チャネルキャットフィッシュとは?2026年最新分布・霞ヶ浦の被害と規制を徹底解説
チャネルキャットフィッシュは、北アメリカ原産の大型淡水魚で、日本では「アメリカナマズ」の通称でも知られています。体長1mを超える個体も存在し、口の周囲に8本のヒゲを持つ独特の姿が特徴です。食欲旺盛な雑食性で、魚類やエビ類などを捕食することから、日本の水辺では生態系や漁業への影響が問題になっています。
日本には1971年に水産・養殖などの目的で導入され、その後、霞ヶ浦や利根川水系を中心に定着しました。2005年には外来生物法に基づく特定外来生物に指定されています。さらに2026年には、霞ヶ浦での自然繁殖を裏付ける研究報告も公表されました。分布拡大を防ぐうえで、新たな局面を迎えています。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 魚の正体:チャネルキャットフィッシュは北アメリカ原産のナマズの仲間で、最大約1.3mに成長する。
- 日本での問題:霞ヶ浦ではワカサギやシラウオ、テナガエビなどへの捕食被害が研究で確認されている。
- 2026年の注目情報:霞ヶ浦で採集された卵と仔魚から、日本国内で初めて自然繁殖が確認された。
- 法律上の扱い:特定外来生物のため、生きたままの飼育・保管・運搬・放流などは原則禁止されている。
- 釣ったときの対応:生きたまま持ち帰らず、取り扱いには背びれ・胸びれの鋭い棘にも注意する。
【チャネルキャットフィッシュとは?】原産地・特徴・アメリカナマズの正体

チャネルキャットフィッシュの基本プロフィール

チャネルキャットフィッシュ(Channel catfish)は、ナマズ目アメリカナマズ科に属する淡水魚です。
学名は Ictalurus punctatus。日本ではアメリカナマズという名前が広く使われています。
名前に「アメリカ」と付いているとおり北アメリカに自然分布し、食用魚や釣りの対象魚としても利用されてきました。
基本的な特徴は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | チャネルキャットフィッシュ |
| 通称 | アメリカナマズ |
| 学名 | Ictalurus punctatus |
| 分類 | ナマズ目アメリカナマズ科 |
| 原産地 | 北アメリカ |
| 自然分布 | カナダ南部、アメリカ、メキシコ北東部 |
| 成魚の大きさ | 全長約60〜100cm |
| 最大サイズ | 約130cm |
| 食性 | 雑食性・動物食中心 |
| 繁殖期 | 春〜夏(主に5〜7月) |
| 日本での扱い | 特定外来生物 |
国立環境研究所の侵入生物データベースや北海道庁の生物情報によると、本種は河川、湖沼などに生息し、比較的深い水底を利用する一方、餌を探す際には浅場にも移動します。
水温への適応範囲も広く、北海道庁の解説では水温0〜32℃で生息可能とされています。日本の幅広い淡水環境に適応できることも、定着が問題になる理由の一つです。
見た目の特徴は8本のヒゲと深く切れ込んだ尾びれ

チャネルキャットフィッシュを見分ける際、注目したいのは顔と尾びれです。
代表的な特徴は以下のとおりです。
- 口ひげは4対8本:鼻孔付近、上顎、下顎にそれぞれヒゲがある。
- 尾びれは深く二股に分かれる:上下の先端が比較的鋭く尖っている。
- 背びれの後方に脂びれがある:小さな独立したひれが確認できる。
- 体色は灰色から黒灰色:腹側は白っぽく、体側には小さな黒い斑点が見られる。
- 背びれと胸びれに鋭い棘がある:捕獲時に手を傷つける危険がある。
特に特徴的なのが、背びれと胸びれにある硬い棘です。
釣り上げた際に不用意につかむと、棘が手に刺さることがあります。大型個体は力も強いため、見た目だけで判断して素手で扱うのは避けるべきです。
また、成長した個体では体色が黒っぽくなり、幼魚で目立つ斑点が不明瞭になる場合があります。斑点だけを識別基準にすると、成魚を見誤る可能性があります。
日本のナマズとの違いは?見分け方を比較
チャネルキャットフィッシュと日本のナマズ(マナマズ)は、どちらもナマズ目に属するため、外見が似ています。
しかし、分類上は別の科に属する魚です。
| 比較項目 | チャネルキャットフィッシュ | 日本のナマズ |
|---|---|---|
| 分類 | アメリカナマズ科 | ナマズ科 |
| ヒゲ | 4対8本 | 成魚は2対4本 |
| 尾びれ | 深く二股に分かれる | 浅く二股に分かれる |
| 背びれ | 三角形に近い | 非常に小さい |
| 脂びれ | あり | なし |
| しりびれ | 比較的短い | 基底が長い |
| 体色 | 灰色・黒灰色、黒斑 | 茶褐色・オリーブ色など |
| 大きさ | 最大約130cm | 通常約60cm |
最も分かりやすい識別ポイントは、ヒゲの本数、脂びれ、尾びれの切れ込みです。
日本のナマズは成魚になるとヒゲが4本になります。一方、チャネルキャットフィッシュは4対8本のヒゲを持っています。
また、背びれの後方に独立した脂びれがあることも重要な違いです。
ただし、幼魚では日本のナマズにも下顎に2対のヒゲがあるため、ヒゲの数だけで判断するのは適切ではありません。複数の特徴を組み合わせて確認する必要があります。
環境省の特定外来生物同定マニュアルや国立環境研究所の魚類データベースでも、こうした形態的な違いが示されています。
【アメリカナマズの生態】食性・繁殖力・日本への侵入経緯
チャネルキャットフィッシュの食性は?何を食べる魚なのか
チャネルキャットフィッシュは雑食性で、動物性の餌を中心に幅広い食物を利用します。
幼魚と成魚では、主に食べるものが異なります。
幼魚の主な餌
- 水生昆虫
- 小型の甲殻類
- 水中の小さな無脊椎動物
成魚の主な餌
- 小魚
- エビ
- カニ
- 貝類
- カエル
- 水生昆虫
- 植物や藻類
成長するにつれて捕食できる餌の種類が増え、周辺環境に存在するさまざまな生物を利用します。
この食性の幅広さは、特定の餌だけに依存しないという意味で、生息環境への適応力を高める要因です。
さらに、霞ヶ浦で行われた摂餌活動の研究では、昼夜を問わず餌を食べるものの、比較的夜間に活動が活発になる傾向が示されています。
2013年8月から2014年5月にかけて実施された調査では、685個体を採集して胃内容物を分析。テナガエビや魚類、イサザアミ、植物・藻類などが主な餌として確認されました。
この研究では、霞ヶ浦の水産上重要な生物のうち、特にテナガエビが強い捕食圧を受けていると考察されています。
繁殖生態は?オスが卵を守る独特の習性
チャネルキャットフィッシュの繁殖期は春から夏にかけてです。日本では主に5〜7月が産卵期とされています。
特徴的なのは、オスが産卵場所を整え、卵を保護することです。
繁殖の流れは次のようになります。
1. オスが岩陰や倒木の下、岸辺のくぼみなどに巣を作る。
2. メスが巣の中に卵を産む。
3. 産卵後、オスが卵を守る。
4. オスは胸びれを動かして水流を作り、卵に新鮮な水を送り込む。
5. 孵化した稚魚が成長を始める。
国立環境研究所の侵入生物データベースでは、産卵数は推定4,000〜35,000個とされています。
卵は水温15〜28℃であれば、5〜10日程度で孵化するという情報も掲載されています。
北海道庁の解説では産卵数を約2万〜5万粒と紹介しており、資料によって推定値には幅があります。
重要なのは、単純に卵の数が多いだけではありません。オスによる保護行動があり、適した産卵場所があれば自然環境下で繁殖できることです。
日本への侵入経緯は?1971年の導入から全国への拡大へ
チャネルキャットフィッシュが日本に持ち込まれたのは、1971年です。
国立環境研究所のデータベースによると、カリフォルニアから輸入され、養殖用・観賞用として利用されました。
その後、霞ヶ浦では1973〜1978年ごろに生息が確認されています。
日本への侵入・拡散の経緯を整理すると、次のようになります。
| 年代 | 出来事 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 1971年 | カリフォルニアから輸入 | 養殖用・観賞用として導入 |
| 1973〜1978年ごろ | 霞ヶ浦で確認 | 自然水域への侵入が判明 |
| 1980年代 | 利根川水系などで定着・拡大 | 養魚池などからの逸出が問題に |
| 2000年前後 | 霞ヶ浦で個体数が増加 | 在来生物や漁業への影響が顕在化 |
| 2005年6月1日 | 特定外来生物に指定 | 外来生物法による規制対象となる |
| 2024年6月 | 北海道江別市で初確認 | 北海道での侵入事例が判明 |
| 2026年4〜6月 | 国内初の自然繁殖記録を公表 | 霞ヶ浦で卵・仔魚を確認 |
利根川水系への拡大については、養魚池や釣り堀などからの逸出が関係したとする報告があります。
農林水産省の調査報告書では、1982年の台風によって埼玉県の養魚池から江戸川へ逸出したことが、利根川水系での拡散のきっかけになったとされています。
ただし、霞ヶ浦への導入と利根川水系への拡散は、それぞれ異なる経緯を持つため、すべてを一つの出来事で説明することはできません。
2000年前後には霞ヶ浦、2002年ごろには北浦で個体数の増加が指摘されました。
【チャネルキャットフィッシュの日本分布は?】2026年最新情報と霞ヶ浦の現状
現在の日本での分布地域
2026年11月現在、チャネルキャットフィッシュは関東地方だけでなく、東北から近畿、さらに九州の一部まで確認されています。
国立環境研究所の侵入生物データベースに掲載されている主な確認地域は次のとおりです。
- 北海道
- 福島県・阿武隈川水系
- 茨城県・霞ヶ浦・北浦
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県
- 千葉県
- 東京都
- 神奈川県
- 新潟県
- 長野県
- 岐阜県
- 愛知県
- 三重県
- 滋賀県・琵琶湖
- 京都府
- 大阪府
- 奈良県
- 熊本県
ただし、これは都道府県単位の確認情報を含む分布であり、記載された都道府県の全域に生息しているという意味ではありません。
主な侵入水系としては、阿武隈川水系、利根川水系、琵琶湖・淀川水系などが挙げられます。
2025年度までの調査から見える分布拡大
2025年に公表された東京大学大気海洋研究所の吉田誠氏による分布状況の整理では、環境省が実施した自治体アンケートの結果が分析されています。
この調査は、2023年度と2024年度の回答を比較したものです。
| 調査項目 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 調査対象自治体 | 1,741 | 1,741 |
| 有効回答数 | 1,369 | 1,642 |
| 有効回答率 | 78.6% | 94.3% |
| 確認された自治体数 | 46 | 68 |
| 対象自治体に対する割合 | 2.6% | 3.9% |
この結果からは、確認自治体数の増加が読み取れます。
さらに、既存の全国分布資料には掲載されていなかった確認事例として、新潟県新潟市の信濃川、神奈川県横浜市の岸根公園、鹿児島県鹿児島市の甲突川、熊本県小国町の杖立川、三重県明和町の祓川、長野県中川村の天竜川などが取り上げられました。
特に三重県と長野県の事例は、2019〜2020年ごろ、2022年という比較的新しい確認時期の記録です。
なお、2026年現在の国立環境研究所のデータベースでは、2025年度の環境省による市区町村別侵入状況調査の結果も案内されています。
自治体アンケートによる市区町村別情報と、標本・写真・研究報告などを基にした都道府県別情報は、集計方法が異なるため一致しない場合があります。確認地域の一覧を、そのまま現在の生息密度や定着範囲と解釈しないことが大切です。
【2026年の重要発見】霞ヶ浦で国内初の自然繁殖を確認
2026年のチャネルキャットフィッシュ研究で特に注目したいのが、霞ヶ浦における自然繁殖の確認です。
山崎和哉氏と加納光樹氏による研究報告が、2026年の『魚類学雑誌』第73巻第1号に掲載されました。
研究では、2023年6月下旬に霞ヶ浦のヨシ帯再生区域周辺にある消波用の石積み域を調査。その石の隙間から、チャネルキャットフィッシュの卵塊3個が採集されました。
卵塊の大きさは約17〜21cmです。
さらに、卵から孵化した仔魚について形態的な特徴を調べ、ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子による分析も実施しました。
その結果、チャネルキャットフィッシュであることが確認され、日本国内で初めて自然繁殖を裏付ける記録となりました。
この研究で重要なのは、単に成魚が生息していることが確認されたのではない点です。
これまで日本各地で成魚の捕獲が報告されていましたが、今回の研究によって、霞ヶ浦の人工的な石積み環境が産卵場所として機能する可能性も示されました。
つまり、外から持ち込まれた個体が存在するだけでなく、国内の水域で次世代を生み出す繁殖環境が成立していることが、具体的な証拠によって示されたのです。
今後の防除では、成魚の捕獲だけでなく、産卵場所や仔魚の発生状況にも目を向ける必要があります。
霞ヶ浦の漁業被害はどれほど深刻なのか
霞ヶ浦はワカサギ、シラウオ、テナガエビなどの水産資源に恵まれた湖です。
しかし、チャネルキャットフィッシュの増加により、漁業者は漁獲対象となる魚介類への食害や、漁具の損傷といった問題に直面しています。
特に問題となっているのが、張網の内部で発生する捕食です。
張網は魚を捕獲するための漁具ですが、チャネルキャットフィッシュが同時に入網した場合、網の中に閉じ込められたワカサギやシラウオなどを食べてしまうことがあります。
2021年に日本水産学会誌で発表された研究では、2016年6〜8月と2017年3〜8月に霞ヶ浦で採集した個体の胃内容物が調べられました。
その結果、張網内での漁獲物の被食率は次のように推定されています。
| 餌となった生物 | 推定被食率 |
|---|---|
| ワカサギ | 74% |
| シラウオ | 80% |
| ウキゴリ | 30%以上 |
| テナガエビ | 30%以上 |
ここでいう被食率は、張網に入った漁獲物が捕食された割合の推定値であり、湖全体の個体数減少率や漁獲量の減少率ではありません。
それでも、漁具の中で漁獲対象生物が捕食される実態を示した重要なデータです。
また、背びれや胸びれの棘によって漁業者が負傷したり、漁網やほかの漁獲物が傷ついたりする問題も報告されています。
チャネルキャットフィッシュの被害は、単に在来魚を食べるという生態系の問題にとどまりません。漁業の作業効率や経営にも関係する問題なのです。
2024年の駆除試験で分かった課題
茨城県の霞ヶ浦北浦海区漁業調整委員会では、2024年2月5日から29日までの25日間、アメリカナマズの駆除試験が実施されました。
目的は、ワカサギの混獲を避けながらチャネルキャットフィッシュを捕獲することです。
試験では、通常の網と、目合いを約4cmに広げた網を比較しました。
結果として、通常網では小型のアメリカナマズが1統当たり約245〜330尾捕獲されたのに対し、試験網では小型個体が捕獲されませんでした。
また、通常網で捕獲されたアメリカナマズの胃内容物からは、シラウオが最大約70尾確認された個体もありました。
ただし、同時期のワカサギ資源が極めて低い状態だったため、ワカサギの混獲をどれほど回避できたかについては、この試験だけでは十分に検証できませんでした。
この結果は、駆除を進めれば問題が解決するという単純な話ではないことを示しています。
在来魚を守りながら外来魚を効率的に減らすには、捕獲方法や網の目合い、実施時期などを組み合わせて検討する必要があります。
【特定外来生物に指定】外来生物法の規制と飼育・運搬・放流の禁止事項
なぜ特定外来生物に指定されたのか
チャネルキャットフィッシュは、2005年6月1日に特定外来生物に指定されました。
その根拠となるのが「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、いわゆる外来生物法です。
この法律は、海外から持ち込まれた生物によって、日本の生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害が発生することを防ぐために制定されています。
チャネルキャットフィッシュの場合、指定の背景には次のような問題があります。
- 大型になる捕食者であること。
- 魚類や甲殻類など幅広い生物を捕食すること。
- 在来生物の生息状況に影響を与えるおそれがあること。
- 低水温にも適応でき、日本の河川や湖沼に定着する可能性があること。
- 漁業対象の魚介類を捕食し、漁業被害につながること。
環境省は2005年6月3日の公表資料で、チャネルキャットフィッシュを含む20種類について防除の公示を行ったことを発表しています。
さらに、2015年には生態系被害防止外来種リストの緊急対策外来種にも位置付けられています。
外来生物法で禁止されている行為
特定外来生物に指定されているチャネルキャットフィッシュには、一般的な魚の飼育とは異なる厳しい規制が適用されます。
環境省の外来生物法に関する説明では、原則として次の行為が禁止されています。
| 行為 | 法律上の扱い |
|---|---|
| 生きたまま飼育する | 原則禁止 |
| 生きたまま保管する | 原則禁止 |
| 生きたまま運搬する | 原則禁止 |
| 輸入する | 原則禁止 |
| 販売する | 原則禁止 |
| 無許可で譲渡・引き渡しする | 原則禁止 |
| 野外に放流する | 原則禁止 |
学術研究など、法律で認められた目的については、主務大臣の許可を得て取り扱える場合があります。
ただし、一般的な観賞目的で新たに飼育を始めることは認められていません。
特に注意したいのが、釣った魚を生きたまま自宅に持ち帰る行為です。
たとえ自分の所有する水槽で飼育するつもりであっても、生きたままの運搬や保管は規制の対象になります。
釣ったアメリカナマズはどうすればいい?
釣りをしていてチャネルキャットフィッシュを捕獲した場合、まず重要なのは、生きたまま別の場所へ移動させないことです。
環境省の説明では、野外で捕獲した特定外来生物をその場で直ちに放す行為は、外来生物法の規制対象ではありません。
つまり、釣りにおけるキャッチアンドリリース自体は、同法では禁止されていません。
一方、持ち帰るために生きたまま運搬することは禁止されています。
北海道庁などの自治体が案内している対応は、次のとおりです。
1. 魚の背びれ・胸びれの鋭い棘に注意する。
2. 生きたまま持ち運ばない。
3. 持ち帰る場合は、その場で適切に殺処分する。
4. 死骸を釣り場や道路脇などに放置しない。
5. 地域の自治体や環境省の案内に従って適切に処分する。
特に死骸を陸上に放置する行為は、衛生面や野生動物への餌やりなどの問題につながります。
北海道庁は、死骸の放置について廃棄物処理法違反になるおそれも指摘しています。
見つけたときの情報提供も重要
釣り上げた魚がチャネルキャットフィッシュかどうか判断できない場合は、無理に持ち帰らず、自治体や環境省の地方環境事務所に確認する方法があります。
特に、これまで確認されていなかった水域で発見した場合には、発見場所や日時、写真などの情報が分布状況の把握に役立ちます。
2024年6月23日には北海道江別市中島の河川で1個体が捕獲され、北海道内で初めての確認事例となりました。
その後、環境省は発見地点周辺の8地点と北海道内の89地点で環境DNA調査を実施しましたが、いずれの地点からも本種のDNAは検出されませんでした。
江別市は、この結果から当時の北海道内での生息密度は極めて低く、定着している可能性も低いと推測しています。
この事例からも、1匹が見つかったことと、その地域に繁殖集団が定着していることは区別して考える必要があります。
【プロの結論】チャネルキャットフィッシュ問題で本当に注目すべき3つのポイント
チャネルキャットフィッシュの問題は、外来魚が増えたという一言だけでは説明できません。
2026年までの研究や行政資料を整理すると、今後の対策で特に重要になる論点は3つあります。
1. 成魚の駆除だけでは繁殖の抑制につながらない可能性がある
2026年の研究で確認されたのは、霞ヶ浦の石積み域における卵と仔魚です。
この結果は、成魚が捕獲される場所と、繁殖が行われる場所が必ずしも一致しない可能性を示しています。
成魚を減らす取り組みと並行して、産卵環境や仔魚の発生状況を把握することが重要です。
特に人工的な石積みや護岸など、人間が整備した水辺が繁殖場所として機能する可能性は、今後の水辺管理を考えるうえでも見逃せません。
2. 霞ヶ浦の漁業被害は捕食だけではない
チャネルキャットフィッシュによる影響は、在来魚やエビ類を食べることだけではありません。
張網の中で漁獲対象生物を捕食すること、鋭い棘によって漁業者が負傷すること、網や漁獲物が損傷することも問題です。
2021年の日本水産学会誌の研究と2024年の茨城県の駆除試験を合わせて考えると、漁業現場では外来魚を減らすことと、漁獲対象の魚を守ることを同時に進めなければならない状況が分かります。
3. 分布情報の更新と市民からの情報提供が欠かせない
2025年度までの環境省関連調査や2026年の北海道庁の情報からも、分布状況は固定されたものではないことが分かります。
これからは、河川や湖沼で新たに確認された個体について、写真や発見地点、確認日時などの記録を蓄積することが重要です。
一方で、確認情報がある地域と、実際に繁殖集団が成立している地域を混同してはいけません。
自治体アンケート、捕獲記録、環境DNA調査、卵・仔魚の確認など、それぞれの情報の性質を踏まえた判断が必要です。
本当に重要なのは、単に捕獲数を増やすことではなく、どこで繁殖し、どの在来生物に影響を与え、どの対策が有効なのかを科学的に把握することです。
【チャネルキャットフィッシュに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:チャネルキャットフィッシュとアメリカナマズは別の魚ですか?
A1:同じ魚です。チャネルキャットフィッシュが和名で、アメリカナマズは日本で広く使われている通称です。学名は Ictalurus punctatus です。
Q2:チャネルキャットフィッシュは日本のどこにいますか?
A2:霞ヶ浦・北浦、利根川水系、阿武隈川水系、琵琶湖・淀川水系などで確認されています。2026年現在、北海道から九州まで確認記録がありますが、都道府県内の全域に分布しているわけではありません。
Q3:チャネルキャットフィッシュは毒を持っていますか?
A3:注意すべきなのは、背びれと胸びれにある鋭い棘です。不用意につかむと刺傷を負う危険があります。捕獲時には素手で扱わないようにしてください。
Q4:チャネルキャットフィッシュを釣ったら逃がしてもいいですか?
A4:外来生物法では、捕獲した場所ですぐに放すキャッチアンドリリースは規制対象ではありません。ただし、生きたまま別の場所へ運搬することは禁止されています。
Q5:チャネルキャットフィッシュを自宅で飼育できますか?
A5:一般的な観賞目的で新たに飼育することはできません。特定外来生物に指定されているため、飼育・保管・運搬などは原則禁止です。研究などの例外には正式な許可が必要です。
Q6:チャネルキャットフィッシュは霞ヶ浦で繁殖していますか?
A6:はい。2026年に公表された研究で、霞ヶ浦の石積み域から卵塊と仔魚が採集され、国内初の自然繁殖記録として報告されました。採集自体は2023年6月に行われています。
Q7:チャネルキャットフィッシュは食べられますか?
A7:魚そのものは食用に利用できる魚です。ただし、特定外来生物であるため、生きたままの運搬は禁止されています。食用利用を考える場合も、適法な捕獲・処理・流通の仕組みを利用する必要があります。
まとめ:チャネルキャットフィッシュの2026年最新状況と今後の課題
チャネルキャットフィッシュは、北アメリカから日本に持ち込まれた大型の淡水ナマズです。幅広い食性、環境への適応力、オスによる卵の保護などの生態的特徴を持ち、日本の河川や湖沼にも定着しています。
特に霞ヶ浦では、ワカサギやシラウオ、テナガエビなどへの捕食被害が研究によって明らかになり、漁業への影響が問題となっています。
そして2026年には、霞ヶ浦で採集された卵と仔魚によって国内初の自然繁殖記録が公表されました。これは日本の外来魚対策にとって重要な研究成果です。
今後、特に注目したいのは次の3点です。
- 霞ヶ浦における産卵場所と繁殖状況の継続調査
- 利根川水系や琵琶湖・淀川水系などでの分布拡大防止
- 漁業被害を抑えながら在来生物を守る効果的な駆除方法の開発
チャネルキャットフィッシュは、見た目が日本のナマズに似ていても、法律上の扱いは大きく異なります。
釣り人や水辺を利用する人にとって大切なのは、正確に見分け、無許可で生きたまま運ばず、発見情報を適切に共有することです。
2026年の自然繁殖確認は、外来魚対策が次の段階に入ったことを示しています。 今後は個体数の管理だけでなく、繁殖環境の把握と水域全体の生態系保全を組み合わせた取り組みが求められます。