熊猟友会とは?報酬・出動拒否の理由と積丹町問題、2026年最新動向を徹底解説

目次

「熊猟友会」とは、どのような組織なのでしょうか。住宅地や農地にクマが出没した際、自治体からの要請を受けて現場に向かい、捕獲や駆除、住民の安全確保に協力するのが、地域の猟友会に所属するハンターたちです。

しかし、その活動は決して簡単ではありません。危険を伴う仕事でありながら、報酬や日当には自治体ごとに大きな差があり、ハンターの高齢化や担い手不足も深刻です。2025年には北海道積丹町で猟友会が出動を拒否する問題が発生し、自治体とハンターの関係、駆除現場の安全管理が改めて問われました。

2026年11月現在、緊急銃猟制度の運用や国のクマ対策ロードマップも進んでいます。環境省の最新公表資料や自治体の対応、報道された事例をもとに、熊猟友会の仕組み、報酬、出動拒否の背景、今後の課題を詳しく解説します。


📌 この記事の重要ポイントまとめ
- 熊猟友会とは: 地域の狩猟者を中心に構成され、自治体と連携してクマの捕獲や被害防止に取り組む団体。
- 報酬と出動拒否: 日当や捕獲報奨金には地域差があり、安全確保や待遇への不満が出動判断に影響する。
- 積丹町問題: 2025年の出動停止は、町と猟友会による対応マニュアルの作成などを経て解決し、活動が再開された。
- 2026年の最新動向: 緊急銃猟制度の運用が進み、国は自治体の対応体制と捕獲人材の確保を強化している。

【基本知識】熊猟友会とは?組織の仕組みと役割・活動内容を解説

熊猟友会

熊猟友会はどのような組織なのか

熊猟友会という言葉は、クマの捕獲や駆除に携わる猟友会のハンターを指す一般的な呼び方です。

厳密には、熊猟友会という独立した全国統一の公的機関が存在するわけではありません。地域の猟友会や、その会員のうちクマの捕獲に対応できる狩猟者を指して使われることが多い表現です。

全国組織として知られるのが、一般社団法人の大日本猟友会です。

大日本猟友会の公式組織案内によると、猟友会は都道府県ごとに設置され、その下に市町村単位を基本とした支部・地区猟友会が存在します。

組織の基本的な構造は次のとおりです。

- 大日本猟友会:全国組織として狩猟者を支援する。
- 都道府県猟友会:地域の狩猟者をまとめる。
- 支部・地区猟友会:地域に密着した狩猟活動や有害鳥獣対策を担う。
- 会員:狩猟免許の種類などに応じて活動する。

会員の区分には、第一種銃猟、第二種銃猟、網猟、わな猟があります。したがって、猟友会の会員全員が銃を使ってクマの駆除を行えるわけではありません。

熊猟友会の主な役割と活動内容

熊猟友会の活動は、クマを発見して駆除することだけではありません。

自治体からの依頼や地域の被害状況に応じて、捕獲前の準備から捕獲後の処理まで幅広い仕事を担います。

主な活動は以下のとおりです。

1.クマの出没情報の確認

住民や自治体から寄せられる目撃情報をもとに、出没状況を確認します。必要に応じて現場周辺の警戒活動にも協力します。

2.わなの設置・管理

自治体などと連携し、箱わなの設置や撤去、見回りなどを行います。捕獲されたクマへの対応も重要な業務です。

3.クマの捕獲・駆除

人の生活圏に出没し、危険性が高いと判断されたクマについて、法令や自治体の依頼に基づいて捕獲活動に従事します。

4.捕獲後の処理

捕獲した個体の搬送、解体、焼却などの処理に関わる場合もあります。実際の担当範囲は自治体や地域の体制によって異なります。

5.地域住民への被害防止協力

クマの出没状況や注意事項について自治体と情報を共有し、地域の安全対策に協力します。

テレビ朝日の報道では、地域の猟友会を中心とする77人のハンターが、箱わなの設置・撤去、見回り、クマの捕獲、解体処理などを担う事例が紹介されました。

北海道猟友会の存在とヒグマ対策

北海道では、本州のツキノワグマとは異なる大型のヒグマへの対応が求められます。

北海道猟友会は、地域ごとの支部を通じて狩猟者の活動を支えています。

例えば、積丹町の問題では北海道猟友会余市支部が関係しました。

北海道のヒグマ対策は、山間部だけでなく住宅地や農地、学校周辺などにも関係します。現場の地形や周囲の建物、住民の生活環境を把握している地元ハンターの経験は、自治体にとって重要な資源です。

一方、ヒグマの駆除には高度な経験と安全管理が必要です。単に狩猟免許を持っているだけで、誰でも対応できる仕事ではありません。

猟友会と鳥獣被害対策実施隊は何が違う?

混同されやすいのが、鳥獣被害対策実施隊です。

猟友会が狩猟者を会員とする団体であるのに対し、鳥獣被害対策実施隊は、鳥獣被害防止特措法に基づいて市町村が設置する組織です。

猟友会の会員が実施隊員に任命されることもありますが、両者は同じ制度ではありません。

市町村長が任命する非常勤の実施隊員には、条例に基づく報酬や活動中の災害補償が設けられています。

この違いは、ハンターの報酬や法的な立場を理解するうえでも重要です。

【報酬の実態】熊猟友会のハンターの日当・駆除報奨金はいくら?

熊猟友会について関心を集めているテーマの一つが、危険なクマ駆除に対する報酬です。

大型のクマと対峙する仕事であるにもかかわらず、ハンターの報酬は必ずしも高額とは限りません。

ハンターの報酬に全国共通の基準はある?

結論からいえば、クマ駆除の報酬には全国一律の金額が設定されていません。

自治体が設ける制度によって、次のような支給方法があります。

- 出動した時間に応じて支払う時給制
- 1日単位で支払う日当制
- クマを捕獲した場合の報奨金
- 猟友会に対して支払う委託料
- わなの設置や運搬などに対する作業手当

さらに、通常の見回りと市街地での緊急銃猟では、危険性や作業内容が異なるため、報酬体系を分ける自治体もあります。

自治体によって異なる具体的な報酬例

2025年のFNNによる岩手県内の自治体調査では、報酬の違いが明らかになりました。

自治体・地域 報酬の内容 注目点
岩手県遠野市 1人当たり時給952円 時間単位で支給
岩手県一戸町 1頭につき猟友会に5万円、ハンターに時給1,500円 団体への支払いと個人報酬を併用
岩手県平泉町 緊急銃猟で1人当たり3万円 市街地での対応を想定
北海道池田町 ヒグマ駆除報酬を5万円から8万1,300円に引き上げ 国の交付金を活用
秋田市 出動報酬8,000円、捕獲報奨金1万円 2025年度の期間限定措置

この比較から分かるのは、同じクマ駆除でも、自治体によって報酬の考え方が異なるということです。

例えば、1頭当たりの報奨金が設定されていても、それが実際に現場に出たハンター個人へ全額支給されるとは限りません。猟友会への委託料として支払われ、団体内で分配される仕組みもあります。

報酬だけでは分からないハンターの経済的負担

ハンターの収入を考える際には、支給額だけでなく経費にも注目する必要があります。

主な負担は以下のとおりです。

- 猟銃や関連装備の維持費
- 車両の燃料代や移動費
- 防護用品などの購入費
- 装備の修理・交換費用
- 捕獲活動に費やす時間
- 本業を休むことによる収入への影響

クマの出没は予測できません。突然の出動要請に対応するには、仕事や家庭の予定を調整する必要があります。

また、捕獲そのものだけでなく、現場の警戒や捕獲後の処理に時間がかかることもあります。

そのため、単純に1頭当たりの報奨金だけを見て、ハンターの収入が高いと判断するのは適切ではありません。

クマ駆除の費用は誰が負担する?

自治体から猟友会に出動を依頼する場合、基本的には自治体の予算が関係します。

費用には、ハンターへの報酬、委託料、交通費、捕獲後の処理費用、警戒活動に必要な経費などがあります。

緊急銃猟制度では、国の交付金や財政措置を活用できる仕組みも整備されています。

ただし、実際の負担額は自治体の契約内容や地域の事情によって異なります。

ハンターを確保するためには、自治体側にも継続的な予算措置が必要です。

【出動拒否問題】なぜ熊猟友会はクマ駆除の要請を断るのか?積丹町の経緯

猟友会による出動拒否が大きな注目を集めたのが、2025年の北海道積丹町の問題です。

この問題は、単にハンターが駆除に協力しなかったという話ではありません。現場の安全確保、自治体と猟友会の信頼関係、関係者の責任という複数の問題が重なっていました。

積丹町で起きたヒグマ駆除をめぐるトラブル

発端は2025年9月27日です。

北海道積丹町で、町議会副議長の私有地に設置されていた箱わなに、体重284キロのオスのヒグマが捕獲されました。

現場にはハンター9人と役場職員3人が駆けつけました。

駆除に当たり、ハンター側は安全確保のため、土地の所有者である副議長に現場から離れるよう伝えました。

しかし、このやり取りをきっかけに口論が発生します。

北海道放送(HBC)の報道によると、副議長からハンターに対して威圧的な発言があったとされています。

一方、テレビ朝日の報道では、副議長は一部の発言について否定する説明をしていました。

その後、猟友会は駆除現場で安全を確保できないとして、町に活動休止を申し入れました。

積丹町の出動拒否問題を時系列で整理

時期 出来事 関係者と対応
2025年9月27日 体重284キロのヒグマが箱わなに捕獲される ハンター9人、役場職員3人が現場に到着
2025年9月28日 猟友会が活動休止を申し入れる 現場の安全確保を求める
2025年10月 出動停止が継続 地元猟友会が町の要請に応じない状態となる
2025年10月30日 小学校付近の道路にヒグマ2頭が出没 警察官と町職員が警戒活動を実施
2025年11月11日 副議長が支部長に直接謝罪 関係修復に向けた動きが進む
2025年11月12日 町と猟友会が対応マニュアルを作成 現場に第三者が立ち入らないためのルールなどを整備
2025年11月13日 猟友会が活動を再開 町との協議を経て出動体制が復活

この一連の経緯で重要なのは、出動停止が単なる感情的な対立だけではなかったことです。

ハンターは、クマの捕獲に伴う危険だけでなく、現場にいる第三者の行動によっても安全を脅かされる可能性があります。

特に銃器を使用する現場では、関係者が安全管理のルールに従わなければ、周囲の住民にも危険が及びかねません。

積丹町の問題はその後どうなった?

問題は2025年11月に大きく動きました。

11月11日、副議長が北海道猟友会余市支部の支部長に直接謝罪しました。

さらに翌12日には、町長を含む役場職員と猟友会が協議し、クマ駆除に関する対応マニュアルを作成しました。

新たなルールでは、駆除現場に第三者がいる場合、町職員が立ち入らないよう指導することなどが定められました。

その結果、猟友会は11月13日から活動を再開しました。

この経緯は、北海道放送が2025年11月14日に報じています。

つまり、積丹町の問題は、出動拒否が長期間続いたものの、謝罪と安全管理ルールの整備によって活動再開に至った事例です。

2026年のクマ対策を考えるうえでも、自治体と猟友会の間で事前に役割や安全管理を明文化しておく必要性を示しています。

猟友会が出動を拒否する主な理由

積丹町の事例以外にも、出動拒否や協力の難しさにつながる要因があります。

1.現場の安全を確保できない

クマの捕獲現場では、住民や土地所有者、関係者が適切な距離を保つ必要があります。安全管理が徹底されなければ、ハンター自身だけでなく第三者にも危険が及びます。

2.報酬が危険性に見合わない

低い日当や捕獲報奨金では、装備費や移動費などの負担を十分に補えない場合があります。

3.法的責任への不安

銃器を使用する活動では、事故が発生した場合の責任が問題になります。損害賠償や保険、自治体との契約内容が曖昧であれば、ハンターが参加をためらう原因になります。

4.高齢化と人手不足

本業を持つ会員や高齢のハンターに出動が集中すると、継続的な活動が難しくなります。

5.自治体との信頼関係の悪化

現場での指示系統が不明確だったり、ハンターの意見が十分に尊重されなかったりすると、協力関係そのものが損なわれます。

ここで理解しておきたいのは、猟友会の会員が自治体からのすべての出動要請に無条件で応じなければならないわけではないことです。

環境省の緊急銃猟ガイドラインでも、捕獲実施者に応諾義務はないことが説明されています。

出動を断ることには住民の安全という重大な問題が伴いますが、危険な現場に対して適切な安全体制を求めることも、ハンターの正当な問題提起です。

【2026年最新制度】緊急銃猟とは?自治体・警察・猟友会の連携と法的責任

2026年のクマ対策で大きな意味を持つのが、緊急銃猟制度です。

従来は、市街地など人の生活圏にクマが出没した場合、銃猟に関する法律上の制約があり、迅速な対応が難しい場面がありました。

こうした問題を受け、2025年に鳥獣保護管理法が改正されました。

緊急銃猟制度は2025年9月1日にスタート

緊急銃猟制度は、改正鳥獣保護管理法に基づいて2025年9月1日に施行されました。

クマやイノシシなどの危険鳥獣が人の日常生活圏に侵入した場合などに、一定の条件を満たせば、市町村長が委託した捕獲者による銃猟を可能にする制度です。

ただし、クマが市街地に出たからといって、無条件に銃猟できるわけではありません。

主な条件は次のとおりです。

- クマなどの危険鳥獣が人の日常生活圏に侵入している、または侵入するおそれが大きい。
- 人の生命や身体への危害を防止する緊急性がある。
- 銃猟以外の方法では迅速かつ的確な捕獲が困難である。
- 住民の避難などにより、弾丸が人に到達するおそれがない状態を確保できる。

この制度では、市町村長が実施主体となり、必要な安全対策を講じたうえで、技能要件を満たす捕獲者に委託します。

自治体・警察・猟友会の役割分担

緊急銃猟を安全に運用するには、関係機関の連携が欠かせません。

関係機関 主な役割 連携のポイント
市町村 緊急銃猟の判断・実施主体 捕獲者の確保、住民の安全管理
猟友会・ハンター 捕獲活動への協力 技能や現場経験に基づく対応
警察 警戒、避難誘導、交通規制への協力 地域住民の安全確保
都道府県 広域的な支援や調整 市町村への応援や情報提供
環境省 制度・ガイドラインの整備 技術的支援、自治体への情報提供

重要なのは、緊急銃猟が単なるハンター個人の判断による活動ではないという点です。

市町村が実施主体となり、警察などと連携して地域の安全を確保する仕組みです。

ハンターの法的責任と自治体の補償

銃器を使用する以上、事故が発生した場合の責任も避けて通れません。

緊急銃猟制度では、実施に伴って第三者の財産に通常生ずべき損失が発生した場合、市町村長による損失補償の仕組みが設けられています。

また、環境省のガイドラインでは、保険への加入や補償手続き、人身事故への法的対応なども説明されています。

ただし、これはハンターがあらゆる事故について責任を免れるという意味ではありません。

個別の事故については、実際の行為や過失の有無、適用される法律や契約内容に応じて責任が判断されます。

ハンターに過度な責任を負わせない仕組みと、住民や第三者の安全を守る仕組みを両立させる必要があります。

2026年4月に緊急銃猟ガイドラインを改訂

制度開始後、環境省は実際の運用事例を踏まえてガイドラインを改訂しました。

2026年4月6日の環境省発表によると、改訂では次の内容が追加されています。

- 実際の緊急銃猟事例7件を追加
- 実施工程に関係する事例情報やポイント16件を追加
- 現場での運用経験を踏まえた注意事項を補足

制度開始から2026年4月までに、50件以上の緊急銃猟が行われていました。

さらに、環境省が2026年10月29日に更新した資料では、2026年度に発砲まで至った緊急銃猟の事例は38件とされています。

4月の福島県郡山市をはじめ、北海道士別市や下川町、東京都八王子市など、全国各地で実施されています。

制度が実際の現場で活用される一方、自治体側の経験やノウハウの蓄積は引き続き課題です。

【2026年の現状】ヒグマ駆除とハンター不足はどこまで深刻化している?

2026年のクマ対策を考える際、見逃せないのが人身被害と捕獲の状況です。

環境省の2026年10月14日更新資料では、クマによる人身被害は2025年度に238人、死亡者は13人でした。

2026年度については、9月末までの速報値で被害者68人、死亡者6人となっています。


クマによる人身被害の比較


2025年度・通年

238人


死亡13人


2026年度・9月末まで

68人


死亡6人


出典:環境省「クマ類による人身被害件数(速報値)」2026年10月14日更新。年度途中の数字と通年の数字を比較したもので、単純な年間予測ではありません。

2026年度の被害者数は、9月末までの途中経過です。秋以降の出没状況によっては、被害が増加する可能性もあります。

ハンター不足の背景には高齢化と銃猟経験者の少なさがある

クマ対策を難しくしているのが、捕獲を担う人材の不足です。

狩猟免許を取得している人がいても、実際にヒグマなどの大型獣に対応できる経験を持つ人は限られます。

2025年3月の衆議院環境委員会では、政府側から全国の銃猟免許所持者は約9万人で、そのうちクマの銃猟などの経験者は、把握している範囲で少なくとも約3,000人との答弁がありました。

また、警察庁の資料に関する国会答弁では、猟銃・空気銃の所持許可者は2023年末時点で84,679人でした。2000年末の214,674人と比較すると約60%減少しています。

この数字が示すのは、狩猟免許の所持者数だけでは、実際にクマ対策を担える人材の規模を判断できないということです。

特にヒグマへの対応には、十分な知識と経験が必要です。

地域の限られたベテランハンターに出動が集中すれば、継続的な対応体制を維持することは難しくなります。

2026年3月に政府がクマ被害対策ロードマップを策定

こうした状況を受け、政府は2026年3月27日に「クマ被害対策ロードマップ」を決定しました。

この計画では、2030年度までを見据えて、次の7分野を中心に対策を進める方針が示されています。

1. クマ出没時の緊急対応
2. 人の生活圏への出没防止
3. クマの個体数管理
4. 捕獲人材の確保・育成
5. クマの生息環境の保全・整備
6. 国民への情報発信
7. 財政措置や研究開発などの充実

特に注目されるのが、自治体の対応体制の整備です。

政府は2030年度までに、恒常的なクマの生息域にある自治体で、緊急対応体制の確保率100%を目指しています。

さらに、ゾーニング管理計画の策定率も100%を目標に掲げています。

ゾーニング管理とは、人の生活圏とクマの生息域などを区分し、それぞれに適した管理を行う考え方です。

クマが出没してから駆除するだけでなく、そもそも人の生活圏に入り込ませない対策も重視されています。

猟友会だけに頼らないガバメントハンターの必要性

今後の対策で注目されるのが、自治体職員として捕獲活動に携わるガバメントハンターです。

これまでのクマ対策は、地域の猟友会に大きく依存してきました。

しかし、ハンターの高齢化や報酬問題を考えると、民間の狩猟者だけで全国の対応を支えることには限界があります。

自治体が専門人材を採用・育成し、必要な装備や予算を確保することで、緊急時の対応力を高める狙いがあります。

2026年の政府ロードマップは、猟友会を排除するものではありません。

むしろ、自治体職員、専門捕獲者、猟友会がそれぞれの役割を担い、特定のハンターに負担が集中しない仕組みを構築する方向性を示しています。

【今後の課題】熊猟友会と自治体が解決すべき問題とは?

2026年のクマ対策では、緊急銃猟制度の整備や報酬の見直しが進んでいます。

しかし、制度が整っただけで問題が解決するわけではありません。

1.危険性に見合った報酬体系を整備する

報酬の地域差は、ハンターの確保に直接関係します。

同じような危険を伴う活動でも、自治体によって日当や捕獲報奨金が大きく違えば、不公平感が生まれます。

今後は、単純な捕獲頭数だけでなく、次の要素を考慮した報酬制度が必要です。

- 出動に要した時間
- 現場の危険性
- 捕獲後の処理作業
- 移動費や装備費
- 緊急対応に伴う拘束時間

特に緊急銃猟については、通常の見回りや有害鳥獣捕獲とは異なる報酬体系を設けることが検討課題となります。

2.現場の安全管理と責任の所在を明確にする

積丹町の問題が示したように、駆除現場の安全はハンターだけで守れるものではありません。

自治体職員、土地所有者、住民、警察などが共通のルールを理解していなければ、現場の混乱につながります。

特に重要なのは、次のような事前準備です。

- 誰が現場の責任者になるのか
- 誰が住民への連絡を担当するのか
- 現場に立ち入る人をどう管理するのか
- 事故発生時の連絡・補償体制をどうするのか
- ハンターの保険や装備をどう確保するのか

積丹町で対応マニュアルが作成されたことは、こうした問題を解決するための具体例といえます。

3.猟友会の次世代を育成する

地域のベテランハンターに依存し続ける体制では、将来の担い手不足を解消できません。

狩猟免許の取得を促すだけでなく、実践的な技術や安全管理の知識を引き継ぐ仕組みが必要です。

自治体や都道府県による研修、若手ハンターへの支援、専門捕獲者の育成などを組み合わせることが重要になります。

4.クマの出没を未然に防ぐ対策を強化する

クマの捕獲は、被害対策の一つにすぎません。

人の生活圏にクマを引き寄せないためには、放任果樹や生ごみなどの誘引物を管理し、地域の環境を整えることも必要です。

また、クマの生息域と人の生活圏を区分するゾーニング管理や、地域ごとの個体数調査も欠かせません。

捕獲活動と予防策を組み合わせることで、猟友会への過度な負担を減らすことにもつながります。

【プロの結論】熊猟友会の問題は、ハンター個人ではなく社会全体で解決すべき課題

熊猟友会の出動拒否問題を考える際、最も避けたいのは、ハンターだけに責任を押し付けることです。

住民にとって、クマの出没は生命に関わる問題です。自治体には迅速な対応が求められます。

一方、ハンターも地域の安全を守るために活動する人間であり、危険を無制限に引き受ける義務があるわけではありません。

2025年の積丹町問題では、関係者の謝罪と対応マニュアルの作成によって活動が再開されました。

この事例から分かるのは、出動を求めるだけではなく、ハンターが安全に活動できる環境を整えることが必要だということです。

今後の熊猟友会の活動を評価する際には、次の5つのポイントに注目すると、地域の対策が実効性を持っているか判断しやすくなります。

- 報酬や経費の負担が明確になっているか
- 出動時の安全管理マニュアルが整備されているか
- 事故発生時の補償や保険が用意されているか
- 自治体・警察・猟友会の連絡体制が整っているか
- 若手ハンターや専門人材を育成する仕組みがあるか

これらが整備されていなければ、どれほど立派な制度を作っても、実際の現場で機能しない可能性があります。

【熊猟友会に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:熊猟友会に入れば誰でもクマの駆除ができますか?

A1:いいえ。猟友会には銃猟やわな猟など異なる免許区分があり、会員全員がクマの捕獲に従事できるわけではありません。実際の駆除には、必要な免許や技能、経験、自治体との連携が求められます。

Q2:熊猟友会のハンターの日当はいくらですか?

A2:全国共通の日当はありません。自治体によって時給制、日当制、捕獲報奨金などが異なります。2025年の報道では、岩手県遠野市の時給952円や一戸町の時給1,500円などが紹介されました。緊急銃猟には別の報酬を設ける自治体もあります。

Q3:猟友会は自治体からのクマ駆除要請を拒否できますか?

A3:一般の猟友会会員に、すべての出動要請へ無条件に応じる義務があるわけではありません。緊急銃猟のガイドラインでも捕獲実施者に応諾義務はないとされています。ただし、住民の安全を守るため、自治体には代替の対応体制を確保する責任があります。

まとめ:熊猟友会の2026年は安全確保と担い手育成が鍵

熊猟友会は、地域のクマ対策を支える重要な存在です。捕獲や駆除だけでなく、わなの管理、出没情報の確認、捕獲後の処理など、多くの活動を担っています。

しかし、危険性に見合わない報酬、ハンターの高齢化、法的責任への不安、自治体との信頼関係など、解決すべき課題は少なくありません。

北海道積丹町の出動拒否問題は、2025年11月に謝罪と対応マニュアルの作成を経て活動再開に至りました。この事例は、安全管理と関係者間の信頼が、地域のクマ対策を支える土台であることを示しています。

2026年には緊急銃猟制度の運用が進み、国も2030年度を見据えたクマ被害対策ロードマップを策定しました。

今後は、猟友会だけに依存するのではなく、自治体職員や専門捕獲者の育成、適切な報酬、保険・補償制度、警察との連携を一体的に進める必要があります。

地域の安全を守るために必要なのは、ハンターに出動を求める仕組みだけではありません。ハンターが安全に活動でき、地域が継続的に支えられる仕組みです。

熊猟友会の今後を考えるうえでは、この視点が2026年以降のクマ対策を評価する重要な判断基準になります。