馬の毛色は何種類?鹿毛・黒鹿毛・青毛の違いと遺伝、年齢による変化を徹底解説

目次

馬の毛色にはどんな種類があるのでしょうか。競馬場で見かける茶色や黒色の馬も、よく観察すると、たてがみや尾、脚の色、目や鼻の周辺の色合いに違いがあります。日本のサラブレッドは、鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・栗毛・栃栗毛・芦毛・白毛の8種類に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。

さらに、馬の毛色は生まれつき決まったまま変わらないわけではありません。芦毛のように成長とともに白さが増す毛色もあれば、季節によって黒い毛の先端が褐色に変わり、別の毛色に見えることもあります。2026年現在の日本の登録基準と遺伝学の研究を踏まえ、8種類の特徴、似た毛色の見分け方、毛色が決まる仕組みまで詳しく解説します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 基本の8種類:サラブレッドの毛色は栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛。
  • 見分けるポイント:体の色だけでなく、たてがみ、尾、四肢の下部、目や鼻の周囲を観察することが大切。
  • 遺伝と年齢:MC1RやASIPなどの遺伝子が基本の毛色を左右し、芦毛はSTX17遺伝子の影響で年齢とともに白くなる。

【馬の毛色一覧】基本の8種類とそれぞれの特徴を徹底解説

日本の競走馬として知られるサラブレッドの毛色は、公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルが認める8種類に分類されています。JRAのサラブレッド講座でも、この8種類が競走馬の基本的な毛色として紹介されています。

分類のポイントは、単純に体が茶色か黒色かということではありません。被毛と呼ばれる体の毛、長毛と呼ばれるたてがみや尾の毛、そして脚の下部にどのような色が現れているかが重要です。

まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。

毛色 読み方 主な特徴 見分けるポイント
鹿毛 かげ 明るい赤褐色から暗い赤褐色 たてがみ・尾・脚の下部が黒い
黒鹿毛 くろかげ 黒みの強い赤褐色 目の周囲や内股などに褐色が残る
青鹿毛 あおかげ 全身のほとんどが黒色 目や鼻の周辺などにわずかな褐色がある
青毛 あおげ 被毛も長毛も黒色 全身の毛が基本的に黒い
栗毛 くりげ 黄褐色 たてがみや尾は濃淡があり、黒くならない
栃栗毛 とちくりげ 黒みの強い黄褐色 栗毛より濃いが、黒色にはならない
芦毛 あしげ 白色毛が全身に混生する 成長とともに白い毛が増える
白毛 しろげ 生まれたときから大部分が白い ピンク色の皮膚を持つことがある

1. 鹿毛(かげ):競走馬にも多く見られる茶色系の毛色

鹿毛は、明るい赤褐色から暗い赤褐色まで幅広い色合いを持つ毛色です。一般的には茶色い馬をイメージすると分かりやすいでしょう。

最大の特徴は、体の被毛が茶色系である一方、たてがみ、尾、四肢の下部が黒色になることです。この黒い部分が、栗毛との違いを見極める重要な手掛かりになります。

JRAが紹介する鹿毛の代表的な競走馬には、ディープインパクト、ウオッカ、アパパネ、ロードカナロア、キタサンブラックなどがいます。

同じ鹿毛でも明るさには個体差があり、赤みの強い馬から濃い茶色に見える馬まで存在します。

2. 黒鹿毛(くろかげ):鹿毛より黒みが強い毛色

黒鹿毛は、黒みがかった赤褐色の被毛を持つ毛色です。黒色に近いほど濃い個体もあり、遠くから見ると青鹿毛や青毛と区別しにくい場合があります。

しかし、よく観察すると、目の周辺、腋、ひばら、下腹、内股などに褐色の部分が残っています。一方、たてがみ、尾、四肢の下部は黒色です。

代表的な競走馬には、ナリタブライアン、ヒシアマゾン、エルコンドルパサー、スペシャルウィーク、ブエナビスタなどが挙げられます。

黒鹿毛を見分けるときは、全身の黒さだけで判断せず、皮膚に近い部分の褐色を確認することがポイントです。

3. 青鹿毛(あおかげ):ほとんど黒色に見える毛色

青鹿毛は、全身のほとんどが黒色に見える毛色です。黒鹿毛よりも黒色の印象が強く、一般的な写真では両者の違いが分かりにくいことがあります。

特徴的なのは、目や鼻の周辺、腋、ひばらなどにわずかな褐色が認められることです。この部分を注意深く観察すると、青毛との区別に役立ちます。

JRAの毛色紹介では、メジロラモーヌ、マンハッタンカフェ、フェノーメノ、ソウルスターリングなどが青鹿毛の代表例として掲載されています。

青鹿毛という名前から青みがかった毛を想像する人もいますが、実際には黒色に近い毛色です。

4. 青毛(あおげ):被毛もたてがみも黒い毛色

青毛は、体の被毛だけでなく、たてがみや尾などの長毛も黒色である毛色です。軽種馬では比較的少なく、競走馬の中でも特徴的な存在です。

青鹿毛との大きな違いは、目や鼻の周辺などに現れる褐色部分の有無です。青毛は基本的に全身の毛が黒色で、青鹿毛のような褐色部分が明確には現れません。

ただし、青毛は季節によって毛先が褐色になることがあります。そのため、時期によっては黒鹿毛や青鹿毛のように見えることもあります。

代表的な競走馬には、シーザリオ、ヴィルシーナ、ヴィブロスなどがいます。

5. 栗毛(くりげ):黄褐色が特徴の明るい毛色

栗毛は、黄褐色の被毛を持つ毛色です。明るい茶色から赤みのある茶色まで幅があり、たてがみや尾は体の毛より濃い場合も、淡く白色に近い場合もあります。

鹿毛との違いは、たてがみや尾、脚の下部が黒色にならないことです。鹿毛のように黒い脚先が目立つわけではありません。

代表的な栗毛の競走馬には、タイキシャトル、グラスワンダー、テイエムオペラオー、オルフェーヴルなどがいます。

栗毛の中には、たてがみや尾が白っぽい個体もいます。こうした栗毛は尾花栗毛と呼ばれ、独特の美しい外見が特徴です。

6. 栃栗毛(とちくりげ):栗毛より濃く深みのある毛色

栃栗毛は、黒みがかった黄褐色から非常に濃い茶色までの被毛を持ちます。栗毛と似ていますが、全体的に暗く、深い色合いになることが特徴です。

ただし、どれほど濃い色であっても、被毛そのものが黒色になるわけではありません。たてがみや尾の色も個体によって異なり、白色に近いものまであります。

代表的な競走馬には、サッカーボーイ、サクラローレル、マーベラスサンデー、ノンコノユメなどがいます。

なお、海外の毛色表記では栗毛と栃栗毛が同じChestnutとして扱われる場合があります。日本での登録上の区別と海外の英語表記が必ずしも一致しない点も知っておきたいところです。

7. 芦毛(あしげ):年齢とともに白くなる毛色

芦毛は、体全体に白色の毛が混ざっている毛色です。生まれたときには栗毛や鹿毛、青毛などの色を基本としている場合があり、成長とともに白い毛が増えていきます。

そのため、若い頃と成馬になった後では、まったく違う印象になることがあります。最終的に純白に近い外見になる馬もいれば、元の毛色をある程度残したままの馬もいます。

JRAが紹介する代表的な芦毛の競走馬には、タマモクロス、オグリキャップ、メジロマックイーン、クロフネ、ゴールドシップなどがいます。

芦毛は、馬の毛色の中でも年齢による変化が分かりやすい種類です。

8. 白毛(しろげ):生まれたときから白い希少な毛色

白毛は、被毛の大部分が白色で、生まれたときから白い毛が目立つ毛色です。芦毛とは異なり、成長によって白くなっていくのではなく、出生時点ですでに全身の大部分が白くなっています。

皮膚はピンク色で、一部に色素を持つ場合があります。青い目を持つ個体もいますが、白毛だからといって必ず目が青いわけではありません。

JRAは、白毛についてサラブレッドでは発現の仕組みが十分に解明されていない部分があると説明しています。また、白毛は色素がまったく存在しないアルビノとは異なります。

代表的な白毛の競走馬として、ユキチャンやブチコが知られています。白毛は競馬ファンの間でも特に印象に残りやすい毛色です。

【検証資料 1】馬の毛色の当時の様子・関連報道写真(出典:floorlengthandtux.com)

【徹底比較】鹿毛と黒鹿毛、青鹿毛と青毛、栗毛と栃栗毛の違い

馬の毛色を調べる際、特に混同されやすいのが、似た色合いを持つ鹿毛系と栗毛系です。写真だけでは判別が難しい場合もありますが、観察する場所を決めておけば見分けやすくなります。

鹿毛と黒鹿毛の違いは体の赤みと褐色部分

鹿毛と黒鹿毛は、どちらも黒いたてがみや尾、脚の下部を持つ毛色です。違いは主に体の被毛の色合いにあります。

鹿毛は赤褐色の印象が比較的はっきりしており、黒鹿毛は全身の黒みが強く、暗い赤褐色に見えます。

黒鹿毛の場合は、目の周辺や腋、内股などに褐色が残っている点も特徴です。全体が暗いからといって、青鹿毛や青毛と判断しないよう注意しましょう。

青鹿毛と青毛の見分け方は目・鼻・体の褐色部分

青鹿毛と青毛を見分ける際は、顔の細かな色合いを確認します。

青鹿毛は、全身がほとんど黒色でも、目や鼻の周辺、腋などにわずかな褐色が見られます。青毛は被毛と長毛の両方が黒色であることが基本です。

ただし、青毛は季節によって毛先が褐色になることがあります。写真の撮影時期や光の当たり方によって見え方が異なるため、顔だけでなく体全体を確認することが大切です。

栗毛と栃栗毛の違いは黒みの強さ

栗毛と栃栗毛は、どちらも黒いたてがみや尾を必須としない毛色です。大きな違いは体の被毛の濃さにあります。

栗毛は黄褐色を基本とし、栃栗毛は黒みを帯びた黄褐色です。栃栗毛は黒に近いほど濃くなることがありますが、黒色にはなりません。

両者を写真で比較する場合は、光の強さだけでなく、体の毛とたてがみの色の関係も観察すると判断しやすくなります。

芦毛と白毛は生まれたときの色で見分ける

芦毛と白毛は、成馬になるとどちらも白く見える場合があります。しかし、分類上は明確に異なります。

芦毛は、もともとの毛色に白色毛が混ざり、年齢とともに白い部分が増えていく毛色です。一方、白毛は生まれた時点ですでに被毛の大部分が白色です。

つまり、成馬の写真だけを見て判断するよりも、出生時や若い頃の写真を確認した方が正確です。

【遺伝の仕組み】馬の毛色はどの遺伝子によって決まる?

馬の毛色は、親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせによって決まります。単純に父馬の色と母馬の色を混ぜた色になるわけではありません。

その背景には、色素を作る細胞の働きと、複数の遺伝子による調節があります。馬の毛色を理解するには、まず黒色系と赤色系の色素の違いを知る必要があります。

基本となるのは2種類のメラニン色素

馬の被毛の色を作る主な色素は、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類です。

  • ユーメラニン:黒色や黒褐色の色素。
  • フェオメラニン:赤色や黄赤色系の色素。

この2種類の色素がどの程度作られ、体のどの部分に分布するかによって、基本的な毛色が決まります。

特に重要なのが、MC1R遺伝子とASIP遺伝子です。米国カリフォルニア大学デービス校の獣医遺伝学研究所(UC Davis Veterinary Genetics Laboratory)も、この2つの遺伝子の相互作用を基本的な毛色の仕組みとして説明しています。

MC1R遺伝子は赤色系か黒色系かを左右する

MC1R遺伝子は、黒色系の色素を作る能力に関係する遺伝子です。一般にExtension遺伝子、またはRed Factorとも呼ばれます。

代表的な対立遺伝子はEとeです。Eは黒色系の色素を発現できる働きを持ち、eはその働きが失われた劣性の変異です。

e/eの組み合わせでは黒色系の色素が被毛に現れず、赤色系の色素が主体となるため、栗毛の基本的な遺伝的背景になります。

ASIP遺伝子は黒色の分布を調節する

ASIP遺伝子は、黒色系の色素が体のどこに分布するかを調節します。

優性のA型は、黒色をたてがみ、尾、脚の下部、耳の縁などに限定する働きを持ちます。一方、劣性のa型が2つそろったa/aでは、黒色が体全体に分布するようになります。

この仕組みを単純化すると、次のように整理できます。

  • 栗毛:MC1Rのe/eによって赤色系の色素が主体になる。
  • 鹿毛:黒色系の色素を作る能力があり、ASIPの働きで黒色が特定の部位に分布する。
  • 青毛:黒色系の色素が体全体に分布する基本的な遺伝的背景を持つ。

実際の日本の登録毛色では、こうした基本色に加えて、色の濃淡や別の遺伝子の影響を考慮する必要があります。

芦毛の遺伝にはSTX17遺伝子が関係する

芦毛の特徴である年齢に伴う白色化には、STX17遺伝子が関係しています。

2008年に科学誌Nature Geneticsで発表された研究では、STX17遺伝子のイントロン6に存在する4.6キロ塩基の重複変異が、馬の加齢に伴う白色化に関係することが報告されました。

芦毛の遺伝的特徴は優性遺伝として知られています。そのため、親のどちらかが芦毛の遺伝子を持っている場合、子に受け継がれる可能性があります。ただし、実際の毛色は他の遺伝的要因にも左右されます。

芦毛の遺伝を理解するうえで重要なのは、白くなることが単なる年齢による白髪ではなく、遺伝子に基づく色素の変化であるという点です。

白毛の遺伝は芦毛とは異なる仕組み

白毛は、芦毛のように年齢とともに白くなる現象とは異なる遺伝的背景を持っています。

白毛や白斑の形成には、KIT、MITF、PAX3など複数の遺伝子が関与することが、2024年に学術誌Animalsで発表された白毛遺伝に関する総説でも整理されています。

ただし、白毛と呼ばれる表現型は一つの遺伝子だけで説明できるものではありません。白毛の種類や遺伝的変異によって、白色になる範囲や皮膚の色などが異なります。

なお、白毛とアルビノは同じものではありません。白毛の馬には色素が残っている場合があり、皮膚や目の特徴もアルビノとは異なります。

【検証資料 2】馬の毛色の活動歴およびメディア掲載記録(出典:vishuji.org)

【年齢による変化】馬の毛色は成長するとどう変わる?

馬の毛色を見分けるうえで、意外に見落とされやすいのが年齢と季節の影響です。同じ馬でも、子馬の頃と成馬になってからでは外見が大きく変わることがあります。

芦毛は成長とともに白い毛が増えていく

芦毛は、出生時から成馬になるまでの変化が特に大きい毛色です。

生まれた直後は、鹿毛や栗毛などの元の色が目立つ場合があります。目の周辺などに白い毛が見られても、すぐに芦毛と判断できないこともあります。

成長するにつれて白色毛が増え、全身が白っぽくなっていきます。個体によって変化の速さには違いがあり、最終的な色合いも一律ではありません。

日本馬事協会の毛色及び特徴の記載要領でも、芦毛は年齢が進むにつれて白色の割合が増える毛色として説明されています。

子馬の毛色は成馬になったときと異なる場合がある

馬は生まれたときの産毛と、その後に生え替わる被毛で色の印象が異なる場合があります。

そのため、子馬の写真だけを見て成馬の毛色を判断するのは簡単ではありません。特に芦毛は、出生時に元の毛色が強く残っていることがあります。

毛色の登録や個体識別では、成長後の外見だけでなく、出生時の特徴や血統情報なども参考になります。

季節によっても毛色の見え方が変わる

馬の被毛は季節の変化や毛の生え替わりによって、色合いが異なって見えることがあります。

特に青毛では、季節によって毛先が褐色になり、黒鹿毛や青鹿毛に似た外見になる場合があります。

また、日光の当たり方や撮影環境によっても、同じ馬の色が明るく見えたり暗く見えたりします。写真を比較するときは、撮影時期や光の条件も考慮する必要があります。

【日本の馬の毛色分類】競走馬の8種類と一般的な馬の14種類は何が違う?

馬の毛色について調べると、「8種類」と説明する資料と「14種類」と説明する資料が見つかることがあります。これは必ずしもどちらかが間違っているということではありません。

分類の対象や登録基準が異なるためです。

サラブレッドは8種類に分類される

JRAの公式案内では、サラブレッドの毛色は栗毛、栃栗毛、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛、白毛の8種類です。競走馬もこの分類に合わせて登録されています。

競走馬のプロフィールに表示される毛色は、基本的にこの8種類のいずれかです。血統情報や競走成績と並んで、馬を識別するための基本情報として扱われます。

一般的な馬の分類には14種類がある

一方、公益社団法人日本馬事協会が公開する「馬の毛色及び特徴の記載要領」第8版では、毛色を14種類に分類しています。同資料は2019年2月15日に改訂されたものです。

8種類に加え、粕毛、駁毛、月毛、河原毛、佐目毛、薄墨毛が含まれます。

  • 粕毛:原毛色に白色毛が混ざる。芦毛とは異なり、年齢が進んでも白色の割合が基本的に変わらない。
  • 駁毛:体に大きな白斑がある毛色。
  • 月毛:クリーム色から淡い黄白色の被毛を持つ。パロミノもこの分類に含まれる。
  • 河原毛:淡い黄褐色から亜麻色の被毛で、長毛や脚の下部が黒い。
  • 佐目毛:被毛と長毛が象牙色で、ピンク色の皮膚と魚目が特徴。
  • 薄墨毛:薄墨色の被毛で、長毛と四肢の下部が黒い。

このように、馬全体の分類では、サラブレッドの8種類だけでは説明できない毛色も扱われています。

日本の毛色分類と海外の表記には違いがある

海外の馬の毛色分類では、日本と同じ名前や区分がそのまま使われるとは限りません。

例えば、栃栗毛は英語では栗毛と同じChestnutとして扱われます。また、青鹿毛はBrown、青毛はBlackと表記されます。

こうした違いがあるため、海外の血統情報や競走馬データベースを見る場合は、日本語の毛色名を単純に英訳するだけでは正確に理解できないことがあります。

【検証資料 3】馬の毛色に関する近況・インタビュー報道記録(出典:kawata-ep.com)

【実践編】写真や競馬場で馬の毛色を見分ける5つのポイント

馬の毛色を自分で見分けたい場合、全身の色だけに注目するのではなく、いくつかの部位を順番に確認する方法が効果的です。

ポイント1:たてがみと尾の色を確認する

最初に注目したいのが、たてがみと尾です。

鹿毛では黒色になる一方、栗毛では黒くならないことが基本的な違いです。体の色が似ていても、長毛の色を見ることで判断しやすくなります。

ポイント2:脚の下部に黒色があるか確認する

脚の下部も重要な観察ポイントです。

鹿毛や黒鹿毛では、四肢の下部が黒色になります。栗毛ではこの部分が黒くならないため、脚の色は毛色を判別する有効な手掛かりです。

ポイント3:目や鼻の周辺に注目する

青鹿毛と青毛を区別するときは、目や鼻の周辺を確認しましょう。

青鹿毛にはわずかな褐色部分が見られます。青毛は被毛と長毛が黒色であることが特徴です。

ポイント4:生まれた頃の写真と比較する

芦毛と白毛を区別する場合は、現在の写真だけでなく、子馬の頃の写真を確認することが重要です。

出生時から大部分が白かったのであれば白毛の可能性があり、成長とともに白くなったのであれば芦毛の特徴に合致します。

ポイント5:公式の登録情報と照合する

最終的な判断には、JRAやジャパン・スタッドブック・インターナショナルなどの登録情報を参考にするのが確実です。

写真は光の当たり方、季節、毛の状態によって色が変わって見えます。特に黒鹿毛、青鹿毛、青毛のように似た色が多い場合は、外見だけで断定するよりも登録情報と照合する方が正確です。

よくある誤解:毛色が違うと競走能力も違う?

毛色は遺伝的に決まる身体的特徴ですが、それだけで競走能力や性格、気性の良し悪しが決まるわけではありません。

競走馬の能力には、血統、筋肉や骨格、心肺機能、調教、健康状態、レース展開など多くの要因が関係します。

芦毛だからスタミナがある、栗毛だから気性が激しいといった判断は、毛色の分類から導ける科学的な結論ではありません。

毛色は馬の個性を理解するための情報であり、競走能力を直接評価する指標とは区別する必要があります。

【馬の毛色に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:馬の毛色は全部で何種類ありますか?

A1:日本のサラブレッドでは8種類です。栗毛、栃栗毛、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛、白毛に分類されます。一方、日本馬事協会の一般的な馬の毛色分類では14種類が定められています。

Q2:鹿毛と黒鹿毛を簡単に見分ける方法はありますか?

A2:体の赤褐色の濃淡を確認するのが基本です。鹿毛は明るい赤褐色から暗い赤褐色、黒鹿毛は黒みがかった赤褐色です。黒鹿毛では目の周辺や内股などに褐色部分が残っていることも判断材料になります。

Q3:青鹿毛と青毛はどちらが黒いですか?

A3:どちらも黒色に近い毛色ですが、青毛は被毛と長毛の両方が黒色です。青鹿毛は全身のほとんどが黒色でも、目や鼻の周辺などにわずかな褐色が見られます。

Q4:芦毛はなぜ年齢とともに白くなるのですか?

A4:芦毛はSTX17遺伝子に関係する遺伝的な特徴を持ち、成長に伴って被毛の色素が失われ、白色毛が増えていきます。白くなる速度には個体差があります。

Q5:白毛と芦毛の一番大きな違いは何ですか?

A5:白毛は生まれたときから被毛の大部分が白色です。芦毛は出生時には元の毛色が残っており、成長とともに白色毛が増えていきます。

Q6:馬の毛色は親と同じになりますか?

A6:必ずしも同じにはなりません。MC1RやASIPなど複数の遺伝子の組み合わせによって毛色が決まるため、両親とは異なる毛色の子馬が生まれる場合もあります。

Q7:栗毛と栃栗毛は海外でも別々に分類されますか?

A7:海外では両者が同じChestnutとして扱われることがあります。日本の登録では栗毛と栃栗毛を区別しているため、海外の血統情報を確認するときは表記の違いに注意が必要です。

まとめ:【プロの結論】馬の毛色は色だけでなく遺伝と成長から理解する

馬の毛色は、単なる見た目の違いではありません。被毛、たてがみ、尾、脚の下部などに現れる色の組み合わせと、親から受け継いだ遺伝子によって分類されています。

日本のサラブレッドの基本となる毛色は、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛の8種類です。一般的な馬の分類では、さらに粕毛や月毛などを含む14種類が扱われます。

特に覚えておきたいのは、次の4つの判断基準です。

  • 鹿毛と栗毛:たてがみ、尾、脚の下部が黒くなるかどうか。
  • 黒鹿毛と青鹿毛:体の赤褐色の残り方と、目や鼻の周辺の色。
  • 青鹿毛と青毛:全身の被毛と長毛が黒色かどうか。
  • 芦毛と白毛:出生時から白いのか、成長して白くなったのか。

遺伝の面では、MC1RとASIPが基本的な毛色の形成に関係し、芦毛の加齢による白色化にはSTX17遺伝子が関与しています。白毛にも別の遺伝的な仕組みがあり、単純に芦毛がさらに白くなったものではありません。

また、毛色だけで競走能力や性格を判断することはできません。競走馬を見るときは、毛色を個体識別の手掛かりとして楽しみながら、血統や馬体、競走成績なども合わせて確認することが大切です。

競馬場や牧場で馬を見る機会があれば、まずはたてがみ、尾、脚、目の周辺を観察してみてください。これまで同じように見えていた茶色や黒色の馬も、それぞれ異なる毛色の特徴を持っていることに気づくはずです。

馬の毛色を知ることは、馬の遺伝や成長、そして一頭一頭が持つ個性を理解するための入り口でもあります。