【公正取引委員会の見解】24時間営業の強制は独占禁止法違反になる?
コンビニの時短営業を語るうえで欠かせないのが、公正取引委員会による実態調査です。
この問題は、単なる営業時間の変更ではありません。フランチャイズ本部と加盟店オーナーの力関係、契約内容、経営上の負担が深く関係しています。
2020年のコンビニ実態調査で判明したこと

2020年9月2日、公正取引委員会は「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査」を公表しました。
調査では、大手8チェーンの加盟店57,524店を対象にアンケートを実施。回答したのは12,093店で、回答率は21.0%でした。
特に注目されたのが、深夜営業の採算性と人手不足です。
公正取引委員会の2020年実態調査
77.1%

深夜帯が赤字の店舗93.5%

人手不足を感じる店舗66.8%
時短営業への移行を希望・検討8.7%
本部が時短交渉自体を拒絶
さらに、24時間営業を今後も続けたいと回答したオーナーは33.2%にとどまりました。
一方、66.8%は、人手不足などによる一時的な時短、実験的な時短、または本格的な時短への移行を希望・検討していました。
営業時間の短縮について本部との交渉自体を拒絶されたという回答も8.7%ありました。
この調査が示したのは、24時間営業を維持したい店舗と、経営を続けるために営業時間を短縮したい店舗が存在するという現実です。
公正取引委員会が問題視したのは何か
公正取引委員会が問題としているのは、24時間営業という営業形態そのものではありません。
問題になる可能性があるのは、フランチャイズ本部が優越的な立場を利用し、加盟店に不当に不利益を与える行為です。
具体的には次のようなケースが挙げられます。
- 加盟店が時短営業を希望しているのに、正当な理由なく協議を拒絶する。
- 24時間営業によって損益が悪化しているにもかかわらず、従来の営業時間を一方的に受け入れさせる。
- 契約時に説明していた営業時間の変更条件と、実際の運用が大きく異なる。
公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインでは、営業時間の短縮に関する協議拒絶について、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に該当し得る行為として示しています。
24時間営業の契約は違法なのか?
ここは誤解が多い部分です。
公正取引委員会は、加盟店募集の段階で年中無休・24時間営業という条件が十分に説明され、加盟者が理解して契約している場合、その条件を設定すること自体は直ちに独占禁止法上の問題にはならないと整理しています。
つまり、24時間営業を契約条件にすることと、契約後に加盟店へ不当な負担を強いることは区別されます。
重要なのは、契約内容の透明性と、契約後の本部・加盟店間の協議です。
2021年4月28日には、公正取引委員会が実態調査を踏まえてフランチャイズ・ガイドラインを改正しました。これによって、年中無休・24時間営業に関する問題行為への考え方がより明確になりました。
したがって、2026年現在の正確な理解は次のとおりです。
24時間営業は法律で全国のコンビニに義務付けられているわけではなく、契約上の条件と加盟店の経営状況に応じて見直しが可能な営業形態です。
ただし、時短営業を希望すれば必ず無条件で認められるという意味ではありません。
【深夜営業のメリット・デメリット】売上が少なくても営業する理由とは?
コンビニが深夜営業を続けるべきかどうかは、売上高だけでは判断できません。
店舗の立地、来店客の属性、深夜の人件費、商品の補充体制など、複数の要素が関係します。
24時間営業のメリット
1. 深夜・早朝の顧客需要に対応できる
夜勤の仕事を終えた人、早朝から働く人、夜間に移動する人にとって、24時間営業の店舗は重要な存在です。
特に、駅周辺、繁華街、幹線道路沿い、病院周辺などでは、深夜でも一定の需要が見込まれます。
2. 急な買い物や生活上のトラブルに対応できる
飲料、食料品、衛生用品などを必要なときに購入できることは、コンビニの大きな価値です。
災害時や交通機関の乱れなど、通常とは異なる状況でも、営業を継続できる店舗には地域の生活を支える役割があります。ただし、災害時の営業継続は、停電や物流などの条件にも左右されます。
3. 深夜の時間を店舗運営に活用できる
来店客が少ない時間帯には、商品の補充、売場整理、清掃などを進められます。
日中に混雑する店舗では、深夜にこうした作業を行うことで、翌日の営業準備を効率化できる場合があります。
4. チェーン全体の利便性を維持できる
消費者にとっては、同じ看板の店舗がいつでも営業しているという安心感があります。
チェーン全体のブランドイメージを守るという観点からも、24時間営業には一定の経営合理性があります。
24時間営業のデメリット
一方、深夜営業には加盟店側の負担もあります。
| デメリット | 店舗経営への影響 |
|---|---|
| 深夜の人件費 | 深夜割増賃金などで人件費が増える |
| 人手不足 | 深夜勤務を担当する従業員の確保が難しい |
| オーナーの負担 | 欠員時にオーナー自身が深夜勤務を担う場合がある |
| 光熱費 | 営業時間の延長に伴う電気代などが発生する |
| 防犯・安全管理 | 深夜勤務者の安全確保や防犯対策が必要 |
| 低い深夜売上 | 人件費などを回収できず赤字になる可能性がある |
特に大きな問題が人手不足です。
従業員が確保できなければ、オーナーや家族が店舗運営を補わなければならない場合もあります。
その結果、休日や睡眠時間が削られ、長期的な経営継続が難しくなることがあります。
深夜営業は本当に採算が合わないのか?
ここで注意したいのが、深夜帯の売上が少ないことと、24時間営業全体が赤字になることは同じではないという点です。
例えば、深夜の売上が少なくても、商品の補充や翌朝の販売準備を効率的に進められる店舗なら、深夜営業に一定の価値があります。
反対に、深夜の来店客が少なく、追加人件費や光熱費が売上総利益を上回る店舗では、時短営業が合理的な選択になる可能性があります。
採算性を判断するときは、次の関係を確認する必要があります。
深夜営業の採算性を判断する基本的な考え方
深夜帯の増加粗利益
深夜営業によって得られる追加的な利益
比較する費用
- 深夜勤務者の給与・割増賃金
- 追加の光熱費
- 防犯・安全管理費用
- その他の追加運営費
- フランチャイズ契約に基づく費用負担
さらに確認すること
深夜の補充・清掃などが翌日の業務効率に与える影響や、営業時間短縮による顧客の利用変化も検討する。
2020年の公正取引委員会調査で、深夜帯が赤字と回答した店舗が77.1%だったことは、深夜営業の採算性が業界の構造的な課題になっていたことを示しています。
ただし、この数字だけで2026年のすべての店舗が深夜営業で赤字になっているとは判断できません。現在の人件費や店舗ごとの売上構成、契約条件を踏まえた個別の検証が必要です。
【加盟店オーナーの負担と時短条件】営業時間を短縮するには何が必要?
コンビニの営業時間を決めるうえで重要なのが、フランチャイズ契約です。
コンビニは本部がブランドや商品供給、物流、システムなどを提供し、加盟店が店舗を運営する仕組みが中心です。
そのため、営業時間を変更すると、加盟店だけでなく、本部の物流や販売計画にも影響が及びます。
時短営業が認められる条件
一般的には、次のような項目を確認する必要があります。
1. 現在のフランチャイズ契約で定められた営業時間を確認する。
2. 時短営業が可能な契約条件に該当するか確認する。
3. 深夜帯の売上、人件費、利益などを整理する。
4. 本部の担当者に営業時間変更を申し出る。
5. 本部と具体的な営業時間や開始時期について協議する。
6. 必要なテストや申請、契約上の手続きを行う。
7. 合意した内容に基づいて時短営業を開始する。
ここで重要なのは、営業時間を変更する際には、店舗の都合だけでなく、契約内容や施設管理者の承諾なども関係するという点です。
時短営業を検討すべき店舗の特徴
時短営業が経営改善につながりやすいのは、次のような店舗です。
- 深夜の来店客が少なく、売上総利益が小さい。
- 深夜勤務者を安定して確保できない。
- オーナーが深夜勤務を頻繁に担当している。
- 深夜営業の人件費が売上に見合っていない。
- 住宅地などで深夜の商圏需要が限定されている。
一方、次のような店舗では、24時間営業を維持するメリットが大きい可能性があります。
- 駅前や繁華街など深夜の人流が多い。
- 病院や工場など夜間勤務者が多い施設の近くにある。
- 幹線道路沿いで深夜の交通量が多い。
- 深夜営業が日中の売上や業務効率にも貢献している。
- 深夜スタッフを安定的に確保できている。
オーナーが確認すべき契約上の注意点
時短営業を検討する際には、営業時間だけを確認しても不十分です。
特に注意したいのが、次の4項目です。
① ロイヤルティ・本部チャージ
営業時間が24時間未満になった場合、本部への支払い条件が変更されることがあります。
ローソンのように、時短店舗に対してチャージ率を加算する契約タイプもあります。
② 最低保証の適用条件
最低保証額は、最終的な店舗利益を保証するものではありません。
営業時間によって保証条件が変わる契約では、時短後の収入を慎重に試算する必要があります。
③ 建物の賃貸借契約
店舗がテナントや商業施設内にある場合、施設管理者や家主の営業時間に関する条件が影響します。
ファミリーマートの開示書面でも、家主の承諾が得られない場合には時短営業ができないとされています。
④ 時短営業の申請・変更手続き
契約期間中の変更が可能か、申請時期や必要書類、営業時間を再変更する場合の条件などを確認する必要があります。
営業時間の変更によって生じる費用や経営上のリスクも、事前に把握しておくことが大切です。
24時間営業を続けるか、時短にするかの判断基準
オーナーが重視すべきなのは、売上高の大きさだけではなく、実際に手元に残る利益と店舗運営の持続可能性です。
例えば、日販が高い店舗でも、深夜の人件費や本部チャージが大きければ、時短によって利益が改善する可能性があります。
逆に、深夜の売上が小さくても、夜間の商品補充や翌朝の販売準備が店舗全体の効率を高めている場合は、時短が必ずしも有利とは限りません。
営業時間の変更は、短期的な人件費削減と長期的な店舗経営の両方を考えて判断する必要があります。
【コンビニの営業時間を確認する方法】24時間営業かどうかは店舗検索が確実
「いつも利用しているコンビニが、最近は夜中に閉まっている」という場合、最初に確認したいのが公式店舗検索です。
同じチェーンでも、営業時間が異なる店舗があるためです。
セブン‐イレブンの営業時間を確認する方法
セブン‐イレブン
公式サイトの店舗検索から、現在地、地域、店舗名などで検索できます。
営業時間は店舗ごとの詳細情報を確認
セブン‐イレブンの公式FAQでも、24時間営業以外の店舗が存在することを説明し、店舗検索で営業時間を確認するよう案内しています。
ファミリーマートの営業時間を確認する方法
ファミリーマート
公式店舗検索で現在地や地域から店舗を探せます。
臨時休業や施設事情による変更にも注意
ファミリーマートの公式店舗検索では、施設の営業状況などによって、店舗情報に掲載された営業時間と実際の営業状況が一時的に異なる場合があると案内されています。
ローソンの営業時間を確認する方法
ローソン
公式サイトの店舗検索で近隣店舗を確認できます。
施設内店舗や特殊な店舗形態にも注意
ローソンでは、店舗や商品に関する問い合わせ窓口も用意されています。営業時間について不明な点がある場合は、利用予定店舗への確認が確実です。
営業時間を確認するときの3つの注意点
- Googleマップだけで判断しない: 営業時間の変更が反映されていない可能性がある。
- 施設内店舗に注意する: 駅、病院、学校、商業施設などでは施設の営業時間に左右される。
- 臨時休業を確認する: 人員不足、設備点検、災害などによって一時的に営業を休止する場合がある。
特に深夜に利用する予定がある場合は、公式店舗検索で営業時間を確認し、不明な場合には店舗に電話しておくと安心です。
【コンビニ24時間営業に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:コンビニの24時間営業は2026年に廃止されたのですか?
A1:いいえ。2026年現在、大手3社とも24時間営業を基本とする方針を維持しています。ただし、セブン‐イレブンやファミリーマートなどでは、加盟店が一定の条件のもとで時短営業を選択できる制度があります。
Q2:コンビニのオーナーは自由に営業時間を短縮できますか?
A2:無条件で自由に変更できるわけではありません。本部との協議、契約条件、建物の管理者の承諾などが関係します。ただし、正当な理由なく本部が時短営業の協議を拒絶する場合には、独占禁止法上の問題となる可能性があります。
Q3:セブン‐イレブンの時短営業店舗は何店舗ありますか?
A3:2026年7月9日のJ-CASTニュースによると、営業時間変更店舗は実証実験中の店舗を含めて約1,400店で、全店舗の約6%でした。最低賃金の上昇や人手不足が背景にあります。
Q4:ファミリーマートは24時間営業をやめたのですか?
A4:いいえ。24時間営業を基本としています。2020年から時短営業制度を導入しており、2025年8月付の契約開示書面でも、毎日時短や日曜時短を選択できる仕組みが確認できます。
Q5:24時間営業のコンビニを見分けるにはどうすればよいですか?
A5:各チェーンの公式店舗検索を利用してください。店舗詳細に掲載されている営業時間を確認し、臨時休業や施設の営業時間による変更が疑われる場合は、店舗へ直接問い合わせる方法が確実です。
まとめ:コンビニの24時間営業は店舗ごとの経営判断へ
2026年のコンビニ業界では、24時間営業の全面廃止ではなく、店舗ごとの事情に合わせて営業時間を柔軟に見直す方向が進んでいます。
今回の重要なポイントを振り返ります。
- セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは24時間営業を基本としている。
- セブン‐イレブンでは2026年7月時点で約1,400店舗が営業時間を変更している。
- ファミリーマートは契約上、オーナーによる時短営業の選択肢を設けている。
- ローソンは24時間営業を基本としながら、契約タイプや店舗形態によって営業時間と収益条件が異なる。
- 公正取引委員会は、不当な時短協議の拒絶が独占禁止法上の問題になる可能性を示している。
- 実際の営業時間はチェーン全体ではなく、利用する店舗ごとに確認する必要がある。
今後のコンビニ業界で問われるのは、24時間営業という看板を守ることだけではありません。
人手不足や人件費の上昇に対応しながら、消費者の利便性と加盟店の経営をどう両立させるかです。
深夜でも多くの利用客が訪れる店舗では24時間営業が合理的な選択になります。一方、深夜の需要が少なく、従業員の確保も難しい店舗では時短営業が経営を守る手段になります。
これからのコンビニは「すべての店舗が24時間営業する時代」から「地域の需要と店舗の採算性に合わせて営業時間を決める時代」へと変化していく可能性があります。
消費者にとっても、加盟店オーナーにとっても、営業時間の柔軟性と持続可能な店舗運営の両立が、今後のコンビニ業界を考える重要な判断基準となりそうです。
主な参考資料:公正取引委員会「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」(2020年9月)、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(2021年改正)、セブン‐イレブン公式FAQ・2026年7月J-CAST報道、ファミリーマート2025年8月付フランチャイズ契約開示書面、ローソン公式フランチャイズ契約・出店ガイドライン。