【関連語を理解する】妾腹・妾宅とは?歴史に残る言葉の意味

目次

妾という漢字は、単独で使われるだけでなく、複合語としても日本の歴史や文学に登場します。

特に知っておきたいのが「妾腹」と「妾宅」です。

妾腹(めかけばら・しょうふく)の意味

妾とは

妾腹とは、妾との間に生まれた子ども、または妾の子として生まれることを意味します。

読み方は主に次の二つです。

- めかけばら
- しょうふく

歴史的には、妾腹の子どもは「庶子」と呼ばれることがありました。

ただし、妾腹と私生児を完全に同じ意味で理解するのは正確ではありません。

明治初期には、妾の子どもが法律上の庶子として認められる制度がありました。早稲田大学の公開論文でも、当時の法律では妾の子と、妾ではない女性との間に生まれた子どもが区別されていたことが説明されています。

つまり、妾腹という言葉には、単なる出生の説明だけでなく、当時の家族制度や相続制度に関係する歴史的な背景があるのです。

妾宅(しょうたく)の意味

妾宅とは、妾を住まわせておく家を意味します。

読み方は「しょうたく」です。

男性が正妻と暮らす本宅とは別に、妾のための住居を設けた場合、その住居を妾宅と呼びました。

小学館の『デジタル大辞泉』でも、妾宅は「めかけを住まわせる家」と説明されています。

ただし、妾が必ず別宅で暮らしていたわけではありません。江戸時代の大名家では、城内の奥向など、家の内部に生活空間が設けられる場合もありました。

妾に関連する言葉の一覧

言葉 読み方 意味
妾 めかけ・しょう 正妻以外に養われる女性
愛妾 あいしょう 特に愛されている妾
妻妾 さいしょう 正妻と妾
妾腹 めかけばら・しょうふく 妾の子、妾から生まれること
妾宅 しょうたく 妾を住まわせる家
側室 そくしつ 貴人の妾
庶子 しょし 正妻以外から生まれた子などを指す歴史的な呼称

こうした熟語を知っておくと、歴史小説や古典文学、時代劇に出てくる家族関係を理解しやすくなります。

【2026年の法律と現代語】妾という立場は現在も認められる?

歴史上の妾と、現代の婚外関係は区別して考える必要があります。

現在の日本では、妾を正式な配偶者の一種として登録する制度はありません。

現代の日本では重婚が禁止されている

現行の民法第732条では、配偶者のある人は重ねて婚姻できないと定められています。

つまり、法律上の妻がいる男性が、別の女性と同時に法律上の婚姻関係を結ぶことはできません。

また、民法第770条第1項第1号では、配偶者に不貞な行為があった場合を裁判上の離婚原因の一つとして定めています。

ただし、婚外の交際関係があれば、あらゆる場合に自動的に離婚が成立するという意味ではありません。法律上の判断には個別の事情が関係します。

現代では「妾」よりも「愛人」「婚外のパートナー」が使われる

現代の会話では、妾という表現はあまり一般的ではありません。

主に歴史的な説明や文学作品、古い家族関係を表現するときに使われます。

一方、現代の男女関係について説明する場合は、状況に応じて次のような表現が使われます。

- 愛人: 配偶者以外の親密な相手を指す場合に使われる。
- 不倫相手: 既婚者が配偶者以外と恋愛・性的関係を持つ場合の表現。
- 婚外のパートナー: 婚姻関係の外にいる交際相手を比較的中立的に表す。
- 内縁の配偶者: 婚姻届は出していないものの、夫婦として共同生活を営む関係を表す。

これらはすべて意味が異なります。

特に内縁の配偶者は、単なる愛人とは異なる法的な論点を持つ関係です。婚姻届の有無だけでなく、実際の共同生活や婚姻意思などが問題になります。

現代の人間関係を説明するときに、妾という歴史的な言葉を安易に当てはめないことが大切です。

【よくある誤解を検証】妾について知っておきたいポイント

妾という言葉には、読み方や歴史的な身分に関する誤解が少なくありません。特に次の点は整理しておきたいところです。

- 妾は必ずしも側室と同じ立場ではない。
- 妾という言葉は、単に恋愛関係にある女性を指すわけではない。
- 江戸時代のすべての男性が妾を持っていたわけではない。
- 「妾腹」は単純に私生児と同じ意味ではない。
- 「妾は天使ぢゃない」の妾は「めかけ」ではなく「わたし」と読む。

妾という言葉を正確に理解するには、辞書上の意味だけでなく、使われた時代や社会的な背景まで確認することが重要です。

【妾とはに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:妾の正しい読み方は「めかけ」と「しょう」のどちらですか?
A1:どちらも正しい読み方です。「めかけ」は一般的な訓読み、「しょう」は音読みです。女性の謙譲的な一人称として「わらわ」「わたくし」と読む用法もあります。

Q2:妾と側室は同じ意味ですか?
A2:完全に同じではありません。妾は正妻以外に扶養される女性を広く指し、側室は主に将軍や大名など身分の高い男性の妾を指す歴史的な呼称です。

Q3:妾と愛人の違いは何ですか?
A3:妾には、正妻以外の女性を継続的に養うという意味合いがあります。一方、愛人は愛情や性的関係を持つ相手を指し、経済的な扶養関係は必須ではありません。

Q4:妾腹とはどういう意味ですか?
A4:「めかけばら」または「しょうふく」と読み、妾との間に生まれた子どもや、その出生を意味します。歴史的には庶子という呼称とも関係しています。

Q5:1933年の映画『妾は天使ぢゃない』は何と読みますか?
A5:「わたしはてんしじゃない」と読みます。原題は『I'm No Angel』で、メイ・ウェストとケーリー・グラントが出演した1933年製作のアメリカ映画です。

Q6:現代の日本でも妾という制度は認められていますか?
A6:妾を法律上の配偶者として認める制度はありません。現行民法では重婚が禁止されており、歴史上の妾制度とは法的な位置づけが異なります。

まとめ:【プロの結論】妾の意味は読み方と歴史的背景で理解する

妾とは、基本的に正妻以外に関係を持ち、扶養される女性を意味する言葉です。一般的には「めかけ」、音読みでは「しょう」と読みます。

一方、古語では女性が自分をへりくだって表現する一人称として「わらわ」「わたくし」という意味も持っています。1933年の映画『妾は天使ぢゃない』における「わたし」という読みも、この漢字の別の用法を知るうえで興味深い例です。

歴史的には、江戸時代の武家社会において、妾や側室は家の継承や後継者確保と深く結びついていました。さらに明治初期には法律や戸籍制度で一定の位置づけがあり、その後、近代的な婚姻制度への移行とともに法的な扱いが変化しました。

【プロの結論】 妾という言葉を正しく理解するための判断基準は、①女性を指す名詞なのか自称なのか、②歴史的な側室なのか一般的な愛人なのか、③当時の社会制度と現代の法律のどちらを説明しているのか、という3点です。

この3つを区別すれば、古典文学、歴史ドラマ、映画、現代のニュースで「妾」という漢字に出会っても、文脈に応じた正確な意味を理解できます。