【作品概要】『きみの横顔を見ていた』はどんな漫画?登場人物と受賞歴
『きみの横顔を見ていた』は、漫画家・いちのへ瑠美による少女漫画です。講談社の『別冊フレンド』で2022年5月号から連載が始まりました。
作品の基本データ
- 作者:いちのへ瑠美
- 出版社:講談社
- 掲載誌:別冊フレンド
- ジャンル:少女漫画・青春恋愛群像劇
- 単行本:全6巻
- 連載開始:2022年
- 本編完結:2026年
- 第48回講談社漫画賞・少女部門受賞(2024年)
物語の中心は「自分は主人公ではない」と思っている少女

主人公の森光(もり・ひかり)は、一重まぶたがコンプレックスの、ごく普通の高校生です。
親友の高橋麻里は、誰もが認める美少女。しかし、極度の人見知りで、人と話すことが苦手です。
光は麻里を少女漫画のヒロインのような存在だと考え、自分はその隣にいる友人役だと思っていました。
そんな光が、麻里に似合う男子として考えていたのが、クラスの人気者・大谷慎太郎と、学年一のイケメン・朝霧ひかるです。
ところが、大谷と接する時間が増えるにつれて、光自身が大谷を好きになってしまいます。
物語は光だけの視点にとどまらず、大谷、麻里、朝霧へと主人公を交代させながら、それぞれの恋心と過去を描いていきます。
この構成こそが、本作を単純な三角関係ではない青春群像劇にしています。
【全巻ネタバレ】1巻から4巻までの片思いと告白を徹底解説
ここからは物語の重要な展開を含みます。
1巻:森光が大谷への恋心を自覚する
物語の出発点は、光が親友の麻里と大谷を結びつけようとするところです。
大谷は麻里に好意を持っており、光は二人が仲良くなれるように協力します。
しかし、大谷と接するうちに、光は彼の明るさや優しさに惹かれていきます。
特に印象的なのは、光が自分の一重まぶたを気にしている場面です。
気になる男子が二重の女の子を好きだと知り、自分もアイプチをしたほうがいいのかと悩みます。
大谷は光の外見を否定せず、そのままの彼女を肯定します。
光にとってはうれしい言葉ですが、相手が自分を恋愛対象として見ているわけではないという切なさも残ります。
吹奏楽部でホルンを担当する光は、部活動でも自分を脇役だと考えていました。
しかし、松平先生とのやり取りを通して、自分が本当はどうしたいのかを考えるようになります。
最終的に光は、大谷が好きなのだと認めます。
ここから「光→大谷→麻里」という片思いが始まります。
2巻:大谷の視点から麻里への恋が描かれる
2巻では主人公が大谷に交代します。
光や朝霧の協力によって、大谷は麻里と昼休みを一緒に過ごせるようになります。
ところが、大谷は麻里が頻繁に国語準備室へ向かうことに気づきます。
そこにいたのは、国語教師で吹奏楽部顧問の松平晃一先生でした。
大谷は麻里が松平先生を見つめる表情から、彼女の本当の恋心に気づいてしまいます。
その結果、大谷と麻里の関係はぎくしゃくします。
自分の何気ない言葉で麻里を傷つけてしまったと後悔する大谷。
二人の関係を修復しようと動くのが光です。
光は吹奏楽部の定期演奏会のチケットを大谷に渡し、麻里を誘うように後押しします。
演奏会では、松平先生が指揮者として登場します。
先生を見つめる麻里の表情を見た大谷は、彼女の気持ちを理解します。
大谷は自分の恋を押しつけず、麻里の幸せを応援することを選びます。
3巻:麻里の過去と松平先生への想い
3巻では高橋麻里が主人公になります。
美しい容姿とは対照的に、麻里は人と話すことが極端に苦手です。
自分の気持ちをうまく言葉にできない彼女にとって、文章を書くことは大切な自己表現の手段でした。
松平先生は、入学当初の読書感想文を褒めてくれた人物です。
麻里にとって先生は、自分の内面を認めてくれた特別な存在でした。
しかし、松平先生への想いを抱える一方で、麻里は自分の人付き合いの苦手さにも悩んでいました。
家族にも自分の努力を理解してもらえず、感情が限界に達してしまいます。
そんな麻里を支えたのが松平先生です。
先生は教師として彼女の話を受け止め、自分自身の力で前に進むように促します。
その後、麻里は文芸部に入部し、文章を書くことを通じて新しい人間関係を築き始めます。
この巻で描かれるのは、単なる先生への恋心ではありません。
誰かに認められることをきっかけに、自分自身を認められるようになる成長の物語でもあります。
4巻:朝霧ひかるの過去と光への告白
4巻では、朝霧ひかるが主人公になります。
朝霧は容姿も能力も優れ、周囲から注目される男子高校生です。
しかし、彼には中学時代に本気で取り組んでいた飛び込み競技を辞めた過去がありました。
両親の離婚など家庭環境の変化を経験し、本気になることから距離を置いていたのです。
当初の朝霧は、光や大谷の片思いをどこか冷めた目で見ていました。
ところが、光が報われない恋をしながらもホルンの練習を続ける姿に心を動かされます。
一人で練習に励む光を見て、朝霧が涙を流す場面は重要な転換点です。
彼は、光への恋心を自覚します。
さらに、松平先生との会話をきっかけに、自分も飛び込み競技にもう一度向き合う決意を固めます。
そして光に対し、まっすぐに好きだと告白します。
一方、大谷は光の好きな人が朝霧なのではないかと勘違いします。
光にとっては、好きな大谷から誤解されるつらい出来事でした。
その後、朝霧と光は休日に映画へ出かけます。
朝霧は改めて気持ちを伝えますが、光は大谷への恋心を諦められず、彼の告白を受け入れません。
朝霧は失恋しますが、光に大谷へ自分の気持ちを伝えるよう約束させます。
ここで朝霧は、ただ好きな人の横顔を見ているだけではなく、自分の気持ちを正面から伝えることの大切さを示す存在になります。
【恋愛相関図】森光・大谷慎太郎・高橋麻里・朝霧ひかるの関係
本作の恋愛関係を理解するには、4人の片思いだけでなく、松平先生と奈々子の関係も押さえておく必要があります。
主要人物の恋愛相関表
片思いの矢印はどのように変わる?
物語の序盤では、次のような一方通行の関係になっています。
- 光は大谷が好き。
- 大谷は麻里が好き。
- 麻里は松平先生が好き。
- 朝霧は光が好き。
つまり、光→大谷→麻里→松平先生という恋の連鎖に、朝霧→光という矢印が加わります。
この構造が物語の切なさを生み出しています。
特に重要なのは、大谷の気持ちの変化です。
最初は麻里ばかりを見ていた大谷ですが、光が自分のために動いてくれたことや、そばで応援してくれたことを少しずつ意識するようになります。
野球部の試合を振り返った際、無意識に光の姿を探している自分に気づく場面もあります。
一方、麻里は松平先生に恋人がいると知り、自分の気持ちに区切りをつけます。
ここで大切なのは、失恋した人物が物語から退場するわけではないということです。
それぞれの恋が終わったり形を変えたりすることで、登場人物自身の新しい人生が始まっていきます。
【最終5巻ネタバレ】光と大谷は結ばれる?朝霧の告白と松平先生の恋の結末
『きみの横顔を見ていた』第5巻
- 発売日:2026年4月13日
- 著者:いちのへ瑠美
- 出版社:講談社
- ISBN:9784065432068
- 価格:627円(税込)
第5巻は、単に高校生4人の恋愛を終わらせるだけの巻ではありません。
それまで脇役のように見えていた松平先生を5人目の主人公に据えることで、物語のテーマを大人の恋愛にまで広げています。
松平先生と奈々子の過去:15歳の出会いから始まった恋
松平先生の物語は、彼が15歳だった春にさかのぼります。
電車の中で体調を崩した松平を助けたのが、1歳年上の高校生・山中奈々子でした。
この出会いをきっかけに、松平は奈々子に惹かれていきます。
二人は長い時間をかけて関係を築き、大人になってからも恋人同士として過ごしていました。
しかし、奈々子から病気を告げられます。
それは、松平がかつて母親を亡くした病気と同じがんでした。
過去の悲しい記憶がよみがえった松平は、奈々子を失うことへの恐怖から、彼女と向き合えなくなってしまいます。
その動揺は仕事にも表れ、吹奏楽部の地区大会では指揮棒を落としてしまうほどでした。
そんな松平の心を動かしたのが、大谷との会話です。
失うことを恐れて逃げるのではなく、今、大切な人と一緒にいることを選ぶ。
松平は奈々子のもとへ戻り、彼女とともに生きていく決意をします。
このエピソードによって、松平先生は単に麻里が憧れる教師ではなく、一人の人間として恋に悩む主人公として描き直されます。
朝霧ひかるの告白は実らない?その後の変化
朝霧は光に告白しますが、光は大谷への想いを捨てられません。
映画デートを経ても、光の気持ちは変わらず、朝霧の恋は実りません。
しかし、朝霧は光を責めません。
むしろ、光が自分の本当の気持ちを大谷に伝えるよう背中を押します。
朝霧にとっても、この失恋は大きな成長のきっかけでした。
以前は本気になることを避け、飛び込み競技からも離れていた彼が、光との出会いを通して再び自分の気持ちと向き合えるようになったのです。
彼は光への恋を終わらせるだけでなく、競技にも戻る道を選びます。
朝霧の告白は、光と結ばれるためだけの展開ではありません。
自分の気持ちを認めて伝えること、そして相手の選択を尊重することを学ぶ重要なエピソードです。
光と大谷は結ばれる?最終回の答え
光と大谷の恋は、二人の新しい関係が始まることを強く感じさせる結末です。
最終話のタイトルは「8月7日 日曜日」。
物語は再び高校生4人の夏に戻ります。
光は朝霧との約束を果たすため、大谷に自分の気持ちを伝えようとします。
一方、大谷も変化していました。
以前は麻里ばかりを見ていた彼が、今度は光の姿を自然と目で追うようになっています。
そして迎える夏祭りの日。
浴衣姿の光のもとに、大谷がパピコのアイスを持って現れます。
このアイスには意味があります。
松平先生が以前、大谷に話していたのは、パピコは大切な人と分け合うものだということ。
その言葉を思い出させるように、大谷は光のところへやってきます。
二人がこれから恋を始めていくことを感じさせる、象徴的なラストです。
ただし、ここで注目したいのは、従来の少女漫画のような明確な交際宣言だけで物語を締めくくっていない点です。
光が自分から気持ちを伝えようとしたこと、大谷も光を意識し始めたこと、そして二人で分け合うアイス。
その一つひとつが、二人の関係が変わり始めたことを示しています。
朝霧の恋が終わり、光の片思いにも新しい可能性が生まれる。
これが本編最終回の大きな見どころです。
【休載から連載再開・6巻完結まで】2026年の最新時系列と番外編
休載理由は制作上の都合だった
『きみの横顔を見ていた』は、連載途中で制作上の都合による休載を経験しています。
別冊フレンド編集部は公式のお知らせで、連載をしばらく休載することと、2025年初頭に発売予定だった第5巻の発売延期を発表しました。
公表された休載理由は、あくまで「制作上の都合」です。
作者の健康状態や私生活の事情など、具体的な理由は公式発表では説明されていません。
なお、本作には第3巻の発売延期を伴う過去の休載告知もあり、朝霧編の連載再開を知らせる編集部のお知らせも残っています。
そのため、過去の休載情報と2024年以降の長期休載を混同しないことが大切です。
休載から最終回までの時系列
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年5月 | 別冊フレンドで連載開始 |
| 2022年9月13日 | 第1巻発売 |
| 2023年2月13日 | 第2巻発売 |
| 2024年2月13日 | 第3巻発売 |
| 2024年5月14日 | 第48回講談社漫画賞・少女部門受賞 |
| 2024年8月9日 | 第4巻発売 |
| 2024年秋以降 | 制作上の都合による休載と第5巻発売延期 |
| 2025年12月12日 | 2026年1月号で連載再開 |
| 2026年1月13日 | 別冊フレンド2月号に本編最終回掲載 |
| 2026年3~5月号 | 番外編を掲載 |
| 2026年4月13日 | 第5巻発売。本編完結 |
| 2026年7月13日 | 第6巻発売。番外編を含めてシリーズ完結 |
特に重要なのは、本編の最終回が2026年1月13日発売の別冊フレンド2月号に掲載されたことです。
講談社の公式告知でも、同号は本作の表紙・巻頭カラーとともに、本編最終回を掲載する号として紹介されました。
また、2025年12月12日発売の2026年1月号では連載再開が案内され、松平編のクライマックスが描かれています。
その後、本編完結後の番外編が3月号から5月号まで掲載されました。
6巻は番外編を収録したシリーズ最終巻
『きみの横顔を見ていた』第6巻
- 発売日:2026年7月13日
- ISBN:9784065442128
- 価格:594円(税込)
- ページ数:192ページ
- 内容:本編と交わる4人の番外編
第5巻で本編は完結していますが、第6巻には本編で中心人物ではなかった4人を主人公にした番外編が収録されています。
それぞれの内容を整理します。
① 静岡大地と後輩きーちゃんの物語
主人公は吹奏楽部でトランペットを担当する2年生の静岡大地です。
後輩のきーちゃんを指導することになりますが、二人の間には音楽に対する熱意や技術面での温度差があります。
静岡は厳しい言葉をかけてしまうものの、後輩が過去に十分な練習環境を与えられていなかったことを知ります。
そこで彼は、きーちゃんと一緒に練習することを選びます。
単なる先輩と後輩の関係ではなく、相手の努力や背景を知ることで変化していく二人が見どころです。
② 小熊みのりの物語
帰宅部で、平凡な自分を受け入れている小熊みのりが主人公です。
みのりは野球部の佐野先輩とパン屋などで関わるようになり、次第に彼を意識します。
しかし、佐野先輩には吹奏楽部の部長である彼女がいました。
みのりは自分の気持ちに向き合い、相手に声をかけることで少しずつ前へ進みます。
誰かの恋が叶わなかったとしても、その経験が無駄になるわけではないことを伝えるエピソードです。
③ 山中一と朝霧ひかるの物語
朝霧ひかると一緒に飛び込み競技を続けてきた山中一が主人公です。
一は、優れた才能を持つ朝霧をヒーローのように感じ、自分はその隣にいるだけの存在だと思っていました。
しかし、朝霧が競技を離れた後も、もう一度戻ってきてほしいという気持ちを持ち続けています。
一自身も飛び込みに真剣に向き合い、インターハイ出場を勝ち取ります。
本編ではあまり描かれなかった一の内面と、朝霧との友情が深く掘り下げられます。
④ 山中奈々子と松平先生の物語
最後の番外編の主人公は、松平先生の恋人である山中奈々子です。
高校時代の二人の初デートや、長い年月をかけて築いてきた関係が描かれます。
奈々子は、過去の家庭環境から愛する人とずっと一緒にいられることを信じきれずにいました。
さらに病気の問題も重なり、松平との将来に不安を抱えます。
それでも二人は、離れるのではなく一緒に生きることを選びます。
奈々子は手術を受け、退院後の車中で二人は空にかかる虹を見つけます。
本編で描かれた松平先生の決意が、番外編では奈々子側の気持ちからも描かれます。
この最後の物語は、シリーズ全体を締めくくる希望のあるエピソードです。
【きみの横顔を見ていたのFAQ】よくある質問
Q1:『きみの横顔を見ていた』は全何巻で完結していますか?
A1:全6巻です。第5巻が本編完結巻、第6巻が4人の番外編を収録したシリーズ最終巻です。
Q2:光と大谷は最終的に結ばれますか?
A2:二人の恋が始まることを強く感じさせる結末です。夏祭りの日に大谷が光のもとへパピコを持って現れる場面が、本編の印象的なラストになっています。
Q3:朝霧ひかるの告白は成功しますか?
A3:光は大谷への気持ちを諦められず、朝霧の告白を受け入れません。朝霧は光の背中を押し、自身も飛び込み競技に復帰します。
Q4:高橋麻里と松平先生は結ばれますか?
A4:二人が恋人になる展開ではありません。麻里は先生への想いを通じて成長し、松平先生には長年の恋人・山中奈々子がいます。
Q5:松平先生と奈々子はどうなりますか?
A5:奈々子の病気を知った松平は一度は恐怖から離れようとしますが、最終的には彼女と一緒に生きることを選びます。第6巻では二人のその後も描かれます。
Q6:休載理由は作者の体調不良ですか?
A6:公式に発表された理由は「制作上の都合」です。体調不良などの具体的な事情は公表されていません。
Q7:連載はいつ再開しましたか?
A7:2025年12月12日発売の『別冊フレンド』2026年1月号で連載が再開されました。
Q8:6巻の番外編には誰が登場しますか?
A8:静岡大地、小熊みのり、山中一、山中奈々子の4人です。それぞれを主人公にしたエピソードが収録されています。
Q9:7巻や続編の予定はありますか?
A9:2026年11月現在、第6巻が公式に案内されたシリーズ最終巻です。第7巻や続編の公式発表は確認されていません。
まとめ:『きみの横顔を見ていた』は恋の成就だけではない青春群像劇
『きみの横顔を見ていた』は、森光、大谷慎太郎、高橋麻里、朝霧ひかるの4人による片思いから始まり、松平先生や奈々子、さらに周囲の人物へと物語を広げた青春群像劇です。
本編の第5巻では、光が大谷に気持ちを伝えようと決意し、夏祭りのパピコの場面で二人の恋が始まる予感を残します。朝霧は失恋を経験しながらも飛び込み競技へ戻り、麻里も先生への憧れを通して自分の世界を広げていきます。
そして第6巻では、これまで脇にいた静岡、みのり、一、奈々子にも、それぞれの人生と希望があることが描かれました。
この作品の魅力は、恋が叶った人物だけを幸せにするのではなく、失恋した人物にも新しい一歩を用意していることです。
恋愛の結末を知りたい方は第5巻、登場人物全員の物語を最後まで見届けたい方は第6巻まで読むのがおすすめです。2026年11月現在、全6巻が刊行済みなので、休載によって続きを待つことなく、最初から最後まで一気に楽しめます。