そんな彼女の前に、謎の存在「竜」が現れる。
すずは竜の抱える傷を知ろうとするが、仮想世界では正義を掲げる人々による竜の正体探しが始まり、現実世界にも誹謗中傷が広がっていく。
本作の大きな魅力は、音楽と映像表現だ。
ベルの歌唱シーンや仮想空間の壮大なビジュアルは、細田作品の中でも特にスケールが大きい。
一方、デジタル社会における匿名性、誹謗中傷、他者を救うことの難しさなど、現代的な問題も扱っている。
物語の構成や終盤の展開には賛否があるものの、映像と音楽を楽しみたい人には見逃せない作品だ。
7. 『果てしなきスカーレット』(2025年)|復讐から生きる意味へ
2025年11月21日に公開された細田守監督の最新長編アニメーション映画。
主人公は、中世の王女スカーレット。叔父クローディアスに父を殺された彼女は、復讐を試みるものの失敗し、目覚めると死者の国にいた。
そこは、人々が互いの物を奪い合い、弱い者が生き残ることさえ難しい過酷な世界だった。
スカーレットはそこで、現代の日本からやってきた看護師の青年・聖と出会う。
2人は宿敵クローディアスを追いながら、理想の場所とされる「見果てぬ場所」を目指す。復讐心に支配されていたスカーレットは、聖との旅を通じて少しずつ変化していく。
本作には、シェイクスピアの『ハムレット』を想起させる復讐劇の構造が取り入れられている。
しかし、中心にあるのは復讐の達成だけではない。死者の国という舞台を通して、生きることそのものの意味を問いかけている。
主人公スカーレットの声は芦田愛菜、聖の声は岡田将生、宿敵クローディアスの声は役所広司が担当する。
従来の細田作品のような爽快な青春や家族の物語とは異なり、重厚な復讐劇と哲学的な問いを前面に押し出した挑戦作だ。
【おすすめランキング】評価・評判から選ぶ初見におすすめの作品
細田守映画には、それぞれ異なる魅力がある。そのため、単純に人気順だけで観る作品を決めるよりも、自分が求める映画体験に合わせて選ぶ方が満足度は高い。
人気ランキングは『時をかける少女』と『サマーウォーズ』が上位
マイナビニュースが2025年12月に掲載した調査では、268人を対象に細田守監督のオリジナル映画で最も好きな作品を尋ねている。
その結果は以下の通りだった。
細田守監督作品・人気投票ランキング
1位 『時をかける少女』39.2%
青春・恋愛・時間の物語
2位 『サマーウォーズ』28.4%
家族・仮想世界・冒険
3位 『おおかみこどもの雨と雪』13.4%
母子愛・子育て・自立
4位 『バケモノの子』9.7%
5位 『竜とそばかすの姫』7.1%
6位 『未来のミライ』2.2%
この調査から読み取れるのは、『時をかける少女』と『サマーウォーズ』の人気が特に強いことだ。
どちらも主人公の成長を軸にしながら、青春や家族という幅広い世代が共感できるテーマを扱っている。
Filmarksのユーザー評価から見る作品の違い
映画レビューサービスFilmarksの掲載スコアでも、作品ごとに評価の違いが見られる。
| 作品 | 掲載評価(5点満点) |
|---|---|
| 時をかける少女 | 4.0 |
| サマーウォーズ | 3.9 |
| おおかみこどもの雨と雪 | 3.8 |
| バケモノの子 | 3.7 |
| 竜とそばかすの姫 | 3.4 |
| 未来のミライ | 3.0 |
| 果てしなきスカーレット | 2.9 |
これらは利用者による投稿評価であり、映画賞の評価や専門家の批評とは異なる。レビュー数や投稿時期によって変動する点にも注意したい。
特に『果てしなきスカーレット』は、アニー賞へのノミネートという国際的な評価と、一般観客のレビュー評価が必ずしも一致していない作品だ。
初めて観るならどの作品がおすすめ?
筆者のおすすめを、映画の特徴と視聴者の好みから整理すると次のようになる。
- 総合的な入門作:『サマーウォーズ』。アクション、家族ドラマ、感動のバランスがよい。
- 青春映画が好きな人:『時をかける少女』。恋愛や友情、時間をめぐる切ない物語を楽しめる。
- 感動する家族映画が観たい人:『おおかみこどもの雨と雪』。親子の関係や子どもの自立が心に響く。
- 師弟関係や成長物語が好きな人:『バケモノの子』。異なる存在同士が絆を築く物語。
- 音楽と映像美を重視する人:『竜とそばかすの姫』。仮想世界のビジュアルと歌唱シーンが魅力。
- 実験的な物語が好きな人:『未来のミライ』。幼い子どもの視点から家族の時間を描く。
- 重厚なテーマに挑戦したい人:『果てしなきスカーレット』。復讐と生きる意味を考える作品。
特に迷った場合は、『サマーウォーズ』から『時をかける少女』、そして『おおかみこどもの雨と雪』の順番がおすすめだ。
この3作を観るだけでも、細田守監督が描く青春、家族、他者とのつながりという主要テーマを理解しやすい。
【2026年最新】果てしなきスカーレットの評価・アニー賞結果と時をかける少女4K上映
2026年の細田守作品を語るうえで、特に重要なのが2つの動きだ。
1つは最新作『果てしなきスカーレット』の国際的な映画賞へのノミネートと、その結果。もう1つは『時をかける少女』の公開20周年記念リバイバル上映である。
果てしなきスカーレットはアニー賞3部門にノミネート
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの2026年1月6日付公式発表によると、『果てしなきスカーレット』は第53回アニー賞の長編アニメーション部門で、次の3部門にノミネートされた。
- インディペンデント作品賞
- 監督賞
- 脚本賞
これは、細田守監督の新作が国際的なアニメーション業界で評価されたことを示す重要なニュースだった。
ただし、2026年2月21日に開催された授賞式では、3部門とも受賞には至らなかった。
| 部門 | 『果てしなきスカーレット』の結果 |
|---|---|
| インディペンデント作品賞 | ノミネート |
| 監督賞 | ノミネート |
| 脚本賞 | ノミネート |
インディペンデント作品賞は『Arco』が受賞。監督賞と脚本賞は『KPop Demon Hunters』が受賞した。
つまり、3部門ノミネートは事実だが、3部門受賞ではない。
アニー賞の結果を正確に理解するうえで、この区別は重要だ。
なぜ果てしなきスカーレットは評価が分かれたのか
本作の評価が分かれる背景には、これまでの細田作品との作風の違いがある。
『サマーウォーズ』や『バケモノの子』では、主人公の成長と外部の危機が比較的明確に結びついていた。
一方、『果てしなきスカーレット』は、復讐を目的とする王女の旅を通して、生と死、赦し、他者との関係を問いかける。
そのため、従来の作品で親しまれてきた爽快感や分かりやすい感動を期待すると、物語の重さや展開の複雑さに戸惑う可能性がある。
東洋経済オンラインでも、脚本構成や物語の伝え方について専門的な観点から批評が掲載されている。作品の目指すテーマと、観客が受け取る物語の分かりやすさの間にギャップがあった点は、本作を考えるうえで重要な論点だ。
しかし、評価が分かれること自体が、作品の挑戦的な性格を示しているとも考えられる。
過去作と同じ路線を繰り返すのではなく、シェイクスピア的な復讐劇と現代的な生の問題を組み合わせた点は、細田守監督の新しい表現への挑戦として注目したい。
時をかける少女の4Kリバイバル上映は2026年7月3日スタート
2026年は『時をかける少女』の劇場公開20周年にあたる。
Filmarksのリバイバル上映プロジェクトでは、4K版による全国上映が企画され、2026年7月3日から全国147館で上映された。
さらに周年企画として、8月21日から2週間限定の4DX上映も実施。公開当時の質感を味わえる35mmフィルム上映も企画された。
今回の4K上映で注目したいのは、単なる懐古企画ではないという点だ。
『時をかける少女』は、2006年の公開当初は限られた劇場からスタートし、口コミによって上映規模を拡大した作品としても知られる。
公開から20年を経ても、青春映画としての魅力が失われていないことが、今回のリバイバル上映につながった。
なお、4K素材を使用した上映であっても、劇場やスクリーンの設備によっては2K上映となる場合がある。これは上映方式を確認する際に知っておきたいポイントだ。
2026年の細田守監督の最新作は?
2026年11月時点で、最新の長編映画は2025年公開の『果てしなきスカーレット』である。
スタジオ地図の公式サイトでも同作が最新作として掲出されており、次回長編映画の公開日については新たな公式発表は確認されていない。
2026年は新作の公開年というよりも、『果てしなきスカーレット』の海外評価と、『時をかける少女』の20周年企画によって、過去と現在の作品を改めて見直す年になった。
【プロの結論】細田守映画を観るならテーマと時代の変化に注目
細田守映画を深く楽しむためには、単に人気作品を順番に観るだけでなく、各作品で監督が何を描こうとしてきたのかを比較することが大切だ。
初期の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』には、ネットワークを通じて世界がつながることへの関心が表れている。
『サマーウォーズ』では、その関心が大家族の連帯と結びつき、『竜とそばかすの姫』では仮想世界における自己表現や他者への理解へと発展した。
一方、『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』では、家族や育てること、子どもが自分の人生を選ぶことに焦点が移っている。
そして『果てしなきスカーレット』では、復讐と生きる意味という、さらに大きな問いに挑戦した。
作品選びで失敗しない3つの判断基準
- 分かりやすい娯楽性を重視するなら『サマーウォーズ』。 初見でも物語に入りやすく、幅広い世代で楽しめる。
- 感情や人間関係を重視するなら『時をかける少女』『おおかみこどもの雨と雪』。 青春と家族という異なる角度から細田作品の魅力を味わえる。
- 監督の表現の変化まで追いたいなら公開順。 初期のデジモン作品から最新作まで観ることで、作風の変化や繰り返し扱われるテーマが見えてくる。
逆に、分かりやすい結末やテンポのよい娯楽映画だけを求めている人には、『未来のミライ』や『果てしなきスカーレット』は好みが分かれる可能性がある。
作品の評価を数字だけで決めず、自分がどのテーマに関心を持つかで選ぶことが、細田守映画を楽しむ近道だ。
【細田守映画に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:細田守映画の代表作はどれですか?
A1:代表作として特に知られているのは『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』です。青春、家族、成長という細田作品の主要テーマを理解しやすい3作品です。
Q2:細田守映画を公開順に観るなら最初は何ですか?
A2:監督の映画キャリアを追うなら、1999年の『劇場版デジモンアドベンチャー』からがおすすめです。スタジオ地図の代表作を中心に観たい場合は、2006年の『時をかける少女』から始めても問題ありません。
Q3:細田守映画で一番おすすめなのはどれですか?
A3:初見なら『サマーウォーズ』がおすすめです。アクション、家族ドラマ、感動がバランスよくまとまっており、細田作品の魅力をつかみやすい作品です。青春映画が好きなら『時をかける少女』も有力候補です。
Q4:細田守監督の最新作は何ですか?
A4:2026年11月時点の最新長編映画は、2025年11月21日公開の『果てしなきスカーレット』です。復讐に失敗した王女が死者の国で現代の日本人看護師と出会い、生きる意味を見つめ直す物語です。
Q5:果てしなきスカーレットはアニー賞を受賞しましたか?
A5:第53回アニー賞ではインディペンデント作品賞、監督賞、脚本賞の3部門にノミネートされましたが、2026年2月の授賞式では受賞していません。
Q6:時をかける少女の4Kリバイバル上映はいつでしたか?
A6:公開20周年記念の4K版は2026年7月3日から全国147館で上映されました。また、8月21日からは4DX上映も2週間限定で実施されました。
まとめ:細田守映画は公開順でもテーマ別でも楽しめる
細田守映画は、1999年の『デジモンアドベンチャー』から2025年の『果てしなきスカーレット』まで、時代とともに表現の幅を広げてきた。
『時をかける少女』は青春映画の代表作、『サマーウォーズ』は家族と仮想世界を融合させた娯楽大作、『おおかみこどもの雨と雪』は親子の愛情と自立を描いた作品として、それぞれ異なる魅力を持つ。
2026年には『果てしなきスカーレット』のアニー賞3部門ノミネートと受賞結果、そして『時をかける少女』の公開20周年4Kリバイバル上映という大きな話題も生まれた。
初めて観るなら『サマーウォーズ』、細田作品の原点に近い青春表現を味わうなら『時をかける少女』、家族というテーマを深く考えたいなら『おおかみこどもの雨と雪』から始めるとよい。
そして、これまでの作品を観た後に『果てしなきスカーレット』を鑑賞すれば、細田守監督が一貫して描いてきた人間のつながりと、最新作で挑んだ新しいテーマの両方を感じ取れるはずだ。
細田守映画の魅力は、作品ごとに異なる世界を描きながらも、人が誰かと出会い、自分自身の生き方を選んでいく姿を描き続けているところにある。