飛行機が落ちる確率は何万便に1回?2026年最新統計で事故率と日本の実績を徹底解説
飛行機に乗るとき、「もし墜落したらどうしよう」「飛行機が落ちる確率は実際どのくらいなのか」と不安に感じる人は少なくない。2026年3月に国際航空運送協会(IATA)が公表した2025年安全報告によると、世界の旅客航空における全事故率は約76万便に1件。さらに、2021~2025年の5年間平均では、死亡事故は約560万便に1件という水準だ。
ただし、ここでいう「事故」は、必ずしも飛行機の墜落や乗客の死亡を意味しない。着陸時の機体接触、滑走路からの逸脱、機体の損傷なども統計上の事故に含まれる。2026年最新のIATA・ICAOの国際統計と国土交通省の日本国内のデータを照らし合わせ、旅客機の事故率、死亡事故発生率、飛行機墜落の理由、自動車とのリスクの違いまで整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 世界の全事故率: IATAの2025年安全報告では約76万便に1件。2025年の事故は38.7百万便中51件。
- 死亡事故の発生率: 2021~2025年の5年間平均では約560万便に1件。全事故率とは別の指標。
- 日本の定期便: 2025年の死亡事故発生率と全損事故発生率はいずれも0.00。日本の大手定期便では1985年以降、乗客死亡事故は発生していない。
【2026年最新】飛行機が落ちる確率はどのくらい?IATAの統計で検証

飛行機が落ちる確率を数字で把握するなら、まず確認したいのがIATA(国際航空運送協会)の2025年安全報告だ。
同報告は2026年3月9日に公表された。2025年の世界の航空運航実績を集計しており、全事故率は100万便あたり1.32件。これを1便あたりに換算すると、約75万9,646便に1件となる。
全事故率と死亡事故発生率は大きく違う

特に注目したいのは、全事故と死亡事故の数字に大きな開きがあることだ。
IATAの公表データによると、2025年の航空事故は世界で51件発生した。そのうち死亡事故は8件で、機内の死亡者数は394人だった。
一方、2021~2025年の5年間平均で見ると、死亡事故は年間約6件。発生頻度は約560万便に1件という水準になる。
つまり、約76万便に1件という数字は、死亡事故や墜落事故だけを数えたものではない。死亡事故に限定した場合は、約560万便に1件という別の数字になる。
確率に単純換算すると、1便あたりの全事故率は約0.000132%、5年間平均の死亡事故発生率は約0.000018%だ。ただし、後者は死亡事故が起きる頻度であり、乗客一人ひとりが死亡する確率を直接示したものではない。
2025年の数字は前年より改善したのか
2025年の全事故率は、2024年の1.42件から1.32件へ改善した。事故件数も2024年の54件から51件に減少している。
しかし、死亡事故は2024年の7件から2025年の8件に増加した。機内の死亡者数も244人から394人に増えている。
この結果が示しているのは、航空事故全体の頻度が下がっても、重大な結果につながる事故が毎年一定の割合で減少するとは限らないということだ。航空事故は発生件数自体が少ないため、少数の大規模事故によって年間の死亡者数や死亡リスクが大きく変動する。
【誤解しやすいポイント】航空事故と墜落事故・重大インシデントの違い
「飛行機事故は約76万便に1回」と聞いて、約76万便に1回の割合で旅客機が空から落ちると理解するのは正確ではない。
理由は、航空統計における事故の定義が、一般的なイメージとしての墜落よりも広いからだ。
航空事故には墜落以外の事態も含まれる
国土交通省が説明する航空事故には、航空機の墜落、衝突、火災だけでなく、人の死傷、物件の損壊、航空機内の死亡や行方不明、航行中の航空機の損傷なども含まれる。
例えば、着陸時に機体の後部が滑走路に接触するテールストライクや、着陸装置の損傷、滑走路からの逸脱などは、状況や損傷の程度によって事故として扱われる。
つまり、事故として集計されたからといって、機体が墜落したり、乗客全員が危険にさらされたりしたとは限らない。
重大インシデントは事故とは別の区分
重大インシデントとは、実際には航空事故に至らなかったものの、事故が発生するおそれがあったと認められる重大な事態を指す。
具体例としては、他の航空機が使用している滑走路への誤進入や、発動機内部の大規模な破損、与圧の異常な低下などが挙げられる。
こうした事態は、結果的に事故にならなかったとしても、原因を分析して再発を防ぐ必要がある。そのため、事故とは区別して報告・調査される。
IATAの事故率にも独自の集計条件がある
IATAの2025年安全報告では、一定の条件を満たす商業航空運航を対象としている。対象となる航空機は最大離陸重量5,700kg以上で、軍事目的の運航、エグゼクティブジェット、整備確認飛行、試験飛行、ピストン機などは通常の集計対象から除外される。
また、機体の重大な構造損傷など、IATA独自の事故認定基準も設けられている。
したがって、IATAの約76万便に1件という数字は、すべての小型飛行機やヘリコプターを含めた航空機全般の事故率ではなく、対象となる商業航空の運航実績に基づく数値として理解する必要がある。
【世界と日本の比較】IATA・ICAO・国土交通省の航空事故統計を一覧で確認
2026年時点で航空安全を調べる際には、IATAだけでなく、国際民間航空機関(ICAO)と日本の国土交通省の統計も参考になる。
ただし、それぞれ集計対象や事故の定義、対象年が異なる。数字を単純に横並びにして、どの機関の数値が正しいかを判断するのは適切ではない。
2026年時点で確認できる主要な航空安全データ
| 統計・対象 | 集計期間・対象 | 主な数値・内容 |
|---|---|---|
| IATA 2025年安全報告 | 2025年の世界の対象商業航空運航 | 全事故51件、3,870万便、全事故率1.32件/100万便。約76万便に1件 |
| IATA死亡事故統計 | 2021~2025年の5年間平均 | 死亡事故は約560万便に1件 |
| ICAO航空安全報告2025 | 2024年の世界の定期商業航空運航 | 事故95件、死亡事故10件、死亡者296人。事故率2.56件/100万出発 |
| 日本の定期便の死亡事故率 | 2025年の本邦航空運送事業者の定期便 | 死亡事故発生率0.00、全損事故発生率0.00 |
| 日本の航空事故全体 | 2025年、国内外の対象航空機全般 | 航空事故22件、死亡者7人。大型・小型飛行機、ヘリコプターなどを含む |
出典となる資料は、IATAの2025年安全報告、ICAOの2025年版「State of Global Aviation Safety」、内閣府の令和8年交通安全白書に掲載された国土交通省資料だ。
ICAOの数字がIATAより大きいのはなぜか
ICAOの2025年版安全報告では、2024年の定期商業航空運航について、事故95件、死亡事故10件、死亡者296人と報告されている。
事故率は100万出発あたり2.56件で、2023年の1.87件から上昇した。一方、2019年の2.94件と比べると低い水準にある。
ここで注意したいのは、ICAOとIATAでは事故の認定基準や集計方法が異なる点だ。
ICAOはシカゴ条約附属書13に基づく事故情報を検証し、最大離陸重量5,700kgを超える航空機による定期商業航空運航を中心に集計する。IATAは独自の事故分類と機体損傷基準を用いている。
そのため、ICAOの2024年の95件と、IATAの2025年の51件をそのまま比較して、航空安全が急激に悪化したと判断することはできない。対象年だけでなく、集計範囲と事故認定の仕組みをそろえる必要がある。
【日本の定期便は安全?】死亡事故発生率と過去の実績
日本の旅客機の安全性を考えるうえで、重要な資料となるのが内閣府の令和8年交通安全白書だ。2025年の実績をまとめた同資料では、日本の定期便を運航する本邦航空運送事業者の死亡事故発生率は0.00となっている。
全損事故発生率も0.00であり、いずれも2025年の実績値として報告されている。
日本の大手定期便では1985年以降、乗客死亡事故がない
同白書によると、客席数100席または最大離陸重量5万kgを超える航空機を使用する特定本邦航空運送事業者について、乗客が死亡した事故は、1985年の日本航空123便・御巣鷹山墜落事故以降発生していない。
1985年8月12日に発生した日本航空123便の事故は、乗客乗員524人のうち520人が死亡した、日本の航空史に残る重大事故だ。
この事故を教訓として、航空機の構造、整備、運航管理、緊急時対応など、安全に関する取り組みが継続的に進められてきた。
ただし、日本の航空事故がすべてゼロになったわけではない。
2024年の羽田空港事故と2025年の航空事故統計
2024年1月2日には、東京国際空港(羽田空港)で日本航空機と海上保安庁機が衝突し、炎上する事故が発生した。
海上保安庁機に搭乗していた5人が死亡した一方、日本航空機の乗員と乗客に死亡者はいなかった。
この事例は、航空事故全体の死亡者数と、定期旅客便の乗客死亡事故を区別する必要性を示している。
また、2025年の日本国内の航空事故は全機種合計で22件、死亡者は7人だった。ここには大型飛行機だけでなく、小型飛行機、ヘリコプター、滑空機なども含まれている。日本国内で発生した外国航空機の事故や、国外で発生した日本の航空機の事故も集計対象だ。
したがって、この22件を日本の定期旅客便の墜落件数として扱うのは誤りである。
死亡事故率0.00は将来も絶対安全という意味ではない
死亡事故発生率0.00という数値は、対象期間において死亡事故が発生しなかったことを示す実績指標だ。
将来の事故発生確率が数学的にゼロになったという意味ではない。運航回数が増えれば、それだけ多くの安全上の事象を継続的に監視する必要がある。
国土交通省は死亡事故と全損事故をゼロにする目標を掲げるとともに、航空事故や重大インシデントの発生率についても継続的に評価している。
【飛行機墜落の理由】事故につながる主な原因と乱気流の危険性
飛行機墜落の理由として考えられる要因は、一つではない。機体の不具合、気象条件、操縦や判断に関する問題、空港設備、管制との連携など、複数の要素が関係する場合がある。
航空事故の調査では、事故を引き起こした直接的な原因だけでなく、事故に至るまでの背景や安全管理上の問題も分析される。
2025年に多かった航空事故は墜落だけではない
IATAの2025年安全報告で多く確認された事故の種類は、テールストライク、着陸装置に関する事象、滑走路逸脱、地上での機体損傷などだった。
具体的な件数を見ると、テールストライクが9件、滑走路逸脱が7件、着陸装置関連が7件、地上での機体損傷が6件となっている。
こうした統計から分かるのは、航空安全上の課題が飛行中だけに集中しているわけではないということだ。離陸、着陸、空港での地上作業にも、事故を防ぐための対策が必要になる。
また、IATAは2025年に、飛行中の操縦不能(LOC-I)に分類される事故が発生しなかったことも報告している。これは死亡事故につながりやすいリスクカテゴリーの一つであり、安全対策の成果を示す重要な指標だ。
乱気流で飛行機が墜落する可能性はある?
飛行機に乗る人が不安を感じやすい現象の一つが乱気流だ。突然機体が大きく揺れたり、座席から体が浮くように感じたりすると、墜落するのではないかと思うこともある。
しかし、通常の旅客機は乱気流を想定した設計や運航管理のもとで飛行しており、揺れが発生しただけで直ちに墜落につながるわけではない。
乱気流で特に問題となるのは、客室内で発生する負傷だ。シートベルトを外している乗客や、立って作業している客室乗務員が、突然の揺れによって転倒したり、天井や座席に体をぶつけたりする危険がある。
国土交通省の資料によると、2016~2024年に日本で発生した乱気流による負傷事案は18件。このうち5件が旅客、13件が客室乗務員の負傷事案だった。
航空局は乱気流への備えとして、シートベルト着用サインの早期点灯や、操縦士と客室乗務員の情報共有を推進している。旅客に対しても、座席にいる間はシートベルトを腰の低い位置で緩みなく着用するよう呼びかけている。
飛行機が揺れたときに大切なのは、慌てて立ち上がったりせず、乗務員の指示に従って安全を確保することだ。
【プロの結論】飛行機と自動車の事故リスク比較・航空事故率の歴代推移
飛行機の安全性をより正確に理解するには、ほかの交通手段と比較することも有効だ。
自動車と飛行機ではどちらが危険なのか
飛行機と自動車の事故リスクを比較する場合、事故件数だけを見ても意味がない。自動車は日常的に膨大な回数利用される一方、飛行機は運航回数が限られているためだ。
比較に適した指標の一つが、移動距離あたりの乗客死亡リスクである。
欧州連合鉄道庁(ERA)の2024年報告書では、2012~2021年の10年間のデータを使い、鉄道、航空、バス、自動車の死亡リスクを比較している。
同報告では、鉄道旅客の死亡リスクは商業航空旅客とほぼ同程度とされる。一方、同じ距離を移動した場合、自動車の乗員が死亡するリスクは鉄道旅客の約30倍だった。
この比較は欧州の統計に基づくもので、日本国内の個々の移動にそのまま適用できる数字ではない。それでも、移動距離を考慮した場合、定期商業航空が非常に安全性の高い交通手段であることを理解する参考になる。
航空事故率は昔と比べて改善しているのか
IATAの統計を見ると、長期的には航空事故率が改善してきたことが分かる。
2025年安全報告では、2016年の全事故率は100万便あたり1.61件だったのに対し、2025年は1.32件だった。2021~2025年の5年間平均も1.27件で、直前の5年間平均1.31件を下回っている。
死亡事故についても、IATAが公表した5年間平均の比較では、2012~2016年は約350万便に1件だったのに対し、2021~2025年は約560万便に1件へと改善した。
ただし、毎年の事故率が一直線に下がるわけではない。ICAOの統計では、2024年の事故率は2023年より上昇している。こうした年ごとの変動を考慮するため、航空業界では単年の数字だけでなく、5年間の移動平均も重視している。
飛行機の安全性を判断するときに見るべき3つのポイント
航空会社や航空機の安全性を調べるときは、次の3点を確認すると、ニュースや統計の意味を理解しやすくなる。
1.死亡事故率と全事故率を区別する。 全事故率が高くなったからといって、直ちに墜落事故や乗客死亡事故が増えたとは限らない。
2.単年の数字だけで判断しない。 事故の発生頻度が低い航空業界では、一つの大規模事故によって年間の数値が大きく変動する。5年間平均や長期推移も確認したい。
3.統計の対象範囲を確認する。 定期旅客便、貨物便、小型航空機、ヘリコプターでは運航環境も事故の定義も異なる。どの航空機を対象にした数字なのかが重要だ。
飛行機の安全性は、事故が起きないことだけで評価されるものではない。重大インシデントを把握し、原因を調べ、事故になる前に対策を実施する仕組みも安全を支えている。
【飛行機が落ちる確率】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:飛行機事故は何万便に1回発生しますか?
A1:IATAの2025年安全報告によると、全事故率は約76万便に1件です。これは墜落事故だけでなく、着陸装置の損傷や滑走路逸脱などを含む統計です。
Q2:飛行機の死亡事故は何万便に1回ですか?
A2:IATAの2021~2025年の5年間平均では、死亡事故は約560万便に1件です。ただし、これは死亡事故の発生頻度であり、乗客個人の死亡確率と同じではありません。
Q3:日本の飛行機は海外より安全ですか?
A3:日本の定期便では、2025年の死亡事故発生率と全損事故発生率がともに0.00でした。ただし、海外との厳密な比較には、同じ事故定義、運航対象、集計期間をそろえる必要があります。
Q4:飛行機が大きく揺れると墜落する可能性がありますか?
A4:乱気流による揺れだけで直ちに墜落するわけではありません。むしろ、急な揺れによる乗客や客室乗務員の負傷が重要な安全上の課題です。座席にいる間はシートベルトを着用してください。
Q5:飛行機と自動車ではどちらが安全ですか?
A5:移動距離あたりの死亡リスクで比較すると、定期商業航空は自動車より安全性が高い交通手段です。欧州の2012~2021年の比較では、鉄道旅客の死亡リスクは商業航空旅客とほぼ同程度で、自動車の乗員は鉄道旅客より約30倍高い死亡リスクを持つと報告されています。
まとめ:飛行機が落ちる確率は低いが、安全対策の継続が不可欠
2026年最新のIATA 2025年安全報告によると、世界の旅客航空の全事故率は約76万便に1件、死亡事故は2021~2025年の5年間平均で約560万便に1件だった。
日本では2025年の定期便の死亡事故発生率と全損事故発生率がともに0.00であり、大手定期航空運送事業者の乗客死亡事故も1985年以降発生していない。
ただし、全事故率と墜落事故率、死亡事故率はそれぞれ意味が異なる。統計の対象や事故の定義を理解せずに数字だけを見ると、実際の危険性を誤って判断してしまう。
航空事故率の長期的な改善は、航空機の技術進歩だけでなく、整備体制、操縦訓練、管制システム、空港設備、事故調査、重大インシデントの分析など、多方面の取り組みに支えられている。
飛行機は、リスクが完全にゼロの乗り物ではない。しかし、国際統計と日本の定期便の実績を総合すると、日常的な長距離移動において非常に安全性の高い交通手段である。数字を見るときは、事故の件数だけでなく、死亡事故率と長期的な安全改善の両方に目を向けたい。
参照した公式資料: IATA「2025 Annual Safety Report」、ICAO「Safety Report 2025 Edition」、内閣府「令和8年交通安全白書」、国土交通省「航空安全に関する統計・乱気流対策資料」、欧州連合鉄道庁「Report on Railway Safety and Interoperability in the EU 2024」。