ナスカの地上絵の謎を解明へ?宇宙人説の真相とAI新発見を2026年最新研究で徹底解説

目次

ペルー南部の砂漠に広がる「ナスカの地上絵」。ハチドリやクモ、長い尾を巻いたサルなど、巨大な動物の図柄が地表に描かれた光景は、発見から約1世紀が経過した現在も世界中の人々を魅了しています。いったい誰が、何のために、どのような方法で制作したのでしょうか。空から見なければ全体像を把握しにくい巨大な絵には、宇宙人が関与したという説まで存在します。

しかし、2026年現在、謎の解明を大きく前進させているのは宇宙人説ではありません。山形大学ナスカ研究所の坂井正人教授らとIBM ResearchによるAI考古学です。2024年の国際学術誌PNAS掲載論文では303点、さらに2025年7月の発表では248点の新たな地上絵が報告され、具象的な地上絵の確認数は合計893点に達しました。特に注目されるのは、巨大な図像と小型の図像で、描かれたモチーフや配置、利用された場面が異なるという研究成果です。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】 - 謎を解く最大の手がかり: 巨大な地上絵は共同体の儀礼、小型の地上絵は個人や小集団への情報伝達に関係した可能性がある。 - AIによる新発見: 山形大学とIBMの共同研究により、2025年7月時点で具象的な地上絵の確認数は893点に到達した。 - 宇宙人説の真相: 制作に必要な技術は古代の人々が利用できるものであり、宇宙人が関与したことを示す考古学的証拠はない。

【基本知識】ナスカの地上絵とは?約2000年前の古代文明が残した巨大な謎

ナスカの地上絵謎

ナスカの地上絵は、南米ペルーの南部に位置する乾燥地帯、ナスカ台地とフマナ平原を中心に分布する巨大な地上絵群です。

首都リマから南へ約400kmの場所にあり、動物、人間、植物、幾何学模様など、多種多様な図像が砂漠の地面に描かれています。

その特徴は、単純な絵画ではなく、地面そのものを加工して制作されていることです。

ナスカの地上絵が描かれた時代と場所

ナスカの地上絵謎

ユネスコの世界遺産情報によると、地上絵の制作時期はおおむね紀元前500年から紀元500年までの期間に位置づけられています。

そのうち、ナスカ文化が栄えた紀元前後から紀元後500年ごろにかけては、動物や人物を描いた図像が数多く制作されました。

ただし、地上絵のすべてが同時期に作られたわけではありません。研究では、時代による様式の違いや、後世に利用された図像も考慮されています。

ナスカ文化は、文字による歴史記録が十分に残されていない古代アンデスの文明の一つです。そのため、土器や織物、埋葬の痕跡、祭祀施設、地上絵などを組み合わせて、当時の人々の生活や信仰を読み解く必要があります。

ハチドリ・クモ・サルだけではない多彩な図柄

ナスカの地上絵謎

特に有名なのが、次の動物を描いた地上絵です。

- ハチドリ: 長いくちばしと広げた翼が特徴的な鳥の図像。
- クモ: 細長い脚を広げた姿が描かれた地上絵。
- サル: 長い尾が渦巻くように表現された図像。
- コンドルなどの鳥: アンデスの自然環境や宗教的な象徴性と関係する可能性がある。
- シャチや魚: 海洋生物を題材にした図像も確認されている。

これらの動物は、ナスカ文化の土器や装飾品にも描かれています。

つまり、地上絵は砂漠に突然現れた正体不明の絵ではなく、当時の人々が日常的に接していた動物や、宗教的な世界観を反映した文化表現の一部だったと考えられます。

UNESCO世界遺産に登録された理由

ナスカとパルパの地上絵は、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

登録された理由は、単に巨大で珍しい絵だからではありません。

アンデスの古代社会が自然環境をどのように利用し、宗教や社会生活と結びついた文化的景観を形成したのかを示す、極めて貴重な遺産だからです。

ユネスコが示す登録基準は以下の3つです。

- 基準(i):人類の創造的才能を示す傑作。
- 基準(iii):文化的伝統や文明の存在を伝える貴重な証拠。
- 基準(iv):歴史上重要な段階を示す建築・景観などの顕著な例。

登録対象の面積は約75,358ヘクタールに及びます。

【2026年最新研究】山形大学の坂井正人教授とIBMのAIが発見した248点の新地上絵

ナスカの地上絵研究に大きな変化をもたらしたのが、日本の山形大学と米国のIBM Researchによる共同研究です。

従来の調査では、広大な砂漠を研究者が歩き、航空写真や衛星画像を確認しながら地上絵を探す必要がありました。

しかし、地上絵の中には小さく、地面の色と同化して見つけにくいものもあります。

そこで導入されたのが、人工知能による画像認識技術でした。

坂井正人教授のナスカ研究と山形大学ナスカ研究所

山形大学の坂井正人教授は、1994年に大学院生としてナスカの地上絵研究を開始しました。

研究の出発点は、地上絵が実際には何のために制作されたのかを解明することでした。

しかし、ナスカ台地は約400平方キロメートルにも及ぶ広大な地域です。人の足による調査だけでは、全体像を把握することが困難でした。

そこで2004年から、環境地理学、認知心理学、情報科学などの研究者と協力し、衛星画像を使った調査を進めました。

2012年にはナスカ市に山形大学ナスカ研究所を設立。航空写真やドローンなどのリモートセンシング技術も活用し、地上絵の発見と記録を進めてきました。

2019年にはIBMとのAI研究に関する協力も本格化しています。

AIによる303点発見から893点確認までの経緯

2024年9月、山形大学とIBM Researchの共同研究成果が、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました。

研究ではAIを使って航空画像を解析し、候補となる地上絵を抽出。その後、考古学者が実際に現地を調査して確認する方法が採用されました。

この6か月間の現地調査で、新たに303点の具象的な地上絵が発見されました。

さらに2025年7月28日、大阪・関西万博のペルー館で行われた山形大学とペルー側の共同発表では、2023年と2024年のAI支援調査による新たな248点の発見が報告されました。

内訳は次のとおりです。

発見された図柄 点数
人間 41点
斬首の場面・首級 31点
リャマ 21点
その他の動物 66点
留めピン状の図柄 1点
幾何学模様 81点
その他 7点
合計 248点
うち具象的な地上絵 160点

これにより、具象的な地上絵の確認数は893点となりました。

ここで注意したいのは、893点がすべての直線や幾何学模様を含む地上絵の総数ではないことです。人間や動物などを表現した具象的な図像の確認数です。

研究の主な転換点を時系列で整理

年代 出来事 研究上の意味
1994年 坂井正人教授が研究開始 現地踏査による研究
2004年 学際的共同研究を開始 衛星画像を導入
2012年 山形大学ナスカ研究所設立 現地調査体制を強化
2019年 IBMとのAI研究協力が進展 AIを利用した発見へ
2024年9月 PNASに研究論文掲載 303点の新発見を報告
2025年3月 PNASコッツァレリ賞受賞を発表 国際的な研究評価
2025年7月 248点の追加発見を発表 具象的地上絵893点に
2026年5月 National Geographicが最新研究を特集 小型図像の意味に注目

2025年3月には、2024年に発表された研究論文がPNASのコッツァレリ賞を受賞したことも発表されました。同賞は2024年掲載論文の中から優れた6本を選ぶもので、行動・社会科学部門において日本の大学所属研究者として初めての受賞となりました。

また、2026年5月11日にはNational Geographicも坂井教授らのAI考古学を取り上げています。2026年時点でも、ナスカ研究におけるAIの活用は国際的に注目されています。

AIは地上絵をどのように発見するのか?

AIの役割は、砂漠の写真を眺めて動物の絵を自動的に完成させることではありません。

航空写真や高解像度画像から、地表の色や形、線の配置などを解析し、地上絵の可能性がある場所を抽出することです。

National Geographicの2026年5月の記事では、AIが抽出した候補地点を考古学者が選別し、現地踏査やドローン撮影で確認する研究手順が紹介されています。

同記事によれば、AIが抽出した候補地点は1,309か所に及びました。

重要なのは、AIによる候補の発見と、考古学者による実在確認は別の工程だという点です。

地上絵を発見する技術が進歩したからといって、その図像が何を意味するのかまでAIが自動的に解読したわけではありません。

発見された図像を分類し、周辺の道やほかの地上絵との位置関係を分析することで、初めて制作目的についての仮説が立てられます。

【最大の謎を解く鍵】巨大な地上絵と小型の地上絵では制作目的が違った?

ナスカの地上絵研究で特に注目されているのが、巨大な図像と小型の図像の違いです。

従来は、ハチドリやサルなどの有名な巨大図像が注目されてきました。しかし、AIによって発見が進んだ小型の地上絵を調べると、両者には描かれている対象だけでなく、周囲の道との関係にも違いがあることが判明しました。

2024年のPNAS論文が示した、この比較は制作目的を考えるうえで非常に重要です。

大型の線タイプは共同体の儀礼に使われた可能性

大型の線タイプの地上絵は、長さの平均が約90メートルに達します。

ハチドリやサルなど、野生動物を描いた図像が多く、研究ではその約64%が野生動物をモチーフとしていました。

また、直線や台形状の地上絵からなる大規模なネットワークとの位置関係が確認されています。

坂井教授らの研究では、こうした大型図像が巡礼路の出発点や終着点に配置され、共同体の儀礼を行う広場として機能した可能性が示されました。

つまり、巨大な地上絵は遠くから眺めるためだけのものではなく、集団で移動し、集まり、宗教的な行為を行う空間の一部だったという解釈です。

小型の面タイプは人々に情報を伝える掲示板だった?

一方、小型の面タイプの地上絵は平均約9メートルと、大型図像に比べてかなり小さなものです。

こちらには、人間や家畜、斬首された頭部など、人間の社会生活に近いモチーフが多く描かれています。

PNAS論文によると、こうした人間や人間が関与した対象を描いた図像は、小型の面タイプの81.6%を占めていました。

さらに重要なのが、その配置です。

小型図像は、繰り返し人が歩くことで形成された曲がりくねった小道の近くに多く見つかりました。研究では、地上絵から古代の小道までの距離は平均約43メートルとされています。

このことから、個人や小集団が移動中に見たり、社会的な情報を受け取ったりする役割を持っていた可能性が考えられています。

山形大学の研究発表では、小型図像を人々に情報を伝える「掲示板」のような存在として捉える解釈も紹介されています。

大型と小型の違いを比較

比較項目 大型・線タイプ 小型・面タイプ
大きさ 平均約90m 平均約9m
主な図柄 野生動物 人間・家畜・首級
代表的な特徴 巨大で遠くからも認識しやすい 小道の近くに分布
周辺環境 直線・台形状の地上絵ネットワーク 曲がりくねった小道
利用主体の推定 共同体・集団 個人・小集団
想定される役割 巡礼や共同体の儀礼 移動する人々への情報伝達
研究上の解釈 儀礼用広場 掲示板のような役割

この比較から見えてくるのは、ナスカの地上絵が一つの目的だけで制作されたとは限らないということです。

巨大な図像と小型の図像では、利用する人々も、見られる場所も、社会的な役割も異なっていた可能性があります。

ナスカの地上絵は、砂漠全体を使った複合的な宗教・社会システムだったのではないか。

これが2026年時点で特に有力な研究上の解釈です。

【制作目的の真相】ナスカ文化の宗教・儀式とカウアチ遺跡の巡礼との関係

ナスカの地上絵がなぜ制作されたのかを理解するには、地上絵だけでなく、当時の宗教施設や集落との関係を調べる必要があります。

その重要な手がかりが、カウアチ遺跡です。

カウアチはナスカ地域に存在する大規模な祭祀・儀礼施設で、ナスカ文化の宗教活動を考えるうえで重要な場所です。

カウアチ遺跡は古代ナスカの宗教的な中心地だった

カウアチ遺跡は、単純な居住都市とは異なる特徴を持っています。

考古学者ヘレイン・シルバーマンらの研究では、カウアチには恒常的に大勢の人々が暮らした都市としての証拠が乏しい一方、儀礼に関係する遺物や建造物が確認されています。

このことから、カウアチは人々が一定の時期に集まって儀式を行う、巡礼・祭祀の中心地だったとする解釈が提案されてきました。

地上絵は巡礼路の目印だったのか

PNAS論文では、ナスカ台地に存在する直線や台形状の地上絵のネットワークと、巨大な動物の図像との位置関係が分析されています。

その結果、いくつかの地上絵は、カウアチ神殿や川の合流地点などの宗教的に重要な場所へ向かう巡礼ルートと関連していた可能性が示されました。

研究者らは、巡礼路の出発点や終着点に位置する大型の図像が、共同体の儀礼を行う場所として利用された可能性を考えています。

ただし、すべての道がカウアチへ向かっていたわけではありません。

2023年の考古学研究では、土器の成分分析から、カウアチを中心とする巡礼ネットワークの地理的な範囲について、従来より限定的だった可能性も示されています。

地域ごとに異なる祭祀拠点が存在した可能性もあり、ナスカ文化の宗教活動は一つの神殿だけで説明できるものではありません。

ナスカの人々は何を祈っていたのか?

ナスカ文化の宗教的な世界観を考えるうえでは、水や農業、動物、自然現象が重要なテーマになります。

ペルー南部は乾燥した地域であり、農業を続けるには水の確保が欠かせませんでした。

そのため、地上絵の制作目的については、次のような仮説が研究されてきました。

- 水や農業に関する儀礼: 雨や水源、農作物の豊穣を願った可能性。
- 天体観測との関係: 太陽や星の動きと地上絵の配置を関連づける説。
- 巡礼や宗教的な移動: 神殿や聖地を訪れる人々が道を歩き、儀礼を行った可能性。
- 共同体の結束: 大規模な制作や儀礼への参加を通して、集団の信仰や社会的なつながりを強めた可能性。

ユネスコも、地上絵について宗教的・天文学的な儀礼との関係を指摘しています。

ただし、天体観測説だけですべての地上絵を説明できるわけではありません。

AIによる最新研究は、天文学だけでは捉えきれなかった人々の移動や小集団の活動に光を当てています。

【宇宙人説の真相】ナスカの地上絵は異星人が作ったのか?制作方法から検証

ナスカの地上絵を語るとき、必ずといってよいほど登場するのが宇宙人説です。

「空からでなければ全体像が見えないほど巨大な絵を、古代人がどうやって描いたのか」という疑問から、異星人が飛行物体のために制作したという説が広まりました。

しかし、考古学的な研究では、地上絵を制作するために宇宙人の技術を想定する必要はありません。

宇宙人説が広まった理由

宇宙人説が注目された理由は、主に3つあります。

1. 数十メートルから数百メートルに及ぶ巨大な図像が存在する。
2. 地上から全体像を把握しにくい絵がある。
3. 数キロメートルに及ぶ直線や幾何学模様が広範囲に広がっている。

特に、空から見たときに初めて全体像が明確になる図像は、古代人がどのような視点で制作したのかという疑問を生みました。

しかし、地上絵が空から見えることと、空から見るために作られたことは同じではありません。

実際、小型の地上絵は人が歩く小道の近くにあり、地上で見ることを前提とした利用方法が考えられています。

また、地上絵の図柄はナスカ文化の土器や装飾品に見られるモチーフとも共通しています。

ナスカの地上絵の作り方と仕組み

地上絵の制作方法は、現在では考古学的にかなり理解されています。

基本的な仕組みは、砂漠の表面にある暗赤色の石や砂利を取り除き、その下にある明るい色の地面を露出させることです。

その結果、周囲の暗い地表との色の違いによって、線や図形が浮かび上がります。

主な制作工程は次のとおりです。

1. 地表の状態を利用する

砂漠の表面には、酸化した鉄分を含む暗い色の小石が広がっています。

2. 表面の石を取り除く

図柄を描く部分の小石を取り除き、明るい色の下層を露出させます。

3. 図形の輪郭を整える

取り除いた石を線の外側に集めたり、配置を調整したりして図形を形成します。

4. 大きな図形を完成させる

直線や曲線を組み合わせて、動物や幾何学模様などを作ります。

大型の直線や台形では、境界を決めて内部の石を取り除く方法が使われました。動物の図像については、ひもを使った曲線の設定や、縮小した図案を拡大する方法などが考えられています。

つまり、必要なのは現代の重機や航空機ではありません。

古代の人々が持っていた測量や幾何学の知識、簡単な道具、そして共同作業によって制作できる仕組みだったのです。

なぜ2000年以上も消えずに残っているのか

もう一つの大きな謎が、地上絵の保存状態です。

その理由の一つは、ナスカの極端に乾燥した気候にあります。

降雨が非常に少なく、砂漠の表面が比較的安定しているため、地上絵の輪郭が長期間維持されてきました。

ユネスコも、降水量の少ない気候と地形条件が地上絵の保存に寄与してきたと説明しています。

【2026年の保存状況】ナスカの地上絵は今も見られる?破壊の危機と保護活動

ナスカの地上絵は世界遺産に登録され、長年保護されてきました。

しかし、現在もすべての図像が安全な状態にあるわけではありません。

自然環境の変化や人間による活動が、貴重な文化遺産に影響を与えています。

現在の保存状態と主な脅威

ユネスコの世界遺産情報では、大部分の地上絵は比較的良好な状態にある一方、南パンアメリカン・ハイウェイの建設によって、一部の線や図像が損傷したことも記録されています。

さらに、車両の走行、無許可の開発、廃棄物の堆積なども問題になります。

2026年には、ペルー文化省がナスカ地域の複数の保護活動を進めています。

具体的には次のような動きがありました。

- 2026年6月: チャウチージャ地区の考古学保護区域で、無許可の掘削や溝の設置を確認。文化省と警察が介入し、違法工事を停止させた。
- 2026年7月: ソコス地区で清掃や環境回復、案内表示の改善を進める計画を発表。約6ヘクタールの廃棄物・土砂の堆積による影響を受けた区域の回復を目指す。
- 2026年9月: サウサル地区の地上絵景観について、暫定的な保護措置を決定。機械による掘削や車両の通行による地表の損傷、自然要因による劣化などが確認された。

特に9月の措置では、掘削や地表の損傷を止めること、標識を設置すること、景観を損なう仮設構造物を撤去することなどが定められています。

AIは地上絵の保護にも役立つ

AIによる地上絵の発見は、考古学の研究だけでなく、文化遺産の保護にも役立つ可能性があります。

地上絵の位置や形状をデータとして記録すれば、損傷が起きた場所を把握しやすくなります。

また、航空写真やドローン画像を定期的に比較することで、地表の変化や新たな損傷を発見する手がかりにもなります。

坂井教授らの研究でも、未確認の候補を調べることと並んで、地上絵を保護することが重要な課題として位置づけられています。

【プロの結論】ナスカの地上絵の謎はどこまで解明された?2026年の有力説を総整理

ここまでの研究成果を踏まえると、ナスカの地上絵の謎は、単純に「誰が描いたのか」という問題から、「人々がどのように使い、何を伝えようとしたのか」という問題へと変化しています。

特に重要なのは、地上絵を一枚ずつ独立した作品として見るのではなく、周辺の小道や巡礼路、祭祀施設、図像の配置を含めて理解する視点です。

2026年時点での有力説と証拠の強さ

仮説 研究上の根拠 現在の評価
宗教的な儀礼 大型図像と巡礼路・儀礼空間の位置関係 有力
共同体の祭祀 大型図像が集団活動に関係した可能性 有力
小道沿いの情報伝達 小型図像と歩行路の近接 有力な解釈
水や農業の豊穣祈願 乾燥環境と宗教的な図像 有力な研究テーマ
天体観測 地上絵と天体現象の関係を考える説 一部に可能性
宇宙人による制作 異星人の関与を示す考古学的証拠がない 根拠なし

謎が残されている部分もある

研究が進んだからといって、すべてが解明されたわけではありません。

例えば、ハチドリやクモ、サルが具体的に何を象徴していたのか、図像ごとにどのような儀礼が行われたのか、すべての直線が何を意味していたのかについては、まだ議論が続いています。

同じ地上絵でも、制作された時代や利用した集団によって意味が異なっていた可能性があります。

また、2025年7月の山形大学の発表では、AIが検出した地上絵候補のうち、500点以上が今後の現地調査を待つ段階にあるとされました。

これらが実際にどのような図像なのかを調べることで、ナスカ文化の社会構造や信仰について新たな知見が得られる可能性があります。

ナスカの地上絵を理解するための判断基準

ナスカの地上絵に関する情報を調べる際には、次の3点を意識すると、センセーショナルな説と考古学的な研究を区別しやすくなります。

1. 図像の大きさだけで制作目的を決めない

巨大な図像は集団儀礼、小型図像は個人や小集団による利用という違いが研究で示されています。すべてを同じ目的で説明するのは適切ではありません。

2. AIの発見数と意味の解読数を混同しない

AIは地上絵候補を見つけるための技術です。人間による現地調査と考古学的な分析がなければ、図像の意味まで確定することはできません。

3. 宇宙人説よりも周辺遺跡との関係を見る

カウアチ遺跡や古代の小道、土器の図柄などを合わせて考えることで、地上絵がナスカ文化の社会や宗教の中で果たした役割が見えてきます。

【ナスカの地上絵の謎】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ナスカの地上絵は誰が作ったのですか?

ナスカ文化をはじめとする古代アンデス地域の人々が制作したと考えられています。地上絵は紀元前500年から紀元500年ごろにかけての長い期間に制作され、地域の文化や宗教的な伝統と深く結びついています。

Q2:ナスカの地上絵は宇宙人が作ったという説は本当ですか?

宇宙人が制作に関与したことを示す考古学的証拠はありません。暗い色の石を取り除いて明るい地面を露出させる方法で制作でき、測量やひもなどの道具を利用すれば巨大な図形も作れます。

Q3:山形大学がAIで発見したナスカの地上絵は何点ですか?

2024年のPNAS論文では303点の新たな具象的地上絵が報告されました。さらに2025年7月には248点の新発見が発表され、そのうち160点が具象的な図像でした。これにより、具象的な地上絵の確認数は893点となりました。

Q4:ナスカの地上絵は何のために作られたのですか?

有力な解釈は、宗教的な儀礼や巡礼、共同体の活動に関係していたというものです。大型の地上絵は集団儀礼、小型の地上絵は小道を通る人々への情報伝達に利用された可能性が指摘されています。

Q5:ナスカの地上絵は現在も残っていますか?

はい。2026年現在もペルーの世界遺産として保護されています。ただし、車両の通行、無許可の掘削、開発、自然環境による劣化などが課題となっており、ペルー文化省による保護活動が続いています。

まとめ:ナスカの地上絵の謎を解く鍵は古代人の信仰と社会にあった

ナスカの地上絵は、宇宙人が作った正体不明の巨大な絵ではなく、古代アンデスの人々が自然環境や宗教、社会生活と結びつけて制作した文化遺産です。

2024年の山形大学とIBM ResearchによるAI研究では303点、2025年7月にはさらに248点の新発見が発表され、具象的な地上絵の確認数は893点に達しました。

特に注目すべき成果は、巨大な線タイプと小型の面タイプで、図像のモチーフや配置、利用者が異なる可能性を示したことです。

大型図像は巡礼路や共同体の儀礼、小型図像は小道を通る個人や小集団への情報伝達に関係していたという解釈は、ナスカの地上絵を理解するうえで重要な手がかりとなっています。

2026年にはNational GeographicでもAI考古学の成果が紹介され、ペルーでは地上絵の保護に向けた新たな措置も進んでいます。

今後、未調査の地上絵候補が現地で確認され、図像の配置や周辺遺跡との関係がさらに明らかになれば、古代ナスカの人々が何を信じ、何を伝えようとしていたのかについて、より具体的な姿が見えてくるはずです。

ナスカの地上絵最大の謎は、どうやって巨大な絵を描いたかだけではありません。なぜ人々は砂漠という広大な空間を選び、そこに信仰や社会の記憶を刻み続けたのか。その答えに、AIと考古学が少しずつ近づいています。