【MjとMwの違い】マグニチュードと震度は何が違う?

目次

東日本大震災の数値を理解するためには、気象庁マグニチュード(Mj)、モーメントマグニチュード(Mw)、震度という3つの用語を区別する必要がある。

それぞれが測定している対象は異なる。

気象庁マグニチュード(Mj)とは?

東日本大地震マグニチュード

気象庁マグニチュードは、地震計で観測した地震波の振幅などを用いて計算する指標だ。

地震発生直後の速報や一般的な地震情報で使いやすく、小さな地震から大きな地震まで、長期間にわたって国内の地震を比較するために活用されている。

ただし、非常に大きな地震では、地震波の振幅だけでは地震全体の規模を十分に表現できない場合がある。

モーメントマグニチュード(Mw)とは?

東日本大地震マグニチュード

モーメントマグニチュードは、地下の断層がどれだけの規模で動いたかを物理的に評価する指標だ。

主に次の3要素から地震モーメントを求める。

- 断層面の面積
- 断層の平均的なずれの量
- 岩石の硬さ(剛性率)

この値をもとに計算するため、巨大地震の規模を評価する際に適している。

東日本大震災のように、広範囲の断層が大きく動いた地震では、Mwによる評価が重要になる。

マグニチュードと震度の違いを比較

東日本大地震マグニチュード
比較項目 マグニチュード 震度
表すもの 地震そのものの規模 ある地点の揺れの強さ
対象 地震全体 観測地点ごと
数値 Mw9.0など 震度0〜7
測定・評価 地震波や断層運動 震度計による観測
東日本大震災 Mw9.0 最大震度7

気象庁は、マグニチュードと震度の関係を、電球の明るさと周囲の明るさに例えて説明している。

電球そのものの明るさがマグニチュード、電球から離れた場所で感じる明るさが震度に相当する。

つまり、同じ地震でも、震源からの距離や地盤の性質によって、各地で観測される震度は変わる。

また、日本の震度階級は0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10段階だ。震度7より上の階級は設けられていない。


覚えておきたいポイント

地震の規模

Mw9.0



観測された最大の揺れ

震度7



両者は別の尺度であり、数字を直接比較することはできない。

【東日本大震災の地震エネルギー】M9.0は世界の巨大地震と比べてどれほど大きい?

マグニチュード9.0という数字の大きさを理解するには、地震エネルギーとの関係を見ると分かりやすい。

マグニチュードが1上がるとエネルギーは約32倍

気象庁の解説によると、マグニチュードが1大きくなると、地震によって放出されるエネルギーは約32倍になる。

マグニチュードの比較 エネルギーの比率
M7とM8 約32倍
M8とM9 約32倍
M7とM9 約1,000倍

この関係から、東日本大震災のMw9.0は、Mw8.0の地震と比べて約32倍、Mw7.0の地震と比べて約1,000倍のエネルギーに相当する。

マグニチュードは対数的な尺度であるため、数字の差がわずかでも、エネルギーの差は非常に大きい。

なお、地震エネルギーの比率は、建物の被害や津波の高さが同じ倍率になることを意味するものではない。被害は震源域、地盤、建物、津波の発生状況などにも左右される。

世界の巨大地震とマグニチュードを比較

東日本大震災は世界の巨大地震の中でも、特に大きな規模を持つ地震として記録されている。

アメリカ地質調査所(USGS)の1900年以降の巨大地震リストでは、次の地震が上位に挙げられている。



1位相当:1960年チリ地震

9.5


チリ・バルディビア


2位相当:1964年アラスカ地震

9.2


アラスカ・プリンスウィリアム湾


3位相当:2004年スマトラ島沖地震

9.1


インドネシア・スマトラ島北西沖


東日本大震災・2011年

9.0(気象庁)


日本・三陸沖



ここで注意したいのは、USGSの現在の地震カタログでは、2011年の東北地方太平洋沖地震がMw9.1と評価されている点だ。

一方、日本の気象庁が公表する代表値はMw9.0である。

これは、異なる観測機関による解析や採用するデータ・評価方法の違いによるものだ。気象庁自身も、計算式や観測網の違いによって、同じ地震でも機関によってマグニチュードが異なる場合があると説明している。

したがって、日本国内の公的な地震記録を確認する場合は、気象庁のMw9.0を基準とし、国際比較ではUSGSのMw9.1という評価も併記するのが適切だ。

【巨大地震のメカニズム】3つの破壊と津波を引き起こした震源域

東日本大震災の特徴は、マグニチュードの大きさだけではない。

海底の広い範囲で断層が動き、巨大な地殻変動を引き起こしたことが、津波災害の規模にも関係している。

断層の長さは約450km、幅は約200km

気象庁が2011年3月25日に公表した第28報では、遠地地震波形を利用した震源過程の解析結果として、次の数値が示されている。

解析項目 推定結果
断層の長さ 約450km
断層の幅 約200km
最大すべり量 約20〜30m
主な破壊の継続時間 約3分
大きな破壊 3回

長さ約450km、幅約200kmという断層の広がりは、単一の小さな震源だけでは説明できない巨大な破壊だったことを示している。

また、最大20〜30m程度というすべり量は、断層面の一部で岩盤が大きく動いたことを意味する。

このような大規模なプレート境界の地震では、海底の上下変動が発生し、大量の海水が移動することで津波が生じる。

なぜ巨大津波が発生したのか

東北地方太平洋沖地震は、太平洋プレートと陸側のプレートの境界で起きた海溝型地震だった。

地震によって海底が大きく変動すると、その上にある海水も押し上げられたり引き下げられたりする。その結果、津波が発生し、沿岸へ伝わっていく。

消防庁の平成23年版消防白書では、この地震がM9.0の大規模な海溝型地震であり、震災による被害の大半が津波に起因したと整理されている。

つまり、東日本大震災の被害を理解する際には、最大震度7という揺れだけでなく、海底の広範囲な断層運動と、それによって発生した津波を一体として考える必要がある。

気象庁の観測データで確認できること

東日本大震災について、気象庁は震源位置、マグニチュード、震度分布、各地の地震観測データ、強震波形などを公開している。

こうした記録は、当時の地震を振り返るだけでなく、地震の規模や破壊過程を研究するうえでも重要な資料となっている。

特に、速報値と詳細解析後の値を比較することで、巨大地震の規模を短時間で評価することの難しさも理解できる。

【プロの結論】東日本大震災のマグニチュードで間違えやすい5つのポイント

東日本大震災のマグニチュードを調べる際には、数字だけを覚えるのではなく、どの指標で、何を評価した数字なのかを理解することが大切だ。

特に間違えやすい点を整理する。

1. 東日本大震災の本震はMw9.0。 気象庁が公表する正式な代表値はモーメントマグニチュード9.0である。
2. 速報値7.9が最終値ではない。 追加観測と解析によって数値が更新された。
3. Mj8.4とMw9.0は別の指標。 計算方法が異なるため、単純な数値の増加として扱わない。
4. 最大震度7は宮城県栗原市で観測。 日本全国が震度7だったわけではない。
5. 津波被害と地震の揺れは区別する。 マグニチュードだけでは津波の高さや個別地域の被害を判断できない。

2026年現在も、東日本大震災の地震記録は防災教育や地震研究における重要な資料であり続けている。

地震情報を正しく理解するためには、速報値、暫定値、最終的な解析値を区別し、気象庁などの観測機関が公表する一次資料を確認することが有効だ。

【東日本大震災のマグニチュード】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:東日本大震災のマグニチュードはいくつですか?

A1:気象庁が公表する東日本大震災の本震のマグニチュードは、モーメントマグニチュード(Mw)9.0です。日本の観測史上最大の地震として記録されています。

Q2:東日本大震災のマグニチュードはなぜ8.8から9.0に変更されたのですか?

A2:気象庁が外国の地震観測データなどを用いて詳細に解析した結果、3つの巨大な破壊が連続して発生していたことが分かったためです。2011年3月13日に、8.8から9.0へ更新されました。

Q3:東日本大震災の最大震度はいくつで、どこで観測されましたか?

A3:最大震度は7です。宮城県栗原市で観測されました。なお、マグニチュード9.0は地震全体の規模、震度7は特定地点での揺れの強さを表しています。

まとめ:東日本大震災のマグニチュード9.0が示すもの

東日本大震災の本震は、2011年3月11日14時46分に三陸沖で発生した、モーメントマグニチュード9.0の巨大地震だった。

震源の深さは24km、最大震度は宮城県栗原市で観測された7。発生直後の速報値7.9から、気象庁マグニチュード8.4、モーメントマグニチュード8.8を経て、詳細解析によって9.0へと更新された。

この修正の背景には、3つの巨大な破壊が連続して発生したという複雑な震源過程があった。

また、マグニチュードと震度は異なる指標であり、Mw9.0という規模と、栗原市で記録された震度7は、それぞれ別の意味を持っている。

東日本大震災の数字を正しく理解するための最も重要な基準は、「Mw9.0・震源の深さ24km・最大震度7」の3つを区別して覚えることだ。

巨大地震の記録は、単なる過去の数値ではない。地震の発生メカニズムや津波の危険性を理解し、将来の防災に生かすための科学的な教訓でもある。


主な参考資料・公的機関

- 気象庁「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」観測・解析データ
- 気象庁「地震情報等に用いるマグニチュードについて」
- 気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」
- 気象庁「平成23年3月13日 東北地方太平洋沖地震について(第15報)」
- 気象庁「平成23年3月25日 東北地方太平洋沖地震について(第28報)」
- 総務省消防庁「平成23年版 消防白書」
- 地震調査研究推進本部「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の評価」
- アメリカ地質調査所(USGS)「20 Largest Earthquakes in the World Since 1900」